自作ゲーム年表 X68000篇

 同人ゲーム年表というのが話題なので、僕の年表も作ってみる。
 ディスクマガジンやパソコン通信BBSなど、不特定多数(友人以外)に公開したものだけをリストアップ。
 これ以外にも対戦格闘を三本、ミニゲームをいくつか作ってるけど、タイトルがなく公開日もよくわからないので除外しています。
 正確な公開日がわからないものもあり、それらは実行ファイルや添付ドキュメントのタイムスタンプを記載しています。

 当時の僕は誰にも相手にされてなかったので、今ネットで検索しても何の痕跡も引っかかりません。
 恥ずかしい黒歴史の山を漁ろうとしても無駄ですよ……。

作品リスト

1993/??/?? 世紀末愚者伝説  固定画面一ラインのアクションゲーム
 68のHDDにデータが残っていないので詳細がよくわからない。
 主人公は「黒須賀 雲太(クロスカウンタ)」という名前なんだけど、クロスカウンターを放つシーンはない。
 暴力集団のボス「疾風(はやて)のケンケン」を倒すために戦う。
 主人公の取れる行動は、左右移動、地上攻撃、ジャンプ、ジャンプ攻撃しかなかったと思う。
1993/02/25? ホニャラカ伝説第一部
聖地リレケム
 ターン制RPG。仲間は勝手に戦う。
 まごう事なきクソゲーだけど、ブラウザでプレイできるようにすれば遊ぶ人も若干いそうな気がする。
1993/10/17 スケバン捜査官II
西望具学園の野望
 ベルトフロア型ACT(固定画面)
 スケバン刑事のパチモン。
 当時は意識してなかったけど僕はパロディよりも「パチモン」が好きで、パチモンキャラを使ってわりと真面目なオリジナルの話を作る事が多かった。

 通常攻撃、ジャンプ攻撃に加え、↓↑攻撃で強打技が出せる。
 あとボタン長押しで尻に手を当て、離すと握りっ屁攻撃(飛び道具)というどうしようもない技もある。
 よろけ状態はなく、一発当たるとふっとぶ。転倒もない。
 そのためベルトフロアアクションよりも普通のアクションゲームっぽい。
 IIというくらいだからIもある。しかしそれはゲームではなく小説なのだった。あまりにもトホホな推理小説なので、存在したこと自体を記憶から消したい。
1993/11/21? Last World  横スクロールSTG。
 標準でオプションがついている以外はシステム的にこれといった特徴はない。
 自機狙い弾は八方向という驚きの陳腐仕様。
 この頃は三角関数を使えなかったのだった……。
 全6ステージくらいだった気がする。
 ちゃんとしたSTGとしては初の作品。全然ちゃんとしてないけど。
1994/01/22 世紀末愚者伝説2
妖魔の森
 ベルトフロア型ACT(固定画面)。
 ファイナルファイトみたいに、ジャブ・ジャブ・アッパーの連打コンボができるようになった。
 主人公は「阿波勝人」という名前で、アッパーが得意。
 ストーリーは全く覚えていない。
1994/03/15? 鏖戦  縦スクロールSTG。
 パワーアップアイテムと装備変更アイテムが出る。
 パワーアップアイテムは、スピードアップ五段階、パワーアップ五段階、一発のみのバリア、が一定時間で切り替わる。
 装備変更は、レーザー、3Way、貫通の三種類。
 背景はワイヤーフレーム風で、パレット切り替えでスクロールを表現している。
 文章で書いてもよくわからないだろうけど、8ビットPCをいじってた人なら「あぁ、あれね」と想像が付くと思う。
 3Dっぽくスクロールする面もある。

 人類滅亡後の話。
 機械たちが人類の意志を引き継ぎ宇宙の探査をしている。
 あるとき探査隊は謎の遺跡から一体の生き物を発掘する。
 その生き物(プレイヤー)は探査隊を壊滅させ、超空間回廊に侵入し地球を目指すのだった。
1994/05/19 ジャンピンガー  キャラは常にジャンプしており、敵を避けながらアイテムを集めるだけのミニゲーム。
 プログラムポシェットやMSXFANの一画面プログラムでありそうなやつ。
1994/10/02? 死の迷路  リアルタイム3DRPG。ダンジョンマスターをとてつもなくしょぼくした感じ。
 あるとき「ダンジョンマスターがどうやって動いているか」について閃き、それをプログラムしてみた。
 プログラム自体はほんとどうしようもないんだけど、しょぼいながらも実際に再現できたのは嬉しかった。

 ストーリーは気に入ってるのでいつかリメイクをしたい。と思いながら二十年。
 最近、たいしたストーリーではないことに気付いた。

 全五階層で、階ごとにフルバージョンのBGM(一番、二番、間奏、最終コーラス)がついている。
 そしてそのBGMのうち三曲は、夜光蛾3で使われているのだった。(三面、七面、異次元の曲)
 Galshellの五面の曲、夜光蛾1二面の曲も本作から。
 これ以前にも曲を作ってはいたけどろくなものができず、このゲームの製作中に「あぁ、作曲とはこういうものなのか」と理解し、それなりに聴ける曲を作れるようになったのだった。
 そういう意味でも思い出深い。
 実は元々はテキストベースのトップビューRPGだった。しかしデータが残ってないので詳細不明。
1995/02/05 世紀末愚者伝説3
完結篇
 ベルトフロア型ACT(固定画面)。
 連打コンボ、突進攻撃、ジャンプキック(よろけ)、ジャンプキック(ふっとばし)、ダウン攻撃など、攻撃システム的には普通のベルトフロアACTになった。
 転倒もするようになり、倒れた相手を死ぬまで攻撃(踏み潰し)できるようになった。
 ふっとんだ敵をダッシュで追いかけて追撃し、死ぬまでお手玉コンボすることもできる。
 敵がどんな状態でもダメージを与えられる。こういうゲームはないだろうと思ってたけど、すでに一年近く前にカプコンのエイリアンVsプレデターやXmenがやってたのだった……。
 これはけっこう遊べるゲームになったんじゃないかなーと、ちょっとだけ思う。まぁ他人から見たらゴミなんだろうな……。

 一作目の主人公「クロスカ」は、厳しい掟に支配された町を作りあげ、女子供を特別区画に幽閉していた。
 そこに流れ者の「須藤零人」(得意技は強烈なストレート)が現れ、反乱軍と共にクロスカと戦うことになる。
 須藤が特別区画に入ると、そこは予想に反して女子供が楽しく暮らす楽園になっており、皆満足して生活していた。
 須藤が困惑していると、町人の手により建物に火が放たれてしまう。
 須藤はとりあえずクロスカを倒すために彼の部屋に向かう。
 そこで明かされる驚愕の事実! 実はクロスカの正体は一作目のラスボス「ケンケン」だった!
 そして須藤の正体は一作目の主人公「黒須賀」だった!
 ケンケンは弱い立場のものを守りつつ町を発展させるため、かつて自分を倒した「最強の男」の名を騙り恐怖と暴力で支配していた のだった!
 一方黒須賀(須藤)は、悪評が急上昇しやりにくくなったため、別の名を名乗っていた。
 最後の戦いでも黒須賀(須藤)が勝ったものの、直後の崩落で彼は死んでしまう。
 ケンケンは世の無常に呆然としながらも、あらたな街づくりを模索するのだった。
 そして2015年の僕は、何を考えて名前入れ替えトリックなんてやったのだろうと困惑するのだった。
1995/03/09? 空飛ぶ女  ノベル付きSTG。
 直線補間のアルゴリズムで自機狙い弾を出せるようになった。
 しかし直線補間は自機狙い弾には向かないのだった。
 多関節キャラや部位破壊を取り入れた。
1995/05/26 卒業
―Graduation System―
 三部構成のRPG。留年を宣告された主人公が卒業するために奮闘する。
 第一部 不良やチンピラと戦って金を巻き上げ、栄養ドリンクやレポート用紙を買って進級用のレポートを仕上げる。
 第二部 惜しくも留年してしまった主人公はいろいろあって孤島の収容所に入れられてしまい、そこから脱出しようと試みる。
 第三部 主人公はいろいろあって「銃の国(じゅうのくに)メタリカ合衆国」にたどり着き、そこで世界を支配する「卒業機構」の秘密を知る。
 ばかばかしい話だけどけっこう設定が凝っていて、現代ものに見えて実はSFなのだった。世紀末愚者伝説の1000年後の話だった気がする。
 ケンケンの意志を継いで発展していった社会は、「同じ一年が延々と続く世界」と「卒業機構」を生み出したのであった。
 卒業機構とはなんなのかというと、それは秘密。
1996/09/19 学園クイーンコンテスト 「節足戦線カマドウマン」宣伝用の対戦格闘ゲーム。
 2ボタン制で、ボタン1が攻撃、ボタン2が防御となっている。
 標準でガードキャンセルができ、ダメージキャンセル(ダメージモーションからガードモーションに移行)というシステムもある。
 対戦もできる仕様だったけど、当時から友達がいなかったので実際に試したことはない。
1996/09/25 節足戦線カマドウマン
人類改造計画
 ベルトフロア型ACT(固定画面)。  これまで作った乱闘アクションの集大成的な感じ。
 ある程度ダメージを受けるとカマドウマ型のヒーロー「カマドウマン」に変身する。
 二足直立歩行のカマドウマというデザインで、正直キモい。
 物語は「Last World」に繋がり、さらに一時期Web漫画として公開していた(2004年くらいまで公開してた気がする)「ぶたの星の不思議な時計」に繋がる。

・シリーズの構成
 三億年前節足文明が誕生。地上を支配したのち、他の知性体を探すため宇宙探査に出る。残された節足文明は徐々に衰退していく。(Last World)
 人類が栄える一方、節足人類が復活し世界征服を企む。(カマドウマン)
 探査の旅に出ていた節足人類は、宇宙には自分たち(地球の生物)以外知性体が存在しないことを理解し、地球に帰還する。(Last World)
 節足人類による人類への攻撃。(Last World)
 最終的に節足人類が地球を支配するも、人類と共に衰退していく。
 数千年後地球は植物に支配される。
 昆虫、猿(人類)の完全衰退後、豚が知性を獲得する。豚たちは、自然の驚異と戦いながら人類の残した遺産「時計」が開くのを待つ。(ぶたの星)
 時計は高さ十数メートルの建造物で、基部からは常に環境汚染物質が垂れ流され、その一帯は食肉植物の驚異から守られている。
 時計の西暦表示が「9999」になると中から人類が現れ、植物を一掃し豚を救ってくれるという伝説がある。

 この「時計」からはいびつな体型の巨人が出てくるという設定だったんだけど、あまりにも「進撃の巨人」っぽくていまさら再開できないのだった。
 時代によって特定の種のみが知性を獲得する、というSF的な仕組みなどをいろいろ考えてあって、このまま無かったことにするのは惜しいなーと思ったりするけど、まぁ無かったことにしよう。どういう仕組みだったかあんまりおぼえてないし。
1996/10/27? 戦う飛行少女  ボスとの一騎打ちシューティング。「空飛ぶ女」の続編。
 一定のパターンで攻撃してくるボスをいかにはやく倒すかというミニゲーム。
 ダメージを受けるたびに脱衣していき、すっぽんぽんのときに被弾するとガイコツになる。
 最初は「飛行少女と呼ばれて」というタイトルだったんだけど、なんで変えてしまったんだろう。(「不良少女と呼ばれて」のパロディ)

 当時の知人がX-BASIC用のスプライトダブラー(超連射68kでおなじみの、走査線割り込みを使って大量のスプライトを表示するテクニック)を作ってくれて、これを使ってキャラを60フレームで滑らかに動かせるようになった。
 これ以前のものは垂直帰線待ちができずfor nextでウェイト調整していたのだった……。
 今考えると、帰線待ちで描画する仕組みをX-BASICが持ってなかったのが不思議だ。
1998/07/19 レーシンガー  トップビューのバイクレースゲーム。
 いやレースではなく、一人で走ってラップタイムを更新するだけ。
 見るべきところはまったくない感じだけど、バイクの回転アニメーションはけっこうがんばった。
 リプレイにも対応している。
 客観的に見るとどうしようもない出来なんだけど、自分では気に入っている。
1999/??/?? デスエフェメラ  横スクロールSTG。
 X68000最終作。
 FTZという大手草の根BBS(超連射68kのよっしんさんがよく書き込んでたところ)で公開したあと、修正版をベーマガのコンテストに投稿。最初で最後の大規模コンテストだったんじゃないかな。送ったのが十二月頃だったような。
 最初は違うタイトルで公開していた。

 BBSでもベーマガのコンテストでも全く相手にされず、若干落胆した。(BBSでは一件感想をもらった)
 一方、「今の自分にはこれ以上のものは作れない」というくらい全力を出しきったので、かなりの満足感があった。
 今見ると全然ダメなんだけど、当時の自分にとっては巨大なジグソーパズルを組み上げたような爽快感達成感があった。
 もうX68000でやることはないと思い、WIN機を購入したのだった。

ディスクマガジンの思い出

 ディスクマガジンというのは、会員が投稿した記事を編集部がフロッピーディスクに入れて頒布する作品集です。
 文章の記事がメインで、音楽データやイラストも少々という感じでした。
 当時はいろんなディスクマガジンがあったようで、アマチュア最大手のディスクマガジンは700部くらい発行していたとか。
 僕が参加していたところは最盛期で120部くらいだったと思います。
 今見ると「700人? 120人? あまりにも少なすぎない?」という感じですが、当時は百人が見てくれる作品発表の場というのはそれなりに大きかったです。
 アクティブ会員は二十〜三十人くらいだったでしょうか。記事への感想で交流するのが盛り上げっており、何か書けば十人くらいは内容の濃い感想がもらえるわけです。普通の人にとっては、ある意味今のWEBよりも反応がいいと言える。

 そんな中僕は毎号ゲームを送っていたのでした。
 しかしその出来はひどいどころの騒ぎじゃなくて、交流が盛り上がってたのに僕だけほとんど感想がもらえないという始末でした。よくて二〜三人? それもゲーム内容に関係のない話とか。
 相当変な人だと思われてたんだろうな……。

「そんな惨めな状況なのに、なぜゲームを送り続けたんだ!?」と思う方もいよう。
 当時のこのディスクマガジンでは、予告ばかりが横行していたのです。
 みんな、あれをやるこれをやると夢のあることを宣言するものの、ほとんどが企画倒れになってしまい、結局ディスクマガジンはお手紙交換所となっていました。
 僕はそういうのが嫌だったのですよ! やると言ったからにはやろうよ!
 しかし僕のような小物が何を言っても聞いてもらえない……だからこそ、毎号ゲームを作るという無茶極まりない行動で意思表示してみたのです。まぁ結局意味は無かったんだけど。
 結局僕は、初投稿から廃刊まで毎号ゲームを投稿し続けたのでした。もうゲームを作ることより毎号投稿することが目的になってたね。だから質も技術も上がらずほんと悲惨だった。

 当時の知人もほとんどが交流が途絶えてしまい、僕が知っている限りでは創作活動を続けてる人はほぼいなくなってしまいました。(一人プロになり割と有名なゲームに関わった人がいる)
 最底辺だった僕がいまだに続けてるというのは皮肉なものですよ。
 相変わらずほとんど誰にも相手されてないんですが、不思議とソフトだけはそれなりに売れたりします。これを読んでるきみ、わざわざこんなところにまで目を通すきみが買ってくれてるんだろうね……。
 最近は作りたいものがまずまず狙い通りに作れるようになってきたので、続けた甲斐があったなぁとしみじみ思います。


 まぁなんといいましょうか、ひどい時代だと言われてる昨今ですが、個人の創作という面で見れば人類史はじまって以来最高の環境となっているわけです。
 何か作りたい、自分だけのものを生み出したい!と思ってる人は、すぐにでも製作に取り掛かって思う存分作りまくったほうがいいですよ。
 僕も気付いたら四十歳を越えてしまい、「あれ? 四十歳ってかなりのおっさんじゃない? どうなってんの? まだせいぜい三十歳ってところだろ……」という感じです。
 技術的にはようやくスタート地点に立ったというところなのに、創作活動的に見た残り寿命はあと二十年程度ですよ。しかも年々能力は衰えていく。
 人間に与えられた時間は少ない。死に物狂いで作れ!