御伽噺ではありません。
黒うさぎは、世界の恒常性を保つための
「システム」のひとつなのです。
ある種の生物は、
気候などの環境が悪くなると、
メスが多く生まれるようになります。
少しでも子孫を多く残そうとする
機構が働くのです。
また、食物連鎖の均衡にも、
この機構は組み込まれています。
たとえば、なんらかの理由により、
ある一種が増えすぎるとします。
すると、
その生物を捕食する種も増えます。
やがては食べられるほうの
絶対数が少なくなり、
食糧不足により、食べる種も減ります。
最後にはもとのバランスに戻ります。
また、病気も、
生物の絶対数を保存するための
機構のひとつです。
個体数が増えれば、
同種の仲間と接触する機会が増え、
病気の感染率も上がります。
個体数が少なければ、
群れ同士の接触の機会が少ないため、
ある群れの全体が病気に冒されても、
その群れが全滅するだけで、
種全体に及ぼす影響は少なくなります。
気候や自然現象にも、
このような恒常性を保つシステムは
組み込まれています。
これは、この世界を作る物理法則が、
異端を嫌うようにできているためです。
圧力の違う二つのものは、
混ざり合い、同じになろうとします。
この、「恒常性を保つ」というのは、
我々エンパシィの思想の根本ともなっています。
他者の喜び、悲しみ、 苦痛を
共に分かち合えば、
いつかは皆が幸せになれるのです。
黒うさぎは、全世界の争いと憎しみの総量が
一定限度に達すると開放されると言われています。
黒うさぎは、今も世界のどこかで眠っています。
もし、彼が目覚めることがあれば、
世界は恐怖と混乱の渦に
巻き込まれることになるでしょう。
・・・・・・・・・。
・・・・。
・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あいかわらずおしゃべりな女だぜ)

まぁまぁ、

難しい話はこのへんでかんべんしてください。

オレもキョスゥも、昔とはちがいます。

オレ達は平和を愛する博愛主義者になったのです。

よほどのことがないかぎり戦いなどはしません。

・・・・もし、オレが死んだりしたら、

妻や息子が悲しみますから。

 

あら、これから盛り上がるところなのに・・・。

わたしたちエンパシィの活動理念と、

全世界を博愛の心で満たす・・・。

ノイズ:

うー・・・うー・・・・。

あらまぁ、ねぇさんまで話を止めるの?

まったくもう!

 

それじゃぁ、フレインちゃんに幸運のおまもりをあげましょう。

このブレスレットをつけて、わたしのようないい女になるのですよ。

 

リスン:

フレイン、元気で・・・さよなら・・・。

 

おっ ! カッコいいのをもらったな!

フレイン、ありがとうは?

 

フレイン:

あいあおー!

 

 

 

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