そして、虎顔の男は消えた。 わたしは、なんとか砂漠を越え、生き延びることができた。 今は、ゴミをあさり、汚水を啜る毎日だ。 つらく苦しい現実生活の前に、城での華やかな生活は、 夢の世界の出来事だったように思える。 しかし、この暮らしにもだいぶなれてきた。 最下層から世界を眺めるというのも、以外におもしろいものだ。
あの男に対する恨みが消えたわけではない。 今度出会ったら、傷の数を倍にして、 満足に動けないようにしてやろうと思う。
そして、ゴミをあさり、汚水を啜る生活をさせてやるのだ。
おぉ! これは袋詰のパンの耳では! これで二日はしのげる。 今日も、なかなか良い日だ。
|
続く
|