「う、うーん……」 ブリイズが気付くと、外は静かになっていた。どれくらい眠っていたのだろうか。 母の胎内は生臭い空気が充満し、蒸し暑い。日が昇り周囲の気温が上がっているようだ。 ブリイズは水と食料を少しずつ腹に収め、イネクセルに言われたとおりじっと待つことにした。
胎内の暗闇の中で、時間感覚はすっかり消失していた。 湿気のせいで皮膚がふやける。母の体のといえども、死体の中は居心地が悪かった。耐え難い湿気と悪臭が絶えずブリイズを苦しめる。 やがて再び気温が上昇し、ブリイズは耐えられなくなり胎内を抜け出した。
そこには解体された無数の人体が散らばっていた。 まさに地獄の光景がだった。 「イ、イネクセルさん……デュラムさん……うわぁ〜ん!」 生きているものは見あたらなかった。いや、まともな姿をしている死体さえ無かった。 |