第一章 1

 

 

 「ヴェルニャックリ様、やつらを追いつめましたぞ。この先は盆地です。完璧に包囲しました」

 「フフフ、いよいよ狩りも仕上げか。楽しみだ。」

 生首から垂れ落ちる血を飲みながら人間狩りを指揮するのは、血まみれ女王として名高いヴェルニャックリィ。趣味は狩りと拷問である。

 

 

 「イネクセル、もうダメだ、逃げ場はない・・・・・」

 「ここまでか・・・・」

 「あいつら、ゲームのつもりでオレ達を殺しやがる! ちくしょう!」

 退路を断たれ、人間たちには為すすべがない。

 一団を率いるリーダー、イネクセルは、ついに決断をする。

 

 「みんな、聞いてくれ。我々にもう逃げ場はない。どうあがいてもここで全滅するだろう。だが・・・・・・我々はには使命がある! 『天国』への鍵をここで失ったり・・・・・・奴らに奪われてはならんのだ! みんな、わかるな!?」

 「死ぬのか・・・・・・オレ達・・・・・・」

 「あぁ、だが、負けっ放しはいやだろう? とっておきの秘策を使うッ!! ブリイズ!」

 イネクセルは現状を打破する策があるという。

 

 

 「は、はいっ!」

 一同の視線が一人の少年に注がれる。

 少年の名はブリイズ。なんのへんてつもない、どこにでもいる5歳の少年である。変態に襲われれば泣きわめき、夜怖い夢を見てはお漏らししてしまうごく普通の少年である。一団の中では最年少のこの少年が、いかなる手段で皆を救うというのか。

 

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