嵐の山荘に閉じ込められた主人公が、ちょっとしたことから見ず知らずの六人を次々に殺してしまい右往左往する話です。
しかも一緒に山荘を訪れた友人までなぜか死体となって現れるしまつ。
犯人が推理するという倒叙もののような話となっています。
街で別の事件を追う刑事の話も並行して描かれ、最後で二つの事件が合流しあっと驚く結末に辿り着きます。
西澤保彦の作品の中では若干存在感が薄い気がするものの、読むのは今回で三回目でした。
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西澤保彦の四作目であり、変態趣味が表に現れ始めた作品だと思います。
しかしまだだいぶまともと言える。
今これを書けばどぎついエロシーンやスプラッタ殺人シーンとかが入りそう。
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物語冒頭で山荘に集った人々は皆殺されており、主人公は「皆を殺したのは殺人鬼で、自分はそれを返り討ちにしたことにする。さて誰に罪をなすりつけて殺人鬼役にするか」と思案します。
ひどい話だ。
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山荘に集った人々にもいろいろ裏があったりするのですが、そのあたりがあまり書かれていないのが残念でした。
各キャラをじっくり書き込めば相当嫌な話になっただろう……。
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作者の熱心なファンには物足りなさが残りそうなものの、だからこそ気軽に読めると言えるかもしれません。全然軽くないけど……。
奇天烈な設定とどんでん返しが好きな人にはおすすめできます。