発売当時物議を醸した感じのあるRPGです。
強烈な一本道と聞いていたので覚悟はしていたものの、想像を超える一本道で驚きました。
序盤は文字通り一直線の一本道をひたすら進むんですよ……。
ストーリーもすごく残念で、メインキャラにかっこいいセリフを言わせた過ぎておかしなことになってました。
全体で見ると「やりたいことはわかるけどこれはちょっと……」という感じでした。
キャラの言動がもう少しまともなら満足できた。
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●システム
6人で冒険しますが戦闘は3人で行います。
戦闘では各キャラの行動を直接指定するのではなく、あらかじめ「攻撃役・回復役・防御役・サポート役」などの役割を決めてスロットに登録しておき、スロット切り替えで戦います。
例えば「キャラA:攻撃・キャラB:攻撃・キャラC:攻撃」で全員攻撃、「A:攻撃・B:防御・C:回復」で盾役がダメージを引き受けつつ攻撃、「A:防御・C:サポート・C:サポート」でダメージを抑えつつ味方を強化、などです。
敵に連続で攻撃するとチェインゲージが上がっていき、これが満タンになるとブレイク状態となり大ダメージを与えられます。
というよりブレイクさせなければあまりダメージを与えられません。
つまり防御や回復主体で戦っているといつまでたっても戦闘が終わらず、隙を見て全員攻撃する必要があるわけです。
ボス戦などは制限時間があるため、のんびりと戦っていられませんよ……。
この戦闘は非常に完成度が高いです。素晴らしい。
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ショップなどはなく、セーブポイントが電送ショップを兼ねています。
街もありません。
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スキルツリーに経験値を注ぎ込むことでキャラを強化します。
スキルツリーの途中に「HP+100」などの項目があり、ステータスはこれで強化します。
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素材を使って改造することで装備品がレベルアップします。
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●グラフィック
大変素晴らしいです。
しかしメインキャラの服があまりにも新品すぎてお芝居を見ているような気分になる……。
傷も汚れもない、おろしたてのぴっかぴかですよ……。
なぜ日本の映像作品はこういうことをしがちなのか。
あと脇役と比べてメインキャラがおしゃれ過ぎて、これも「主人公一味のための劇」みたいな印象を強くしている。
敵やメカのデザインはかなりかっこよくてすごい。
こういう面での国産作品のデザインセンスはほんと素晴らしい。
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●ストーリー
設定は凝っていていいんだけど、キャラの反応が変で、いわゆる「セカイ系」みたいな感じがあります。
世界のために戦ってる建前で自分たちのことしか考えてなくて、世界観とか整合性とか気にする人は感情移入できないわけですよ。
娯楽作品なので「未来に希望を持とう」みたいなのを強調するのはいいんだけど、物事に対し都合のいい解釈をし過ぎで、なんの保証もないのに「突撃すればなんとかなるぜー」と突っ込んでいくのはどうなんだ……。
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●感想
序盤のかったるさが尋常じゃないです。
一本道とは聞いていましたが、最初の一時間で文字通り一直線の細い通路を歩かされるとは思わなかった……。
さらに3時間半過ぎるまでキャラが成長せず「僕は何をやっているんだ……」という気持ちになる。
その後は突然戦闘の難度が跳ね上がりちょっとおもしろくなってくる。
しかし相変わらず細い通路を歩かされる。
チュートリアルみたいな進行が20時間続いたあと、ようやく敵がウヨウヨしている広い平原に出て面白くなります。
強敵を退治するクエストなんかもでてくる。
「これがFF13の真の姿か! 我慢したかいあったぞ!」とちょっと思う。
しかし気付くとまた一本道に入り込んでいて、どうやったらあの平原に戻れるんだろうとと思いつつ進んでいるとなんかエンディングになる……。
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戦闘の出来は素晴らしいです。
かなり作り込まれている。
このシステムでもっとまともなRPGを遊びたいと思いましたよ……。(続編のXIII-2はだいぶまともになっている)
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装備の強化要素があるものの、「ここは温存してもっと強い武器を強化しよう」となって結局ほとんど強化せずに終わってしまいました。
戦闘関連は緻密に作られてるのに、この部分はかなり失敗してる気がする。
クリア後のやり込み要素という位置づけなのかもしれないな……。
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想像以上の一本道一方通行でしたが、これはたぶんプレイヤー全員に同じ体験をしてもらいたいという意図なのだと思います。
場面ごとにレベル上限が設定してあり、露骨に攻略方法を限定してるあたりからもそれが窺える。
戦闘特化でストーリーを進めるソーシャルゲーム的なデザインを先取りしていたのかもしれないな……。
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変な造語が大量に出てくるのは意外に気になりませんでした。
紹介文等で見ると混乱しますが、実際にプレイすれば許容範囲だと思います。
ここを馬鹿にされるのはかわいそうな気がする。
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キャラにかっこいいセリフを言わせるためにストーリーがある感じでした。
展開が一直線なこともありキャラへの思い入れを深めるイベントやクエストがありません。
そのため葛藤や会話のシーンに入り込めず、結果として美男美女が薄っぺらい会話で痴話喧嘩したりじゃれ合ったりする物語になってます。
製作側はキャラのことをよくわかってるため「言動に一貫性がある!」と思ってるんだろうけど、プレイヤーにはキャラの設定なんてわからないから、よくわからんやつらが変なわがままを言いだして奇天烈な行動を取っているように見える……。
一場面を切り取ればかっこ良さそうに見えるもののストーリーとして見ると無策で無謀なシーンが多く、これもプレイヤーが盛り下がるところだと思いますよ……。
セリフだけ見れば「悲壮な決意で挑む!」という感じでかっこいいんだけど行動はバカそのもの……。
みんなのためといいつつ自分勝手な軽挙妄動で事態を悪くしている。
「これはほんとにやばいから絶対やるなよ?」と敵が忠告し、プレイヤーとしては「この難題をどう解決するんだろうか!?」とドキドキしたところに、なんかかっこいいセリフを言いながら無策で突撃するキャラ達……。
結果大変なことになるんだけどかっこいいセリフで苦悩するだけのかっこいいキャラ……。
どこまで頭が悪いんだよ……。
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自由に動き回れる11章はおもしろいです。
知らないうちに戻れなくなったのが残念でならない。
最終盤で戻れるようになるのですが、わざわざ戻ってやりなおすほどでもなくてクリアした時点でやめてしまいました。
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ストーリーというかキャラの言動がもうちょっとまともなら評価5割増しかな……。
あまりおすすめはできないけど、昨今の大ボリュームゲームと違って確実に進んでると実感できるのは気が楽かもしれない。
続編のFF XIII-2はだいぶよくなってるので、そのためにこの長大な一本道を踏破するのも悪くないかもしれないぞ……。
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開発元 | スクウェア・エニックス |
発売日 | 2009/12/17 |
プレイ時間 | 45:59:15 |