神様ゲームの続編です。
重複する登場人物は神様だけなので、前作未読でも楽しめます。
麻耶雄嵩の作品としてはわかりやすくて初心者向けな一方、小学生が大人みたいな思考をするなど過去作未読の方は面食らう部分もあり、薦めやすいような薦めにくいような作品となっています。
過去作の「あいにくの雨で」の小学生版といった感じがあります。
連作短編集です。
話が進むにつれ見知った世界が崩壊していく感覚はまさに麻耶雄嵩ですよ。
ライトなものを書いてもヘヴィな感じで最高です。
しかしまぁ、寡作気味とはいえ定期的にこういう強烈な作品を出してくるとはほんとすごい作家ですよ……。
新本格勢の中ではトップクラスの地力がある感じで、作品の独創性や凝り具合を考えると驚異的すぎる。
10年くらいで燃え尽きそうな作風なのに、よくここまできたものだ。
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各エピソードの最初に犯人が明かされ、「なぜその人物が犯人なのか」を探る展開となります。
トリックとしてはアリバイものが多くなっています。
「それはどうなの? 警察がちゃんと調べればバレバレでは?」という感じもあるものの、見どころは狂った論理なのでファンは大満足でしょう。
よく知らない人は「何これ?」となるかもしれない……。そもそも神様ってなんだよ……。
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麻耶雄嵩の作品は読後に解説が欲しくなるものが多いですが、本作は重要部分は作中でしっかり明かされています。
読者の想像に委ねられる部分も、何が裏があるのでは、驚きの真相があるのではと捻って考えなくてもよさそうです。
しかし明白な結末をどう解釈するかは、人によって意見が分かれそうです。
最後の唐突な某記号の「何これ感」が凄まじい。
麻耶雄嵩のファンほど、これをどう解釈すればいいんだと頭を悩ませるんじゃないかな……。
神様の取り巻きが主人公に持っていた印象とか、中盤で明かされる仕掛けとか、「これを強調するということはそういう視点で見るべきだったのか?」と思いました。
主人公の感情や思惑は敢えて伏せられていたのかも、とか。
しかし深読みし過ぎな気もするし、物語の真相的なものとも関係ないので、考えても意味ないかな、とか。
誰が誰を出し抜いたのか僕は気になってしまうんだけど、そういう視点自体が浅いような気もして、なんともいえないモヤモヤ感が残るところがいい……。