「HALOキラー」という触れ込みで登場したFPSです。この一作目は日本では全く人気が出なかったようで、中古も品薄なのか値段が高め。
しかし世界累計では100万本以上売れていて、順調に続編も製作され喜ばしい限りです。
異星での戦いを描いたSFものです。とはいっても、敵は人類から派生した種族らしく見た目は人間と変わりません。おかしな格好のミュータントは出てきません。
SFものなのに実弾を撃つ銃ばかりでてきます。未来的な兵器はほとんどありません。自分の使える未来装備としては、ロックオン対象に爆撃指令を出すヘルメットくらいでしょうか。これも特定のエリアで少し登場するだけです。
機銃はいくつか種類があるものの乗り込んで操縦する車両はありません。
キャラのデザインや画面の雰囲気を見るに、ナチス対連合軍を意識しているようです。敵側ヘルガストがナチスで、主人公の所属するISAが連合軍です。SF兵器があまり出ないこともあり、ぱっと見の印象では第二次大戦ものです。
ビックリ兵器が出ないのでSFとしてはガッカリかもしれませんが、この渋すぎる雰囲気はいいです。ギラギラしたレーザー光線が飛び交うSF大戦争よりも、埃と硝煙にまみれた重苦しい世界のほうが僕は好みです。画面もセピア調でかっこいい。
グラフィックは非常に美しいです。PS2最高峰でしょう。ワンダと巨像やキングコングに匹敵するレベルです。ただこれらの作品と同じく場面によってかなりフレームレートが落ちます。特に中盤から仲間が増え四人で行動するようになるので常時フレーム落ちです。
また、距離によってモデルを切り替えるのが丸分かりでかっこわるいです。
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●システム
標準的なFPS操作に加え、L3押し込みで視線方向にダッシュできます。スタミナが減るので長距離の高速移動はできません。
通常移動にも癖があり、なぜか斜め方向の移動速度が遅いです。そのため、ジグザグ走行で被弾を減らしつつ特攻することができません。というより歩行自体が遅いので左右に移動しながら戦ってもビスビス被弾します。
そのため有利な位置を確保し足を止めて撃ちあうのが基本になります。照準合わせに集中できて楽とも言えるかもしれない……。
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武器は三種類持てます。
初期装備は弾数が限られているため途中から敵の武器を拾って使用することになります。
これがまたとんでもなく集弾性が悪くて泣けます。主力武器となる敵側のアサルトライフルは、ズームして撃ってもほとんど当たりません。距離にもよりますが、十発撃ってなんとか二発当たると考えたほうがいいでしょう。狙撃で敵を減らすことが困難です。ヘッドショットもまず当たりません。山ほど撃ちこんで偶然当たったらラッキーという感覚です。
HARDの最終エリアで10メートルほど離れた敵にSTOVA(敵側の強化型アサルトライフル)で百発撃ちこんで倒せなかったときは泣きそうになりました。
ただ、ヘルガストのアサルトライフルは集弾性が悪いかわりに装弾数がかなり多いので撃ちまくれます。
プレイヤーの弾はちっとも当たらないけど敵の弾はばんばん当たります。五割を越える命中率でしょうか。
狙撃銃もありますが、これはスティックを離すと照準が中央に戻るという嫌な挙動をするためほとんど使えません。
武器によってはR2でサブウェポンが使えます。
R1で手榴弾を投げられます。ボタンを押すとピンを抜き、離すと投擲です。保持している時間で爆発タイミングを調節できるので便利です。最大所持数と出現数が少なめなのが残念。照準も表示されないので狙いをつけるのが難しいです。
オプションメニューでスティックの感度も変えられます。照準の移動にはBLACKのように若干慣性がつくようで、フレーム落ちに慣れれば割と微調整がしやすく僕は快適にプレイできました。
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体力は一定量自然回復します。連続でダメージを受けたり大ダメージを負ったりすると、回復の最大値が少しずつ下がっていきます。ごく稀に出る回復アイテムを取ると回復の最大値に関係なく規定量の体力が回復します。
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銃の特性と回復のシステムから考えると、特攻して被弾しつつ戦うというスタイルが向いていると思われます。
ダッシュを利用して遮蔽物に隠れなるべく敵のそばまで接近し、ターゲットを決めたら半分身を乗り出し撃ちあいます。倒したらすぐに隠れ、減った体力を回復させます。
常に遮蔽物に隠れながら戦うのがポイントです。腰の高さの遮蔽物を有効に活用しましょう。壁から半分身を乗り出すときも、しゃがんでいるとさらに被弾を減らせます。
被弾前提は美しくない気がするものの、反動の激しい銃で真正面から大量の弾を叩き込む感覚はかなり熱いです。敵はかなり固いので撃ちこみ甲斐があります。
グレネードを遠慮なく連投してくる敵もいるので、手に負えないと思ったら思い切って特攻です。距離を取って戦おうとするとほぼ確実に爆殺されます。
僕は初プレイのとき遠距離からの狙撃をメインにプレイして「ちっとも当たらねぇ……クソゲーっぽいなこれ……何考えてこんな弾の当たらないゲーム作ったんだ……」と思ってました。しかしこれは間違っていた。愚かでしたよ。一周でやめていたらこのゲームの本当のおもしろさに気付かずに放置するところでした……。
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敵のアルゴリズムは可もなく不可もなくといった感じです。積極的に攻めてこないので、当たらないアサルトライフルを使い大量の弾と大量の時間をかけて狙撃していくことも、なんとか可能です。
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ゲームが進むと味方が増えていき、主人公を入れて最大四人で行動することになります。ステージ開始時にキャラを選ぶことができます。
キャラによって初期装備の銃・体力・移動速度がちがいます。ルートが分かれる場面もあります。このルート分岐は数が少ないうえに距離も短いのが残念です。リプレイ性を高める要素にはなってないかも……。
仲間は自分が進んだところまでついてきてくれます。有能すぎず無能すぎずでちょどいいバランスとなっています。
仲間は無敵です。死ぬことはありません。
・テンペラー
最初に使用するキャラ。初期装備のISAアサルトライフルは命中率はそこそこいいもののマガジンの装弾数が少なくいまいち使えない。セカンダリーウェポンとしてグレネードが使えます。適当に使い切って他の銃に持ち替えたほうがよさそうです。
キャラ的にはこれといった特徴がありません。
・ルーガー
女暗殺者。初期装備のサブマシンガンはなぜか狙撃機能があります。この狙撃は強力で、あの固くて泣ける敵を二発で倒せます。
キャラごとのルート分岐では狙撃・暗殺系が多いです。一番ゲーム性がかわるのがこのキャラかも。
狙撃でチマチマ進めるため初心者向きではあるんですが、体力が非常に少ないため狭いエリアで近距離戦闘するときに難度が跳ね上がります。HARDの最終エリアはかなりきつかったです。
このキャラのみ暗視ゴーグルを標準装備しています。しかし使う場面がまったくない。悲しいくらい使い道がない。これにボタンを一つ割り振るのはあまりにも無駄ではないだろうか。
・リコ
重機関銃を持つ猪突猛進の巨漢です。ハッカと仲が悪くデモでは喧嘩ばかりしています。(リコが一方的に突っかかってるという感じ)
こいつはかなり強いです。初期装備の重機関銃がものすごい破壊力な上に、体力も多くちょっとやそっとのことでは死にません。ルーガーの倍くらい体力があるように感じます。
自動回復時の回復割合が最大体力の○%という感じなので基本体力の多いリコはかなり有利です。ただ、時間あたりの回復量は他キャラと同じため回復にかなり時間がかかります。
・ハッカ
ヘルガストの武器を上手に扱えます。反動が減ったり集弾性が良くなったりするようです。
これといった特徴はないものの地味に有利なキャラです。
敵のコンピュータをハッキングし、敵飛行ロボットとこちらの味方にすることもできるんですが、残念ながらそういう場面自体がほとんどなく、コンピュータにたどりつく前に飛行ロボットを倒してしまうことも多いです。
ストーリー的にもわりと重要で、僕のお気に入りキャラです。
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オフラインマルチプレイモードがあります。これがなかなか充実していておもしろいです。(海外版はオンラインでも遊べるらしい)
設定をいろいろ変えることができ、僕みたいに友達がいない寂しい人でもコンピュータ相手に一人で遊べます。
難度は高いです。復活直後にグレネードの直撃食らって再び死んだりするとリセットボタンに手が伸びます。このあたりの理不尽をもう少しなんとかしてほしかった。
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●グラフィック
静止画で見るとほんとうに綺麗です。ゲームの雰囲気、色調、メカや建造物のデザインが見事に調和しています。
しかし動いてるとガッカリな場面が多い。とにかくフレーム落ちがひどく、10FPS以下になる場面も頻出する気がします。
FPS初心者は絶対避けるべき作品かもしれません。ある程度なれてくるとフレーム落ちの部分を脳内で補完でき普通にプレイできるんですが。
距離によるモデル切り替えも丸わかりで、全然違う形になるオブジェクトもあって悲しいです。
ゲーム自体は割と単調なものの、さまざまなシーンがあるので飽きません。絵の力は偉大だと思わせてくれます。
PS2では表現が難しいといわれるジャングルのシーンも素晴らしいです。そのぶんフレーム落ちがきびしいけど。
これでBLACKやAREA-51のように滑らかに動いてくれたら……。
背景の素晴らしさに比べるとエフェクトがしょぼいです。銃の閃光や爆風が一枚絵をパッと表示するだけになってます。いくらなんでも手を抜きすぎだろ……。
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●ストーリー
まあそれなりのB級SFという感じです。
テンペラーとルーガーはかつて恋人同士だったらしく、ラブロマンスっぽいシーンもあるようなないような……という感じです。
リコとハッカが敵対してるという設定もちょっとしたアクセントになっています。
メインキャラの中ではハッカがいちばん魅力的でした。特殊な境遇に加え、終盤で彼に関するエピソードもあるせいかもしれません。
続編でハッカの過去をもっと掘り下げてくれたら嬉しいな、と思ったんですが、キルゾーン2にはテンペラーとリコしか出ないのだという……。
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●特殊テクニック
ヘルガストのアサルトライフルLARはサブウェポンとしてショットガンがついています。
メインショットを撃ちながら同時にショットガンを撃つこともできるので、確実に敵をしとめたいときに役立ちます。ショットガンがうまくあたらなくてもそのままメインショットを撃ち続けられます。
しかし、メインショットを止めた途端ショットガンのリロードをするため、敵が多いときには使わないほうがいいでしょう。
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●感想
非常におもしろかったです。全キャラNORMALとHARDでクリアしました。
前述の通り初プレイではあまりの集弾性の悪さにクソゲー認定するところでした。フレームレートの低さもきつかった。仲間を常時連れ歩かなければもっと滑らかに動いたかもしれないのに。
歩行速度が遅いため動き回って被弾を減らすということができず、弾が当たらないので狙撃で敵を減らすことも難しい。
「敵になるべく接近し、半身を隠しつつ真正面から撃ちあう」というゲーム性がわかりにくかった。
これらの難点のため最初は一周して終わるつもりでしたが、いちおう他のキャラもやっておくかとプレイしているうちにはまってしまいました。
何度も書いているフレームレート以外にもいろいろと欠点があります。
・テクスチャが貼られないときがある。
処理が間に合わないのかしばらくの間テクスチャが表示されないことがあります。
建物の壁が透明なままで敵がまるみえになったり、足元の床が表示されず空中を歩くことになったりもします。
・進行不能になる
ゲーム進行に合わせて扉が開くなどのイベントが起こる場面で、いつまで待ってもイベントが起こらずリトライするしかない場合があります。
八周したうち、五回以上は進行不能状況になったでしょうか。
・プレイ時間がバグる?
体感で50時間くらいの時点でプロファイルでは100時間越えてました。そんなにやってないと思うんだけど、熱中しすぎて時間間隔が狂ったのかな……。
・はしごや機銃の操作判定がなかなかでない。
はしご等を使うにはアクションボタンアイコンが表示されてからボタンを押す必要があります。しかしこれがなかなか出ないときがあり、急いでるときはイライラします。
機銃に素早く乗らないと大変なことになる場面もあり、結局乗れずに蜂の巣になって死亡したりします。これはすごい理不尽感がある。
・歩くのに合わせて画面が揺れる。
僕はあまり気にならないんですが3Dゲームで酔う人はきつそうです。
フレーム落ちが激しいのでそれはもうガクガク揺れます。
・移動中ひっかかりやすい。
これは地味に気になります。遮蔽物に隠れるのが大事なゲームのため、このあたりは滑らかな操作感にしてほしかったです。
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慣れれば非常におもしろくて爽快感があるのですが、そこまで辿りつくのが非常につらいゲームだと思いました。
FPSが好きな人でも一周クリアして「まあ、そこそこかな……」で終わってしまうような……。しかしそれで終わらせるにはあまりにも惜しい作品です。次世代機で高フレームレート版としてリメイクされないかな。
人には勧められないけど僕には最高の作品でした。
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●まとめ
開発元 | Guerilla Games |
発売日 | 2004/11/02(北米) 2005/10/27(日本) |
プレイ記録 | 全キャラHARDクリア |
プレイタイム | 194:59:25 |
プレイステージ | 655 |
勝利ステージ | 277 |
キル | 23438 |
頭部への狙撃数 | 6778 |
死亡回数 | 364 |