アメリカ産プログレパワーメタルの、2010年発売のデビューアルバムです。
元RIOTのマイク・ディメオがヴォーカルをとっています。
「使用和音の九割はマイナーコード!」という感じの暗く陰鬱な曲ばかりです。
スカッと気分が高揚するようなメロディはかけらほども含まれていない。
北欧メランコリックメタルのようなキャッチーな暗さでもない。
ところどころ速いパートもあるものの、基本的にミドル~スローテンポで、血気盛んなメタルキッズは聴いていてあくびが出るかもしれない。
「こんなん誰が得するの?」という感じです。
僕が得する感じです。
しかも大半の曲が七分台です。一般受けを狙うという意識が完全に欠落している……。
「オレたちはこういうのが好きなの! 誰がなんと言おうと暗いプログレメタルをやるの!」という気概が伝わってきます。
↑このパッとしない感じ……。
こんな曲ばかり延々と続きます。
しかし曲は長いものの、変拍子使ったりリズムの緩急がつけられたりと、なかなかドラマティックに盛り上がります。
この手のバンドとしては珍しく、これみよがしに弾きまくるソロは少なめです。全体的にリフを強調しているような。
豪勢なクワイアや派手なオーケストラアレンジを入れることもなく、あくまでバンド形態でのサウンドにこだわっているようです。
ディメオの声も歌メロに合っています。ヨーロッパの泣きメロとは一味違う哀愁のメロディです。女子供やメロスピ厨に媚びないメロディとでもいいましょうか。男の哀愁ですよ。
ただ、ここぞというところで「いかにもアメリカの正統派バンドだなぁ……」という感じの地味なメロディになったりするのが少々残念です。
メロディセンスは悪くないので、サビでとっておきの哀愁メロディを炸裂させてほしいものです。このあたり、日本人との感性の違いを感じる。
サビで悶涙しながら合唱するより、リズムに合わせて野太い叫びを轟かせるというのが、アメリカのバンドにとって興奮する展開なのだろう……。
そんな中で、三曲目のHollowはかなりグッとくるメロディをサビに持ってきていて、印象に残ります。
十曲目の、バンド名を関したCreation’s Endもいい。11分の大作ながら飽きずに聴きとおせます。いや人によっては飽きるかな……。
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かなり人を選びそうなアルバムではありますが、ディメオの歌が好きだったり暗い曲に目がなかったりする人はチェックして損はなさそうな作品です。
全然褒めてない感想文だけど、僕はかなり気に入っていて聴きまくってますよ!