スペインのシンフォニックメタルバンドの九作目です。
僕が持っているのは2ndと3rdのみでしたが、今になって突然来日するというので、新作を購入してみました。
2000年代初期のメロスピブームへの郷愁もあって「あのころ楽しい思い出をもらった恩返し代わりに、新作を購入しライブに行ってみよう」という感じでした。
実に十年ぶりに聴くダークムーアのアルバムです。
まあなんというか、メロスピファンを自称してるわりには、クラシカルなメロディ+ハイトーンというのはあんまり好きじゃないので、これまで敬遠していたのですね……。
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期待を越える完成度で、大満足の一作でした。
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近年のダークムーアは「メロスピじゃなくなった」「メタルじゃなくなった」など、散々な言われようなので若干心配でしたが、実際に聴いてみたところ大変すばらしいアルバムで驚きました。
ツーバスドコドコの典型的メロスピ曲こそほとんどなくなってしまったものの、音楽的なレベルは格段に上昇してると思います。
歌メロの充実度はすごいものがある。
初期から考えるとリーダー以外の全員が代わり、十年たったというのに、ちゃんとダークムーアらしいメロディが残っているのは少々驚きました。
その上で、洋楽ポップミュージック的な超キャッチーなメロディが追加されており、メロディ重視派のメタルファンならば大喜びしそうな作品になっています。
ただ、こういうメジャー感のあるメロディは、メロスピファンは好まないというのもわからないでもない……。
ヴォーカルは中音域重視のセクシーな声質です。バラードがたまらん……。
ライブにも行ったのですが、「Gara & Jonay」が素晴らしすぎて漏らしそうでしたよ。
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シンフォニックなアレンジは相変わらずですが、歌メロがポップなので、クラシックというよりはオペラやミュージカルのような印象になっています。女性クワイアが、ミュージカルっぽさをさらに強調している。
僕は、露骨にクラシックのフレーズを拝借するものよりも、こういたスタイルのほうが好きなので、旧作よりも楽しめました。(正直に言ってしまうと旧作は速い曲しかいいと思えなかった……)
また、ブラス系の音が目立つアレンジになっていて、典型的なシンフォニックメタルとは若干印象が違うため、このあたりもメロスピファンは好まないのかも。
This is my way、Together as ever、Saint james wayあたりが、今のダークムーアを象徴している曲と言えそうなおすすめ曲です。
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典型的メロスピ曲がほぼ無くなったのは大きな痛手ですが、それを補うくらいの良さもあります。
さわやかな哀愁が漂う、大仰なパワーメタルを聴いてみたい人にはかなりおすすめです。