不気味な雰囲気のスリラー小説です。と思いきや終盤でドタバタコメディのような奇妙な展開になります。
大量の逆説で構成された変な話とでもいいましょうか。
主人公である「詩人」が、無政府主義者(左翼系テロリストのような感じ)の秘密組織に乗り込み、幹部である「木曜日」になりすまして組織の陰謀を暴き爆弾テロを阻止するという話です。あらすじ的にはそういう話です。
基本的にはスパイもののような雰囲気です。知恵の回る若者が闇に紛れて悪を討つノワール活劇が好きな人は楽しめるかもしれない。
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会話にも話の展開にも逆説が盛り込まれてます。
「正体を隠すために正体を隠さずにいる」「泥棒は財産というものを尊重しているからこそ財産を盗む」「異常な反逆者に囲まれて育ったから、それに反逆して正常になった」みたいな屁理屈がページをめくるたびに飛び出します。
この読書感は阿部公房の不条理小説に通じるものがある。
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一般的な推理小説で言うところの「仕掛け」的な部分はすぐに見当がついてしまうため、ネットの感想では「トリックはすぐわかった!」みたいな意見がちらほら見られます。しかし本作は推理小説・トリック小説ではない……。この作品のキモはそれらが逆説として構成されているところでしょう。
そしてそれが本作の奇妙な雰囲気を形作っているといえます。
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一番最後のオチの部分は「えー!? それは何?」という感じで、寓話的・風刺的になっています。
物語自体も、ちゃんと理解するにはキリスト教の知識が必要なのではないか。
当時の時代背景なども考慮する必要がありそうです。
詳細な解説がほしいと思いました。
しかし作者が本当に書きたかったものは、妙ちきりんな逆説で読者を煙に巻くことだけだったような気がしないでもない。
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訳は非常に読みにくいです。直訳感あふれる古めの文体です。これでひねくれた逆説を大量に読まされるのは相当きついですよ……。
訳者は吉田茂の息子だそうです。名訳者とされているようですが、文学の心を持たない僕には正直きつい……。
新訳版もあるなので、これから読むならそちらのほうがいいのかもしれない。
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難解な訳文を我慢すれば、珍妙な娯楽小説として楽しめます。
でもやっぱり詳しい解説がほしいなぁと思う作品でした。
DOOMですか懐かしいですね、むかしのidはquakeにしてもウルフェンシュタインにしてもよく出来たゲームを作ってましたよね、最近はあんまりパッとしない感じでしたが最新作のウルフェンシュタインは中々評判もいいようで安くなったら買ってやってみたいですね。
年齢が高くなる程FPS系は体がついていかなくなってきているので最近はプレイするのが少しつらくもあるのですが・・・。
コメント by tintin — 2015 年 10 月 22 日 @ 23:54:01
シングルでいえば最近のFPSのほうが簡単かもしれません。
よくも悪くも演出重視で、遊ぶ部分が少なく難易度も下がっています。
コメント by 坂葉 — 2015 年 12 月 5 日 @ 19:11:36