サンダーフォースの続編という触れ込みで「BROKEN THUNDER」が同人扱いで発売され、それがとんでもないクソゲーだったそうです。
YOUTUBEにあがってる動画を見たところ、たしかに「こりゃねーわ」という出来でありました。イモムシロボが体をまっすぐ硬直させたままくるくる飛び回るさまはまさにシュールのひとこと。これにOKを出すには相当のセンスが必要だろう……。多脚戦車が足を動かさずにフラフラさまようのもなかなかすごく、それが最終面では宇宙を漂ったりして「なるほど、たしかに宇宙では足を動かす必要はないな」と納得してしまったりする出来でした。
そんなわけで2chのスレを時々覗いていました。スレの伸びがものすごくてところどころ拾い読みなんですが……。
しかし、消費者センターいくだのという話が盛り上がっていて、それはなんかちがうだろいう感じが。
これはおそらく傍から見れば、「同人クソゲー一本になにをそんなにムキになってんだ」と逆に異常に思われるでしょう。いやこれは同人じゃない!と声を張り上げても、興味ない人から見れば「でも同人ショップでしか売ってないんでしょ?」という感じではあるまいか。
僕が消費者センターの職員だとしても、こんなんで相談されたら困るような……。いや、こういうのも事務手続きとしてマニュアル化されてるんだろうか。世の中もっと無茶なことで文句言う人もいるだろうし。そういえば、以前僕がケンタッキーフライドチキンでアルバイトしていたとき、新メニューの鶏肉に骨が入ってるといって苦情が殺到したそうだ。そんな無茶な!と思ったが、鶏肉の骨にもクレームをつける、それが消費者心理だとオレは学んだのだった。
クソゲー掴まされたうえふざけたお詫びテキストを見つけたときには確かに怒り心頭だろうけど、そうは言ってもしょせんクソゲー。クソゲーとは掴んだほうが悪いのだ。しかもこのWEB全盛期の昨今、買うならば体験版を見るとか周囲の評判を見るとかするのが普通ではあるまいか。特に今回の場合、体験版もなくスクリーンショットも猛烈にしょぼかったようで、ものすごいいきおいで地雷臭が漂っていたようです。
サンダーフォースファンなんて、僕と同年代の人が多そうなもんだけど、かつてのクソゲーとの戦いの日々を忘れてしまったんだろうか。メガドライブのラスタンサーガ2とか、それはもうすごい出来だった。日本テレネットやウルフチームのゲームも、漏れなくクソゲーという感じだった(しかしベーマガは大プッシュ)。あの当時にネットがあったら、やっぱり消費者センターとか訴訟だとかいう話になってたのかな……。
しかし、絶賛する雑誌記事の中から真実を見抜き、時にはクソゲーを掴みながらも我々は成長してきたのだ! やばいと思ったときには友達に買わせてみるというワザもあるだろう。そしてそれが予想通りのクソゲーで、友達が投げ出してしまうこともあるだろう。それを借りてクソゲーっぷりを楽しみつつ、やはりつまらないのでキーボードをでたらめに押したところすごい裏ワザをみつけてしまいそのワザを使えばなかなか遊べるゲームとなり、MSXFANに送ったらば裏ワザコーナーのTOPで紹介されゲームソフトを手に入れることもあるだろう。そして手に入れたウルティマ4が超絶的な傑作でそれから洋物RPGに目覚めマイト&マジックという世紀の大傑作と出会うことだってあるのだ。さらにその続編のマイト&マジックブック2はかなり微妙な出来で、しかし買ったからにはクリアせねばとログインの攻略記事を見たところ、翻訳にミスがありまともにやってたら絶対にクリアできっこないということだってある。一方ウルティマ5は前作に劣らず大傑作だったということもあるのだ。ちなみに、最初にクソゲーを買った友人には「雑誌に送ってもいい?」と聞き、彼は興味なさそうに別にいいよと言ったわけだが、僕が実際に裏ワザ大賞を取ってゲームをもらうと「あいつオレのゲームの裏技でゲームもらいやがった!」などと陰口を叩いていたらしい……。そういうのを想定してわざわざ許可をとったのに。
僕が買ったクソゲーで他に印象的だったのは、セガサターンのダークシード。HRギーガーがデザインした狂った世界観のAVGで、それなりにいいところはあるものの時間制限が厳しすぎてとてもクリアできそうにない。なんじゃこりゃと思って説明書をしっかり見ると、驚くべきことにクリアまでの手順が堂々と載っているではあるまいか。
ザインソフトのX68Kゲームもなかなかすさまじく、トリトーンファイナルなどはクソゲーオブクソゲーにふさわしい出来。なんといっても、バグなのか作りかけなのか、クリアできないのである。もしかしたらできるかもしれないが、僕はとことんやりこんでからこの結論に達した。僕は10MhzのX68でそこまで行った。あのゲームをここまでやりこんだのは世界広しといえどもオレ一人だろう……と思っていたが、クロックアップが流行ってからあのゲームをやった人はけっこういたらしく、以前WEBで検索してみたところみんな途中で詰まっていたようだった。やはりあのゲームはクリア不可能なのだ。
(※ クリアできるそうです。コメント欄参照)
ザインではレインフォーサーとかバルーサの復讐もなかなか微妙な出来で、まぁひとことで言えばクソゲー。ふたことで言えばかなりのクソゲーだった。だが、ディオスは名作とは言えないまでもなかなか面白かった。しかしx68界では「クソゲーのザイン」の名が浸透していたので、68ユーザーの聖書「Oh!X」では、ディオスもクソゲー扱いされていた。これは理不尽だと思ったものである。
ちなみにズームのソフトもかなりクソゲー度が高いと思うのだが、グラフィックや音楽が緻密に作り込まれていたおかげで皆惑わされていたようだった。ジェノサイドとか、たしかにかっこいいけどゲームとしてみるとひどいよなぁ……。ラグーンとかファランクスも……。しかし当時のx68界ではズームの批判をするのはタブーであった。そういえば、サンダーフォースの出世作である二作目が出たのもx68だった。これは難易度が高すぎて僕はちっとも楽しめなかった。
とまぁこのように、ゲームオタクの成長にはクソゲーは必須なのである。
で、そのブロークンサンダーですが、プログラマーはシステムを作っただけで敵の配置や攻撃には関与してないそうです。僕も最初動画をみたときは「このプログラマ、終わってる……」と思ったんですが、その筋ではかなり名の知れた人のようでした。スクリプトで動かす方式らしい。
そしてプログラマーを責める人と擁護する人がいたりして、さらにどっち陣営にも煽って遊んでるフシが見え隠れして、スレの勢いに拍車をかけています。まぁ、それもいいだろう。
スレを見る限りプログラマとスクリプタの分業は現在のゲーム製作では当たり前のこととなってるようですが、このオレ坂葉晴雄にひとこと言わせていただきたい! シューティングというジャンルにおいては、プログラマーがゲームデザインせねば良作を作るのは困難だ! なぜならば、プログラマこそがそのシステムをいちばん知り尽くしているからである。
スクリプトのシステムがよく出来ていて自由度があればあるほど、結局はスクリプトに与えるパラメータの指定が複雑になり、それはもう普通にプログラムを組んでるのと同じになってしまうわけです。
そして、シューティングゲームというのはプレイ感を文章や図で表すのはむずかしい。いくら言葉を尽くして企画書を書いても、実際に動かして見なければ面白さはわからないのである。ゲームを作るときには敵配置をこうすれば自機をこういうふうに誘導できるから~などと考えて作っていくわけで、それを図や文章にもできるのだが、実際にそのとおり作ってみてもいまいち面白くない。で、なにげなく中型機を適当なところに置いてみると、これがいい! 実にいい! そして、それもとに調整していくのだ。まさにその人のシューティングセンスが表れるといえよう。
逆に言えばプログラムのセンスがない人がスクリプトを組むと、機能をちっとも生かすことができないしょぼい作品になりさがるわけです。こういう人が作る場合だと、自由度が低いかわりにあらかじめ便利な素材が与えられているもののほうがいい。
たとえば、シューティングツクールやデザエモンのようなツールでおもしろいものが作れる人は、もうそのままプログラマになるべきだ。頭の使い方がプログラマなのである。こういう人はツールが逆に足かせになり、表現の幅が狭められる。
つまり、シューティングにおいてはプログラマとスクリプタを別にするのは意味がなく、分業するくらいなら最初からプログラマがゲームを全部作ってしまったほうがいいわけです!
分業するとすれば、演出面とゲーム面でしょうか。そして、演出するならばポリゴンのモデルを作った人の協力が必須! なぜならば、作った人がモデルのいちばんかっこいい角度や動きを知っているからだ。
まぁ、ソフトを買ってもいないしチームでゲームを製作する能力がないやつが言っても説得力はないかもしれない。「てめえだってケツを拭いた便所紙にも劣るクソゲーを乱発してる口先だけの屁理屈オタクじゃねえかウゼエんだよそのよく動く口から下痢便臭の漂う寝言をほざく暇があったら誰もが認める傑作を作ってみやがれこの発酵しきった肥溜め人間が!」という方もいるかもしれない。まったくである。しかし、だからこそ、こうして他人の失敗を考察するのである。
今回の失敗は無駄に人を多く関わらせたことにあるといえよう。スタッフはそれなりに実力者が揃っていたようなので、音楽、プログラム、デザインの三人くらいで作れば傑作になっていたと思われる。まったく惜しいことをした。
パッチでいろいろ追加していくそうなので、ここはひとつプログラムの人に頭をさげてスクリプトもやってもらい、モデリングの人に土下座をして演出をお願いするといいだろう。そうすれば、大方の予想を覆しかなりの傑作に大変身することも不可能ではないと思われる。
スクリプトをきちんと作りさえすれば、今の素材であってもゲーム的におもしろいものを作るのは充分可能だろう。
誰だっておもしろいゲームをやりたいのだ。責任者を糾弾して鬱憤をはらすよりも、おもしろいゲームを生み出すほうに物事が進んでいってほしいものである。そしてBGMは「雷」の名がふさわしいメロスピになればいうことはない。
こうして僕は、BLUE SABERS O.O.H.をやるのでした。いや、これはほんとにすげえよ。これが個人製作というんだから腰が抜ける。が、個人だからこそここまでできたのでしょう。
まとめサイト
http://www32.atwiki.jp/bthunder/
youtube動画 BROKEN THUNDER Stage1
参考になったらクリック!
2007 年 5 月 9 日
速くて泣けるドラマッチクなシューティング
4 Comments »
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そうか…ブロークンサンダーはいつの間にか発売されてて、いつの間にかとんでもゲームになっていたんだな。
サンダーフォースの続きが元スタッフの手により作られるとは素晴らしい。サンダーフォースファン(でも4と2のみ)のオラはワクワクしてきたぞ!
…………。
スタッフがテクノソフトと関係ねぇーッ!!
ただのファンの集まり? 二次創作ってやつか。
それにしちゃあYouTubeの動画を見ると、ゲームがサンダーフォースしてない…。
どちらかというとグラディウスっぽい。どういうことですか。
偽サンダーフォース…。
コメント by 稲妻 走 — 2007 年 6 月 21 日 @ 17:43:12
音楽担当の人が5のスタッフだったそうです。
まぁ、もともとこのシリーズは好きじゃなかったからどうでもいいんだけど……。
このゲームは地形を無くして縦シュー風のプレイ感にしたほうがいいな。
コメント by 坂葉 — 2007 年 6 月 25 日 @ 00:07:38
>トリトーンファイナル
>やはりあのゲームはクリア不可能なのだ。
…フフフ。
あのゲームはクリアできますよ。
僕、解きましたもん。(笑)
まあ、エミュ上でクロックアップしてですが。実機で標準速度でやってたら気が狂っていたと思います。
みんな、オースティンが石化した街の人を解放した所で詰まっているのでしょうか?ハシゴをワープゾーンとしか考えてない不条理なマップ構成のせいで詰まったと錯覚されるのだと思います。
バグってバッドエンドしか出ないトリトーン?に対して落とし前は付けてますが、ケレン味がすっかりなくなってます。
ともあれ、わらしべ長者的なアイテムのイベントでの使い道が面白いです。(笑)
機会があったら、エンディングまで是非やってみてください。
コメント by ROO — 2007 年 7 月 1 日 @ 21:35:40
まさかトリトーンファイナルがクリアできるとは……
そう言われるとあらためてやってみたくなりますが、10MHZの実機しかないので少々つらいです。
5インチディスクをWINで読ませられればなぁ。
当時もっと話題になってればクリア法も明かされもっと話題になっていただろうに。いや、どっちにしてもクソゲーか……。
詰まった場所はさすがにおぼえてないですね。とにかく買えるものはすべて買い、出てくるキャラ全てと会話し、行けるところは全て行ったつもりでした。
十年ぶりにトラウマが解消されたような、余計モヤモヤが溜まったような不思議な気分です。
ありがとうございます。
コメント by 坂葉 — 2007 年 7 月 5 日 @ 23:57:23