ちょっと前の話ですが、PS2「エクスターミネーション」クリアしました。
ソニーから2001年に発売されたクリーチャーもののアクションアドベンチャーです。なんでもカプコンで魔界村シリーズを作っていた人の作品だそうです。
遊星からの物体Xっぽいストーリーだということでけっこう気になっていたところ、350円でゴミのように売っていました。
ネットを見ると酷評の嵐でした。たしかに言いたいことはわかるけど、それほどつまらなくもないというのが僕の感想です。それなりに丁寧に作られてます。グラフィックもいいし音楽はかなり盛り上がります。
「30分でやめた」みたいなことを言ってる人もけっこういて、「おまえは世間での人気が低かったらバイオハザードもメタルギアソリッドも30分でクソゲー扱いするだろ!」という感じでした。いくらなんでも30分ではこのゲームのダメなところは見えてこないのではあるまいか。
あとバイオハザードのパクリという意見が多いけど、そりゃこの手のゲームの原点がバイオハザードなだけであって、操作性も方向性も全然ちがうと思う。
けっこう難易度が高いので万人向けとはいえないものの、ワゴンセール500円とかで買えるならなかなかの掘り出し物だと思います。
しかしやっぱり名作とは言いがたい。出来自体はいいものの、細かい部分でストレスが溜まっていき、結果的にクソゲーと評されてしまうタイプの作品でした。僕もプレイしながら「ああなればいいのに、こうなればいいのに」と思わず悪いとこ探しばかりしてました。
特にシステム的に致命的ともいえる問題があり、これは大半の人が不満に感じるだろうと思いました。
欠点は3つに集約されると思います。
●1
まず、決定がボタン×でキャンセルボタンが○ということ。なんでもボタン配置的には海外ゲームの標準なんだそうです。しかし、日本のゲームをやってきた者としては×ボタン=キャンセルと体に染み付いてしまっているため、ゲームをクリアするまで操作ミスをし続けました。メニュー画面の操作性がものすごく悪く感じます。
●2
場面を切り替えると倒した敵が復活します。いやそれどころか、一部の敵は一定時間で復活します。メインショットの弾薬が無限に補給できるのに合わせたのかもしれないけどこれはきつすぎる。回復系のアイテムは有限なので、いちいち相手して
ると少しずつ消耗していきます。(いちおう復活しない敵もわずかながらいる)
このゲームの敵は耐久力がかなり高く、ドアを開けると狭いエリアに強敵が2~3匹いたりするので、まともに相手するのは厳しいです。 無視して進めばいいものの、それだとアイテム探索が大変です。
僕は新しいエリアでは豪快に弾薬と回復アイテムを使用し、敵を殲滅させつつマップ探索をして、だいたい把握できたらロードしてやり直すという感じでした。
敵の無限復活がこのゲームの一番の問題ではないかと思います。度重なる戦闘がきつすぎて二周目をやる気になれない。飽きやすい人は犬が出るあたりで投げ出すと思う。アクションが苦手な人には、クリア不可能というほどではないものの、かなりきびしいと思います。
逆にこの点さえなんとかなれば本作を気に入る人も多いような気がします。
前から思っていましたが、この手のゲームの隠れた魅力の一つは探索を続けながら安全地帯を少しずつ広げていくことにあるのではと思います。
●3
僕はさほど気にならなかったものの、他の人はXボタンに関する不満も多いようです。
この作品では、アイテム取得・戦闘中の回避行動・段差にのぼるなど状況に応じたアクションをXボタンを押すだけで取れるようになっていて、これがゲームの売りにもなっています。僕もシンプルでいいと思いました。
しかし、崖や箱の上で押すと予想外のジャンプをしてしまい、断崖にダイブ→死亡となります。そしてこの死に方は非常に多い。死亡原因の大半が、紐なしバンジーであるといえよう。
ナイフ攻撃の強弱でボタンを2つ使うくらいなら、片方をジャンプにするべきでした。
主な欠点はこの3つですが、細かい点をみると不満が山ほどあります。
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戦闘にも若干の不満が……いや大いに不満があります。
特に足元の敵が倒しにくいのがストレスたまりました。R1で銃を構えオートロックオンします。しかし、まず真正面に構えてそれから正面方向の敵のみをロックするため、足元がお留守になるのです。「主人公付近の敵をロック」ではないため、足元のみに敵がいる場合は何もロックしません。これも致命的欠点のひとつかも。
困ったことにドアをあけるといきなりザコキャラが視界の外である足元にいたりして、ダメージを受けるまで存在に気づかないことがしばしばあります。気づいても銃を構えて下方向に視点を移動しないといけないため、狙いをつけるまでにドバドバダメージをうけてしまいます。下に狙いをつけるのにけっこう時間がかかる。
ならばドアを開けたあとは走り回って安全確認をすればいいと思う方もいよう。このゲームは敵の移動速度がかなり速くて、間合いをとったつもりでもしっかりと足元にまとわりついてたりするのですよ。下手に走り回ろうものなら敵を無駄におびき寄せてしまい、えらいことになったりします。
このザコがまた強敵で、耐久力こそ低いものの、倒しても倒しても次々にわいてくるわ飛び道具を持ってるわ壁を這うわ空も飛ぶわ移動は速いわで、影のボスとも言える存在です。
そしてこれまた恐ろしいのが犬。こいつは足が速く耐久力が高く組み付き攻撃で超絶ダメージを与えてくるという、いわば闇の大ボスといった感じです。
後半にでてくる大型クリーチャーの銃乱射も脅威で、こいつは耐久力がとんでもなく高いから撃っても撃ってもなかなか死にません。弾薬が無限に手に入るとはいえ、補給所から離れたところで弾切れしたらたいへんなことになります。
ドアを開けたときに大型クリーチャー&犬&ザコがいたりしたら泣くしかありません。そしてそんな場面がたびたびでてくる。
ちゃんと考えて敵を配置したのか疑問です。強いやつをいっぱい出しときゃ難しくなるだろう、ドアを開けて大型クリーチャーがいたらびびるだろう、と適当に配置したような雰囲気がプンプン漂っている……。
しかも必死こいて全滅させてもエリア移動して戻ってくると復活ですよ。いや、ゆっくりアイテム探索してるだけで復活ですよ。
敵のアルゴリズムも、プレイヤーが一定の距離に近づくと暴れ牛のように突っ込んでくるといった感じで、背後から接近して倒すなどの戦略性は皆無です。
しかも「敵のために仕掛けた」という建前のトラップに、敵は引っかからないのですよ! 引っかかるのは主人公のみ! 敵をトラップにおびき寄せてダメージを与えるということができません。銃のトラップはいちおう敵にも当たるけど、基本的に敵はひっかからないので意味ないです。主人公ばかりダメージを受ける。これはかなり納得いかない。
ただ、敵にはピカピカ光るコアがあり、そこが弱点になってます。素早くコアを攻撃すれば多少は楽に倒せると思います。射撃系のゲームが苦手な僕にはとても狙ってられませんでしたが。
そして、難所の後にセーブポイントがなかったりするのも地味にきつかったです。まぁこれはいいとしよう……。
マップは立体的に構成されてるところが多く、いい感じでした。後半では高いところから一方的に敵を狙撃できる場面があったりして、気分よかったです。
グラフィックも2001年という時代を考えるとなかなかのものではないでしょうか。ただ死体のモデリングがとんでもなくしょぼいのは残念でした。とても死体に見えない角ばった塊でした。いろいろ配慮した結果なのかもしれないけど、これはあんまりだ。
メニュー画面でマップを見ることができるのですが、これは全然使い物になりませんでした。マップ構成自体はなかなかおもしろいだけに、把握しづらいというのはもったいない。
そのせいもあり、さほど複雑ではないのに全体的なマップ構造がちっとも頭に入りません。次に行くところがわかっても、どうやって辿りつけばいいのかわからないことが多いです。
売りのシステムとして銃のカスタマイズがあります。しかしこれも全然たいしたことないです。とにかくパーツ自体が少なく誰がやってもだいたい同じ組み合わせになるので、カスタマイズもクソもないという感じ。むしろ同時に使える装備が制限され不便に思うくらいでした。
カスタマイズできる箇所がサブウェポン、スコープ、連射装置等にわかれていて、そこに好きなパーツをつけていきます。なんというか普通はキャラクタが装備したり設定したりする部分をむりやり銃に装備させたという感じです。
またサブウェポンは取得できる弾の最大量が決まっているため、いまいち撃ちまくれません。期待するほどの威力もないし……。敵が無限に出るため、どうしても無限に弾薬が手に入るマシンガンばかり使うことになります。
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ストーリーはどうしようもないくらいに定番でした。意外な展開がまったくない。あまりにも普通すぎる。「南極にある軍の秘密基地で未知の生物を研究している」というネタをもとに、「いかにプレイヤーの予想通りに話が進むか」をテーマに話を作った感じです。
そして、題材は怖そうなのに、まったく怖くないです。たいして気持ち悪くもない。ドキドキする場面が皆無。材料はいいものがそろってるのにもったいない。
話の大筋がシンプルなぶん人間ドラマで見せ場を作ってほしいんだけど、ゲームには全然関係のない「戦死した親友」が軸になっていてちっとも盛り上がりません。性格とかエピソードとかがほとんど語られないのに主人公やヒロインはそいつのことばかり語ってるわけですよ。プレイヤー置いてけぼりです。
ゲーム序盤でもう一人の親友がクリーチャー化するけど、これもあまりにも序盤過ぎてまったくキャラのバックグラウンドが明かされず、感情移入ができない。
終盤で主人公の上司が出てくるけど、これまた唐突に登場するので重要な場面も「ふ~ん」という感じ。
他にも仲間の何人かがクリーチャー化してる(らしい)けどそれに関するストーリーは一切なく、そもそも仲間と言っても名前しかわからない。いきなり死体やクリーチャーとして登場し、そばにドッグタグが落ちていてそれで名前を判別し、なんとか仲間だったとわかる感じです。
またメインキャラが増えたと思ったら、次の登場時にはいきなり犬死にしてたりもする。
そして、何度か意味ありげに登場するジャーナリストも、ラストではすっかり忘れ去られてる。あいつは南極に置き去りなのか。
ストーリーと絡んだ問題点としては、主人公は敵のバクテリアに取り付かれたとき「侵食度」のパラメータでそれがわかり治療装置で治すことができるのに、他の人は疑わしくても治してないっぽいところです。侵食度のパラメータをつけたのは面白い試みだけど、ゲームにもあまり活かせずストーリーにも関わらずで、なんとも詰めが甘い感じでした。
ただ、ラストの主人公のセリフはよかった! これは意外でした! お決まりの展開になると思わせておいて、期待を裏切ってくれた。いや世間的には肩透かしなのかもしれないけど……。でも「かっこいい主人公じゃないか」と思いましたよ。
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クリア後の結果表示は何もありませんでした。データ的なものが何も表示されない。クリアタイムとアイテム取得率くらい出してほしかった。これではタイムアタックもできません。
アイテム取得状況によって二周目のボーナスがあります。しかし回復薬や弾薬が少々加算されるくらいで全然うまみがないものでした。しかも、特に慎重に進まずとも普通にゲームをプレイしていれば、自然と条件を満たせると思います。だいたいクリア後に攻略サイトを見て、ボーナス取得条件を満たしていたことを知ったくらいです。
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PS2の初期に作られたということで、ラインナップを揃えるため流れ作業的に作られたゲームのような気がします。いまいちこだわりが感じられないというか、教科書どおりの手法で作られたという感じ。納期も厳しくテストプレイでゲーム性を煮詰めていかなかったのではあるまいか。
プログラム、グラフィック、音楽と、それぞれの仕事自体は手抜きのない良いものなのに、素材が上手く活かされていないという印象です。実にもったいないことです。
良いところはたくさんあるものの、二度目のプレイに挑戦する気は起きません。
しっかりとした技術を持った人がきちんと仕事をしたのに結果がこうなってしまうとは、ほんとうに残念なことです。
いやシナリオの人はもうちょいがんばってほしかったけど。
一部の操作性と敵の復活さえなんとかなっていれば、アクションゲームとして何度もプレイする面白さがあるし、熱心なファンを得て根強い人気を得ていたと思います。シリーズ化もできただろうに。
ほんとに惜しい作品でした。
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10点満点で評価すると、
・おすすめ度 3点 この手のゲームが得意でない人は手を出さないほうがいい
・個人的評価 6点 つまらなくはないけど……
です。
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