ジェフリー・ディーヴァー「ボーン・コレクター(上下)」
連続殺人鬼を証拠品鑑定によって追い詰めるサスペンス小説です。
主人公は事故により四肢が麻痺した男「リンカーン・ライム」です。
設定的には安楽椅子探偵ものっぽいんですが、優秀なスタッフたちが証拠をかき集めてくれるので、完全な安楽椅子探偵とはいえないかもしれません。
犯人は平凡な市民を誘拐し、残酷な方法で殺して行きます。犯行現場には次の現場へのヒントが残され、遺留品を的確に集めて鑑定すれば次の被害者はぎりぎり助けられるようになっています。
慎重で狡猾な犯人に手玉に取られ、警察は後手後手に回ってしまうわけですが、そんな中でも犯人が思いもよらなかった遺留品を見つけだしプロファイリングを進めていきます。
物語がテンポよく進んでいくため海外小説としてはかなり読みやすいと思います。
すばやいストーリー進行の中にいろいろと伏線が埋め込まれているため、ラストでは意外な犯人や意外な動機といったものも飛び出します。
まぁ犯人候補は少ないので犯人当てだけを考えると「意外な犯人」とはいえないかもしれません。推理小説と思って読まず勢いに任せて読み進めるのがいいかも。
娯楽小説らしくヒロインとライムのラブロマンスなんかもあるのですが、これはちょっと無理矢理っぽくて不自然な気がしました。最初ヒロインはライムのことを毛嫌いしていたのに、一日か二日でアツアツの仲になってしまうわけですよ。
むかつくライバルっぽいキャラが気付いたら頼れる仲間になってたりするのも強引です。
このあたりは惜しいと思いました。
描写が映像的で、非常に映画向きの話だなぁ……と思ったところ、実際に映画化されているようです。
2009 年 11 月 29 日
ジェフリー・ディーヴァー「ボーン・コレクター(上下)」
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