「視界ジャック」が鍵となる隠密ホラーアクションの二作目です。
超おすすめ。
前作に比べて難易度が大幅にさがっており、ごり押しでも進めるようになっています。そのため恐怖感や緊張感を維持したままストーリーを追うことができるようになりました。
その反面パズルゲーム的なおもしろさは減っています。
ストーリーはあいかわらず謎に満ちていて、前作とはちがう驚きを味わえます。
物語はつながってはいるものの関連性は薄いので前作を知らなくても楽しめます。
昭和の臭いを漂わせる廃墟の数々も相変わらず素晴らしいです。
敵もこれまでの屍人に加え闇人というのがでてきます。この闇人は光に弱く、懐中電灯で倒せたりするのが新鮮です。
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●システム
開始時に三段階の難易度が選べます。NORMALでもたいして難しくないです。
HARDが前作と同じくらいの難度だそうです。
「視界ジャックモード」で任意の敵の視界を○×△□の4つのボタンに登録し、好きなときに呼び出せます。これを使って敵の巡回路を調べたりよそ見のタイミングをはかったりできます。
今作では武器を二つまで持てるようになり、また倒した敵の武器を奪えるようにもなりました。銃で殴ることもできます。
一対一の近接攻撃で倒されることがほとんどないため、敵の銃を取り上げればかなり安全に探索できます。
一部のキャラでは視界ジャックした相手を操ったり、他のキャラの視界のまま自キャラを移動させたりできます。
前作ではアーカイブを取得してもステージをクリアしなければリストに追加されませんでしたが、今作では取得した時点でリストに追加されます。
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●グラフィック
非常に美しいです。前作をさらに緻密にしたような感じです。
終盤に出てくる敵のデザインも見事です。はじめてみたときはかなりギョっとしました。
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●ストーリー
あいかわらずクリアしただけではサッパリわかりません。
詳細なメモを取り年表を作っていろいろ考察しつつ進めたのですが全然だめでした。屍人と闇人が争う理由や活動の目的、各キャラとの関わりさえもほとんど理解できません。ある面では理解できたとしても、じゃあこの場面はなんなわけ?というのが非常に多いです。
しかしもともとそういうゲームなので、あとで考察サイトをみてあーなるほどと納得できました。製作側としてもそういう方向性を目指しているようです。
重要そうな人物がいきなり死んだりするのも相変わらずです。登場人物の死が悲しさや心細さを演出するのではなく、あまりにも不可解かつ唐突な展開で混乱を起こすような感じです。
前作に引き続き妙なユーモアもいろいろと入っています。
エンディングでは「えーなんだこれ? ギャグなの?」とあっけにとられるでしょう。突拍子もないシュールなエンディングだけど、全貌を理解すれば別に変でもないというところが見事です。
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●問題点
ゲーム自体の難易度は下がりましたがアーカイブ収集の難易度はあがりました。
マップをくまなく調べまわればなんとかなった前作とは違い、今作は自力ではちょっと無理なものがあります。ある場所である条件下のもとにある行動を行うというもので、僕も場所と行動までは試したのですが条件には気付きませんでした。ヒントもありません。偶然とか操作の癖によってでないと自力では見つけられないと思います。場所の特定だけでも相当注意力がないと無理っぽいです。
また前作では一つのシナリオで複数のアーカイブが取れる場合、普通にプレイしたときに取れる順序でアーカイブ番号が振られていましたが、今作では順番が前後しているものがありました。
前作では繰り返しプレイすることにより恐怖感が薄れました。今作では難易度を落とすことによりリトライせずにクリアできるようになったものの、敵を楽に殴り倒せてしまうためやっぱり恐怖感が薄れてしまいました。
とはいえストーリーを追うためのごり押しプレイならば緊張感を維持できるため、この難易度低減は大成功だと思います。
HARDモードと全タイムアタックのタイムを更新しないと全てのシナリオを見ることができません。
全ステージを厳しい条件で最低二回クリアするというのはあまりにもかったるいため、投げだしてしまいました。あらかじめ明らかになってれば最初からHARDでプレイしたんだけどな。
これらのシナリオはオマケ的なものとなっていてメインのストーリーには関わってこないようです。
あとこれは問題というほどではないんですが、サイレントヒルや初代SIRENでおなじみの学校や病院が出てこないのは残念でした(校庭ならでてきます) マンネリを避けるためでしょうが、僕としては残念でした。
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●感想
非常におもしろいです。ホラーゲームの大傑作です。
個人的には前作のほうが好きなんですが、他人に薦めるなら断然こちらです。
NORMALでもさほど難しいとは感じなかったため、EASYならアクションが苦手でもクリアできるでしょう。視界ジャックシステムに慣れるのに時間がかかるかもしれませんが、わかってしまえば非常に簡単でおもしろいのでじっくりと取り組んでいただきたいです。
ストーリーはサッパリわからないものの、クリアした後にテストの答えあわせ気分で考察サイトを見れば「あぁ、あれはこういうことだったんだ!」とスッキリすると思います。
特に昭和生まれの人におすすめです。作者の外山氏は1970年生まれだそうですよ。同年代の人にはグッとくるネタが満載だと思います。
開発元 SCE
発売日 2006/02/09