前半は謎の男「鈴木一郎」の正体をさぐるサスペンス、後半は爆弾魔との息づまる戦いを描くアクションといった感じの物語です。
物語の視点となるのは、巨漢の警部「茶屋」と、精神科医の「鷲屋真梨子」。
寡黙かつ迫力のある茶屋がいい感じです。推理ものに出てくるごつい鬼警部はボンクラだったり出番が少なかったりしますが、この作品ではかなりの切れ者として描かれており、そこそこ扱いがいいです。
脳男・鈴木一郎は特殊な能力を持っておりコンピュータ人間的な印象になっています。このあたりちょっと安易な感じが否めず、うまく扱わないとまんがっぽさが増してしまうので、作者の腕の見せ所でもあります。超人すぎて扱いが難しそうです。
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前半は、真梨子による鈴木一郎の過去の探求で話が進みます。謎の男の正体が少しずつ判明していく過程はおもしろいものの、正直盛り上がりに乏しく「こんなのが最後まで続いたら困るよまったく……」という感じで読み進めていました。
ところが後半に入ると、鈴木一郎と茶屋警部が手錠で結ばれた状態で爆弾魔と対決することになります。なかなか熱い展開です。
コンビ刑事もののノリで、この作品の見せ場でしょう。まぁ実際は真梨子を加えたトリオで活動するわけですが。
洋画「ヒドゥン」「エイリアンネイション」のような異星人×地球人コンビにも似た雰囲気で、こういうのが好きな人にはおすすめです。
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とても楽しめましたが、欲をいえば犯人をもっと悪辣で狡猾にしてほしかったです。爆破魔ということでそれなりに頭はいいんだろうけど、どうも凡人っぽさが漂い「探偵役」に対して見劣りしてしまいます。
続編も出ているようです。
本作では脳男が人間を理解しようとする描写などもあり、今後そちらの方面も掘り下げられていくのでしょうか。
爆弾魔は確かに小悪党過ぎて泣けるしょぼさでしたね。
続編は超人 vs 超人といった謎の方向へ進んでます。ちょうどターミネーターとターミネーター2みたいな。
コメント by 雷悶 — 2010 年 7 月 3 日 @ 21:58:18
コメントがスパムに分類されていて気付きませんでした。ごめんごめん。五十件もスパムがたまっていたので、もうちょっとで全削除するところだったよ。
爆弾魔は、能力的に劣るのは仕方ないにしてももうちょっと猟奇的で狂った感じだとよかったですね。そういう異常性を脳男がどう捉え分析するか、などもおもしろそうです。
続編は上下分冊だったので躊躇していましたが、敵がすごいというならば読んでみなくてはなるまい。
コメント by 坂葉 — 2010 年 8 月 1 日 @ 22:00:15