●ゲーム概要
ホラーアクションアドベンチャー四作目です。
これまではシリーズごとのシステム変更は少なかったですが、今回はいろいろと変わっています。とはいえ打撃武器をメインに探索する限りでは、過去作とさほど違わないプレイ感です。
他作品との関連が薄いストーリーとなっており、旧作を知らなくても楽しめます。
世間での評判はかなり悪いですが、それを補う魅力もじゅうぶんあります。僕はかなり楽しめました。ホラーゲームとしてはトップクラスの出来だと思います。
wikipediaのサイレントヒル4の項は猛烈なネタバレとなっているので、これからプレイしようとする人は見てはいけません。というか、どんな情報も遮断したほうがいいです。ほんとは僕のこの記事も見ないほうがいいです。
中盤からはホラーゲーム屈指の傑作展開となるので、ぜひ自分の目で確かめてください。僕の記事ではその部分についてはなるべくぼかしてありますが、大半のレビューや紹介文ではネタバレ扱いもされずに「これがこのゲームの売りだよ!」って感じでけっこう詳しく書かれています。
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ある日主人公はアパートの自分の部屋からでることができなくなります。しばらくたつとバスルームに謎の穴があきそこを抜けて外に出てみると異様な世界が広がっていた、というところからゲームが本格的に開始されます。
孤立した部屋と異世界を行き来しつつ怪異の謎を追って行くことになります。
戦闘の難度は3並みに高いものの、自室に戻ると体力が回復していくので雑なプレイでもわりと楽に進めます。
部屋を拠点にして異世界を探索をするというのが、単純でいておもしろい効果をだしています。これを軸にアイデアを練っていったのでしょう。
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●システム
過去作では取得したすべてのアイテムを持ち歩くことができましたが、今作では個数制限があります。部屋にアイテムボックスがあり余分なアイテムはここに収納し、持ち歩くものを厳選することになります。
このアイテム制限がけっこう厳しいです。特に銃弾はマガジンひとつでアイテムスペースをひとつ埋めてしまうので銃器がほとんど役に立ちません。弾自体あまり入手できず威力も低いです。近接戦闘推奨で作られているようです。この近接戦闘も一対一ならなんとかなるものの複数を相手にするとかなり厳しいです。ただ、今回「溜め攻撃」というのがあり、溜め攻撃のモーション中は無敵になるそうです。僕は隙が大きくて役に立たないと思っていたのでまったく使いませんでした。手斧の溜め攻撃がかなり便利らしい。
アイテムの個数制限に不満を持つ人が多いものの、戦闘でダメージを負いやすいので自然と部屋に戻ることが多くなり、そのときに取得品をアイテムボックスに収納していけばそれほど気になりません。攻略サイトとかを見ながらプレイすると鬱陶しく感じるかも。自力でプレイしましょう。
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今作はラジオも懐中電灯もありません。
2から戦闘BGMが流れるようになったので、正直言ってラジオは無くてもいいんじゃないかと思ってました。もっともいちばんいいのは戦闘BGMをなくしてラジオを復活させることだと思うんですが。
懐中電灯がないのは少し残念です。雰囲気が盛り上がりません。
マップは割と明るめで、ライトが必要なほど暗い場面はありません。
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ゴーストという不死身の敵が出ます。それも一匹ではなくたくさん。同時に何匹も出たりします。しかも接近するだけでダメージを受けてしまいます。
これが本作最大の問題でしょう。このゴーストがゲームの面白さにほとんど関わってこないのです。
一応退治する方法がないでもないのですが、初回プレイでは多くの人が「退治する手段があるけど退治しない」という状況になると思います。これについては後ほど書きます。
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めんどくさいパズルが減りました。これはよかったです。
ホラーゲームのパズルは無駄に流れを止めてるだけに感じるので好きじゃないです。妙なパズルを解くと隠し通路やアイテムが現れるというのも、ビックリ屋敷的でリアリティがなく冷めます。
シリーズの恒例行事でもあったパズルを削除したことは英断といえるでしょう。
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今回は部屋→異世界1→部屋→異世界2→部屋……というステージクリア的な構成になっています。異世界同士のつながりが薄く区切りがはっきりしすぎているのは少し残念でした。
また、異世界が最初から異世界のため、旧作のような現実と悪夢の差を味わうことができないのは残念でした。やはりこのシリーズでは、一度訪れた場所が異世界化するのを体験したいです。(そういう場所もないわけではないんですが)
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●グラフィック
屋内ものとしてはすばらしいグラフィックです。PS2のベストの一つでしょう。
異世界描写は3よりもおとなしくなりました。2に近いです。個人的には下品なグロテスクさが好きなので少し残念でした。
全編に渡って廃墟探索といった雰囲気なので、そういうのが好きな人は歩き回るだけでも楽しめると思います。
敵はどうしようもなく地味です。
一撃で倒せるザコとして、蝙蝠、蛭、なめ茸、
ある程度苦戦する敵として、犬、猿、二首怪物、
場所限定のレア敵として、壁男、巨人、車椅子
くらいです。
ボスらしいボスもラスボスだけ。
豪華すぎるデザインのクリーチャーもこのゲームには合わないですが、犬や猿ばかり相手するのも盛り上がりません。
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●ストーリー
全編にわたって漂う謎めいた雰囲気がすばらしいです。序盤だけならシリーズ最高のワクワク感でした。
話が進むと、主人公の部屋の謎よりも悪役の正体についての謎に視点が移っていくので、「あれ? そっちに進んじゃうの? この異常すぎる状況はあんまり意味ないの?」という感じでした。
悪役の謎を追っていく過程もそれなりに良くできてると思うんですが、僕は「あの部屋を使ってどんなストーリーを展開していくんだろう?」ということに興味が集中していたので、いまいち物語に没入できませんでした。
2のような叙情的な展開を目指したのかもしれません。
シリーズ設定の重要部分と悲しげなストーリーを絡めたのはうまくいっていると思います。
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●感想
とにかくゴーストが問題でした。攻撃を加えることにより一定時間ゴーストを行動不能にできるんですが、すぐに復活する上にマップを越えて(エリア切り替えしても)追ってきたりします。
ゲーム内に五本存在するという剣で串刺しにすれば無力化できるものの、「五本しかない」と念を押して強調されるせいでかえって使えなくなってしまうのです。
基本的に一度クリアしたステージには戻れないため「ここで剣を使ってしまったら後々苦労するかもしれない」と思って温存してしまいます。慎重な人やアクションゲームが苦手な人ほどそうしてしまうと思います。(たとえば、「ラスボス戦で剣が必要になり、剣をたくさん持っていたほうが有利になるかも」とか考えてしまいます)
正確に言えばクリアしたステージにも戻れるんですが、初プレイでは戻れるなんてわからないし、剣を置き去りにしていいのか?という心配は相変わらず付きまといます。
ゴーストを強制的に一体串刺しにしてイベントをこなす場面(ボス戦)もあります。しかし、串刺しにして必要な作業を終えてから僕はわざわざ剣を回収してしまいました。
複数出るゴーストのうちやっかいなのは四体なので剣は一本余る計算になります。製作者としてはどのゴーストに剣を使うか、戦略的・パズル的に考えてほしかったんだと思いますが、初プレイ時にはゴーストが全何体で危険なのは何体いるかなんてわかるわけがありません。まぁよく考えればあからさまなヒント(というか答え)が出ているものの、それでも貴重貴重と念を押される武器を回収できないエリアに置き去りにする度胸がある人はほとんどいないのではあるまいか。
不評極まりないゴーストも適切に封印していけばそれほど気にはならなくなると思います。しかし、大多数のプレイヤーにはそんなことわかるわけがないのです。そしてほとんど封印せずに大量のゴーストから逃げ回ることになる。
他にもやっかいな強い無敵キャラが存在し、これまた鬱陶しいです。しかもこいつは封印できない。
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銃器がほとんど使えないというのも残念でした。マガジン一つでアイテム欄一個という仕様は誰が考えたんだろうか。そして、それを問題視するスタッフはいなかったんだろうか。
どうせなら銃は無しにしてもよかった。僕はラスボスでしか使いませんでした。
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今作もマルチエンディングとなっています。二系統のエンディングがそれぞれ二つにわかれており、どれも大きな差はありません。
UFOエンド等のおふざけ要素はないです。これにガッカリしてる人も多いようです。僕はUFOエンドのどこがおもしろいのかわからないシャレの通じないつまらん人間なので、ガッカリせずにすみました。
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「部屋から出られない」という基本設定がすばらしいです。窓や壁の穴から平和な世界を覗き見るというのもいい。欲をいえば、この覗き見をもっとメインの展開に絡めてほしかったと思います。
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ゴーストやアイテム制限など気になるところもありますが、とても楽しめました。僕の中では名作です。1、2、4はどれも甲乙つけがたいです。
アクションゲームとしての出来は微妙なもののホラーゲームとしてはかなりの完成度だと思います。なぜここまで不評なのか不思議。
不評の影響なのか続編は海外製作になったりと、シリーズが迷走しているようで残念な限りです。
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●まとめ
開発元 | コナミ |
発売日 | 2004/06/14 |
プレイ記録 | (初回) |
難易度 | NORMAL |
プレイ時間 | 12:48:32 |
セーブ回数 | 79 |
コンティニュー回数 | 24 |
倒した敵の数 | 605 |
メモアイテム取得数 | 51/52 |
エンディング | 21の秘蹟 |
ランク | 49 |