変装や光学迷彩を駆使して進むステルスアクションゲームです。
敵の写真を撮り光学迷彩を利用した変装を行うというのはおもしろいアイデアです。
キャラデザインは村田蓮爾です。
ステルスゲームとしての作りが甘い上にMGS2に似すぎているのが気になります。プレイ感は全然ちがうんですが、映画ネタを入れたがるところとかメニューの選択方式とか年表や秘密道具の設定に凝るところとか非常にMGS風です。スタッフも完全に開き直り、似てるのを隠そうともしてません。
おもしろいオリジナル要素も多いのにそれがいまいち有効に扱われず、劣化コピー品という印象が強くなってるのが悲しいところです。
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●システム
スプリンターセルやMGS3と同じようなTPSタイプの操作系です。カメラの操作性能はまずまずなんですが、狭い部屋の中ではカメラが変なところに固定されます。
レーダーはありません。装備アイテムによって、他キャラの視界をポリゴンのブロックで表示することができます。
L1がしゃがみボタンとなっており、壁際で押すと張り付きになります。押し続けていると光学迷彩が働き透明になります。接触されない限り見つかりません。
これは便利なんですが、変装がもっと便利なためいまいち活躍の場所が少ないのが残念です。
敵の写真を撮りゴミ箱の中などで変装できます。
変装してしまえば妙な行動を取らない限り見つかりません。ただ、ジャンプや銃撃ができなくなるためずっと変装で進むのは不可能です。
変装はゴミ箱やクロゼットなどの特定の地点でしか行えません。このため、変装できるエリアは限られてきます。
また、変装可能な場所には事前に潜入した工作員が隠したメモが残されていたりします。このメモが収集要素となっています。
高所から降下する「ラペリング」と天井に張りついて移動する「スパイダー」という技があります。なかなかおもしろい要素なんですが残念ながらこれを使う場面はほとんどありません……。
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●グラフィック
しょぼいです。
とはいえキャラのモデリングはなかなか良くできていて、特にライバルなんかは村田レンジのデザインをうまく再現しています。
敵兵もかっこいい。スタッフもこのデザインには自信を持ってるらしい。
主人公のアクションはいいいんですが、脇役はモーションキャプチャーを使わずに手作業で動きをつけたらしくかなりしょぼいです。デモシーンもロボットのような動きで悲しい。
女キャラの体格がゴツいです。ヒロインや「19歳の女天才科学者」の背がやたらと高く肩幅も広いです。しかもロリ顔だからすごく不気味になってる。
ヒロインのシェーラはクリア後のコスチュームチェンジで常時パンチラになるんですが、体型がごついのであまり嬉しくないです……。
なんでも変装の都合で男性と同じ骨格を使用してるんだとか。
とあるキャラの機械化された肘関節が「いくらなんでもこれはない」というデザインになってます。あれは本当に村田レンジのデザインなのか。
フレームレートは高く、非常に滑らかに動きます。
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●ストーリー
テロリストと戦う秘密諜報組織の話です。終盤では意外な展開があったりしてなかなかおもしろいです。
主人公は男女二人で、両方クリアすると真相が明らかになるという構成です。この真相もなかなかビックリするんですが、それよりも「普通気付くだろ……」という気持ちのほうが強かったです。
重要なデモシーンのムービーは両キャラ共通になっています。デモでは二人揃ってるのにボス戦は一人で戦うとか、納得いかない場面があります。このせいでストーリーが展開が制限されてるような気もします。
各キャラでのシナリオ分岐はほんの少しだけなので、真相を見るために二回プレイするのはすこしつらいかも。
ライバルはクールな美形キャラなんですが、声とかセリフが下品な小悪党という感じで変です。
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●感想
ステルスゲーム的な作りが甘い、というか、今時のゲームとしてこれはどうなのか?という部分がいくつかあります。
エリア移動するだけで敵やアイテムが再配置されてしまうのです。中にはエリアを戻ると目の前に敵が配置されていて見つかってしまう場面も。
普通は前エリアの状態はおぼえておくもんなんですが……。
変装は特定の箇所でしかできないとか、変装した相手本人に会ってもバレない(重要キャラ以外)とか、敵に捕まっても迷彩スーツを取り上げられないとか「いかにもゲームだなぁ」と思わせる部分が目立ちます。
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発見された場合隠れて一分待たないと警戒解除されません。MGSシリーズほどじゃありませんが、けっこう長くてイライラします。
発見されると通路が閉鎖されるエリアもあり、敵を全滅させないとどうやっても見つかってしまう場面もありました。
敵を倒さないと進めないシーンがいくつかあるためノーキルクリアも無理です。しかも強制戦闘で大量に倒さないといけないので、いくら他の場面で殺害を控えてもクリア後のリザルトでは殺害数が100人近くになってしまう。
ノーキルは無理なようなので、一般人への攻撃だけは禁止して、あとは適度に見つかったり殺害したりしてプレイしました。
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おもしろいスパイアイテムがいろいろあるのに使う場面がほとんどないのが惜しすぎます。
変装と通常アクションだけで問題なく進めてしまう。
ステージデザインの練りこみが足りないというか、アイテムの数々は後から付け足したように見えます。
武器では、スタンガンがあまりにも強力すぎてゲームバランスが崩壊しています。初回プレイでは使わなかったんですが、二周目で使ってみて驚きました。これからプレイしようと思ってる人は、初回プレイではスタンガンは使用禁止にしたほうがよさそうです。
基本装備以外の武器は現地調達していくんですが、けっこう意地悪な隠し方がしてあるため取り逃して進んでしまうこともあります。しかも取り逃すと二度と手に入らない(と見せかけてたまに敵が持ってる)。
MGS2型の階層式L字メニューなので、武器が増えたときの選択が非常に面倒です。武器は最大十八まで増えます。
また、ゲーム中のほぼ全ての選択操作をこのL字メニューに詰め込んでいるので、かえって選択がめんどになっている気もします。
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オフィシャルサイトを見ると新会社の一作目としてかなりの意気込みが感じられます。いろいろと設定が紹介されていたり続編の予定を楽しそうに語ってたりします。フィギュア化も狙っていたらしい。
しかし今に至るまでフィギュアも続編も出ていないのだった……。
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ボス戦が少ない上につまらないです。MGSみたいな奇人変人を出せとは言わないけど、もうちょっとボスを使って盛りあげてほしかった。
メモを全部集めるにはEASYでのプレイが必須です。これはめんどくさい。
あと、隠しアイテムが多いのにクリア後にアイテム取得率が出ません。クリアデータを見てニヤニヤするのが好きな僕としては残念でした。
民間施設への侵入という場面が多く、これは僕好みでした。警戒が厳しい秘密施設よりも日常空間で隠密活動するほうが楽しい。
さほど広くないマップを行き来するお使いイベントでゲームが進みがちなので、ステルスものというよりアドベンチャーゲームに近い印象でした。
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ストーリー的に変なところがいろいろと目につきます。それ気付くだろ!とか、それ死ぬだろ!みたいな感じの。主人公の変装は光学迷彩なのにボディチェックされてもバレないのも変だ。
こういうところにいちいち突っ込んでもしょうがないんですが、設定を凝ろうとしてるわりに細部がいい加減すぎるので気になってしまいます。
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全体的にダメなところばかり目につきますが、難度も低く気軽にスパイ気分が楽しめます。
欠点だらけだけどいろいろとがんばってるところもあるので憎めない。
中古で投げ売りされているので「ちょっと暇つぶしステルスものでもやってみよう」という場合に最適です。
スパイ道具のアイデアはいいものが揃っているので、ステルスゲームとしてじっくり作りこんだ続編が見てみたいです。
開発元 | アクセスゲームズ |
発売日 | 2003/12/25 |
プレイ記録(ビリーNORMAL) | |
クリア回数 | 1 |
発見された回数 | 97 |
指名手配された回数 | 9 |
コンティニュー | 120 |
撃った弾の数 | 1568 |
殺した敵の数 | 124 |
殺した一般人の数 | 0 |
撮った写真の枚数 | 94 |
ボディチェックされた回数 | 16 |
セキュリティタグの使用回数 | 4 |
救急キット小の使用回数 | 28 |
救急キット中の使用回数 | 17 |
救急キット大の使用回数 | 3 |
クリアタイム | 15:38:21 |
プレイ記録(シェーラNORMAL) | |
クリア回数 | 2 |
発見された回数 | 82 |
指名手配された回数 | 8 |
コンティニュー | 34 |
撃った弾の数 | 1557 |
殺した敵の数 | 109 |
殺した一般人の数 | 0 |
撮った写真の枚数 | 51 |
ボディチェックされた回数 | 12 |
セキュリティタグの使用回数 | 1 |
救急キット小の使用回数 | 22 |
救急キット中の使用回数 | 9 |
救急キット大の使用回数 | 1 |
クリアタイム | 10:14:04 |