広大な荒野を愛馬と共に駆け巡り、「巨像」を探し出して倒すゲームです。
巨象戦の迫力はすさまじく、巨大ボスとの対決を扱ったものとしては最高の出来といってもいいでしょう。
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●グラフィック
擬似HDRレンダリングという技術を使用しており光の表現が見事です。
マップはエリア分割されておらず継ぎ目なく繋がり、遠景~中景~近景へと違和感なく移りかわります。
ボスのグラフィックも素晴らしく、毛皮の質感がよくできています。デザインも個性的でかっこいい。
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●ストーリー
雰囲気で語るタイプの作品なので、ゲーム中はほとんど話が進行しません。最初と最後に少し語られるだけです。
主人公ワンダは死んだヒロインを生き返らせるため、禁を破って巨像の封印を解いていくといった物語です。
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●感想
ボス戦は本当によくできています。
巨大キャラが好きな僕はずっと前から「巨大なボスの体にしがみついて弱点を狙うゲームを作りたい」と思ってましたが、まさにそのまんまのゲームで参りました。しかも個性的なボスがたっぷり十六体。僕の妄想よりもはるかにすごいボス戦ばかりで、プロの力を思い知りました……。
ボスのポリゴンモデル通りに接触判定が設定されています。正確には単純化されたモデルで判定しているのですが違和感がありません。
倒し方さえわかってしまえば、どのボスも体にしがみついて弱点を刺すだけで倒せます。
誰でも楽しめる反面、「大迫力の巨大ボス戦!」にアクションゲーム的な歯ごたえを求めていると少々がっかりするかもしれません。
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ボスを探すまでの過程が正直言ってかったるかったです。
起伏に富んだマップや遠くを見渡せる見晴台があることから、隠された道を見つけつつ進むという展開を期待していましたが、全然そんなことはありませんでした。ほとんど迷うこともなく一直線にボスのところまで行けてしまいます。これはがっかりでした。
といいつつも、実は最初のボスに到達する前で二時間くらいかかりました。まさかそのまま進めるとは思わず、山登ったり変なルートを探したりするものだと勝手に信じ込んでいたので、スタート地点前方の山のまわりを延々とさまよっていました。
マップ内にはパラメータをアップさせる木の実があったりトカゲが這っていたりするものの、探索して楽しいというほどではありません。むしろはやくボス戦を楽しみたいのに木の実やトカゲ狩りをするのは面倒臭かったです。いやまあそう言いつつも探し回ったんですが……。
移動がかったるい原因は近景の地味さにあるのではないかと思います。
リアルな遠景中景に比べ近景は非常にのっぺりとしていて、地面は無機質な床のような印象です。草むらや岩など比較するものがほとんどないので疾走感がまったく出ていません。馬で走るときの砂埃もうっすらとしか描画されないので臨場感もありません。
移動するだけで楽しいとの評判も聞いていたので期待したんですが、これはがっかりしました。
腰丈くらいの草をかきわけて進むとか、そのまま進むと馬の速度が落ちる荒地をうまく跳び越しながら進むとかの工夫がほしかったです。
このあたりは、光源処理等にCPUパワーを取られ近景にまで手が回らなかったという感じです。
あと、倒したりできなくてもいいから動物の群れとかもほしかった。羊とかバッファローみたいな。雰囲気重視なんだから、もっと「箱庭感」があるといいと思いました。
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フレーム落ちもかなり激しいです。キルゾーンのプレイ感に似ているでしょうか。どちらも静止画像は美しいもののリアルタイム描画はガタガタに……。
売りのボス戦で何が起こっているかわからなくなる時があるので、描画レベルを落として滑らかに動くモードがあると嬉しかったです。
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全体的に技術が先行しすぎてゲーム内容が追いついていないという感じでした。雰囲気を楽しむゲームという意見が多いですが、その雰囲気を100%楽しむところまではいけていないという印象です。
PS2でここまでの画像処理をしたのはすごいものの、どうせならPS3でもっとしっかり作ってほしかった作品だと思いました。と思っていたらHDリメイクされるそうでこれは期待が持てます。どうせなら僕がプレイする前にこの情報を教えてほしかった……。
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ゲーム自体はとてもよくできていて、万人にオススメできます。
PS2を持っていてこのゲームをプレイしていないというのは、ゲーム人生を大きく損していますよ! でもこれからやるならHDリメイク版のほうがいいと思います。
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このゲームの技術面に関しての記事です。これはおもしろい。
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20051207/3dwa.htm
開発元 | SCE |
発売日 | 2005/10/27 |
プレイ記録 | |
ノーマルクリア | 16:02 |