ローマの剣闘士もののコンボアクションゲームです。血しぶきが激しく飛び散ったり腕がズタズタになったりとかなりの残虐表現があります。
シーザー暗殺の真相を探る隠密パートもあります。
コンボアクションといっても連続技を延々と叩き込んでいくようなものではなく、動きのトロいキャラ達が重い一撃を加えあうような感じです。
そしてこのゲームならではの特徴は、残虐な攻撃を加えるほど観客が熱狂し様々な武器を投げ込んでくれるところです。「観客に対するアピール」という技もあり、派手なコンボのあとにアピールを行うと評価(得点)がグッと上がります。
敵の攻撃をかわし2~3回コンボを叩き込み、反撃をかわしつつさらに攻め、敵がダウンしたら観客にアピールするといった流れになります。
これは非常におもしろいです。知名度はいまいちですがプレイした人の評価は高いようです。
キャラも個性的でストーリーもしっかりしています。
隠れた名作と言っていいでしょう。
いろいろと話題のカプコン(元)稲船氏のプロデュースによるものだそうで、洋ゲーと和ゲーの良いところががうまくミックスされています。
なんでももともとは海外向けにつくられたんだとか。エンディングを見る限りメインのスタッフはすべて日本人でした。
海岸版では腕や首が千切れ飛んだりとすさまじい残虐描写だそうです。
「ジューシートマト」という技があるんですが、日本版ではどのあたりがトマトかわかりませんでした。海外版では頭をベチャっと潰す技なんだそうです……。
改造ツールを使えば海外仕様にできるらしい。こういうツールは全く興味ないんだけど今回ばかりは心がグラついたと言わねばなるまい。まあ使う気はないけど。
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●システム
剣闘パートと潜入パートがあります。
・剣闘パート
R1でロックオン、×でメイン(右手)攻撃、□でサブ(左手)攻撃、△で武器投げ、○で武器拾いとなっています。
オプションでオートロックオンを切っておかないと変な方向に攻撃することがあります。
戦闘は基本的に主人公一人に対し敵多数で、敵同士の攻撃は当たらないことが多いです。(競技によって変わる)
このゲームのコンボや強力な攻撃の数々は「サルボ」と呼ばれ、派手さや残虐さに応じて得点が設定されています。
サルボポイントを稼いで観客にアピールすると体力回復アイテムや新しい武器を投げ込んでくれます。
武器には耐久力があり、攻撃を加えているとあっという間に壊れてしまいます。温存する意味はほとんどないので、どんどん攻撃してサルボポイントを稼ぎ新しい武器を投げ込んでもらうのが正しいプレイ方法でしょう。
武器によって様々なサルボが設定されています。同じサルボを繰り返しているとポイントは上がらなくなるため、次々に武器を変えていくのがコツとなっています。
しかし油断していると敵に武器を奪われてしまいこちらが不利になったりもします。壊れそうな武器を捨てて新しい武器に持ちかえるなどの戦略も重要です。
観客の興奮度がゲージで表されており、MAX状態でアピールすると超強力な両手武器を投げ込んでもらえます。
これのチャージ攻撃の威力はすさまじく、たとえばグレートソードでは敵の腕を破壊し武器を持てなくすることが可能です。
敵に両手武器を持たせるのは大変危険なため、グレートソードを取ったら片っ端から腕折りをして回るのも有効な作戦です。
単純なバトルロイヤルだけではなく、ライバルと殺害数を競うステージやチーム戦などもあります。
プレス機や火炎放射器つきアリジゴクなどが仕掛けられた物騒なステージも用意されています。これらのトラップはサルボ点も高いのでどんどん活用しましょう。
さらにレース仕立ての戦車競技もあります。しかしレースで勝つのは非常に難しいため、結局皆殺しになるあたりがこのゲームらしいです。
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・潜入パート
潜入パートの主人公は虚弱なため一撃で死んでしまいます。隠密行動が必須です。
とは言え隠密ゲームとしては作りが甘く敵の行動は非常に単純です。巡回ルートが複雑に絡み合っているような場面はありません。
発覚時も、十秒ほど敵の視界から外れていれば警戒は解かれます。とはいえ行動できるエリアが狭いためステージよっては逃げるのはけっこう大変なんですが。
壷やロープが落ちているステージではそれを使って敵を気絶させられます。気絶した敵は起きないので一体ずつ確実に排除していくことも可能です。しかし背後からの攻撃でしか倒せないため、難度は高いです。敵を倒さず隠密状態のまま進むほうが圧倒的に楽だと思います。
倒した敵の服を奪うこともできます。変装してしまえば、普通に歩いている限りでは敵に見つかることはありません。
正直言ってこの隠密パートはおもしろくないです。ステルスゲームとしてもルートを発見する地形パズルとしてもいまいち。
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●グラフィック
けっこう綺麗です。背景グラフィックもキャラのグラフィックもよくできています。
ただマップ構成がいかにも日本的で、碁盤の目に沿って整然と直方体オブジェクトを配置したような感じになっています。そのため作りものっぽさが強い。最初の山道なんかはいい感じなんだけど。
青空の見える明るいシーンも安っぽく見えます。
敵キャラのデザインはいかにもカプコンっぽくていいです。特にヴァルケロス隊は奇人度が高い。アーカナスがかっこよかったんで二次創作イラストががないか探してみたんですが見つかりませんでした。残念。
ただ海外向けに作られたせいか、割と常識的な奇人度に落ち着いているような気もします。これがローマものでなく普通のファンタジーとして国内向けに作られてたらもっと愉快な怪人になっただろうと思います。
メインキャラの顔も濃いものが多く、非常に男臭いです。
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●ストーリー
史実を元に……してるはずなんですが、クリア後調べたら全然違ってました。
もともとローマものは興味ないのでストーリーには期待していなかったものの、ムービーが大量に挿入されていて楽しめました。キャラ描写もしっかりしており、敵か味方かわからない者も多く、話に引きずり込まれます。このあたりは国産ゲームのいいところだと思います。
デモは全てスタートボタンでキャンセルできるので同じものを何度も見せられることはありません。
ヴァルケロス隊はキャラのデザインがいいだけに、もっとストーリーにも関わってほしかったです。
ナルクラスティーズも変でいい。
展開に疑問を持ってしまう部分が何ヶ所かありました。とある人物が死ぬ意味はなかったような……。
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●感想
非常におもしろいです。なぜ売れなかったのか不思議。アクションゲーム好きならまず間違いなく楽しめるでしょう。
見た目は大味な洋ゲーでも中身は緻密に構成された国産ゲームです。
敵キャラは奇人ぞろいなのに主人公が地味というのが惜しい。海外展開を狙うために日本漫画的な荒唐無稽なキャラは避けたような気がしないでもないです。
パッケージ画像も渋すぎて、ゲームの魅力が伝わってません。
乱闘もののゲームとしては、重い攻撃のヒット感やコロシアムの臨場感の演出がすごいです。そこらの一流ゲームにも負けていません。
乱闘・コンボ系のアクションゲームは「スピーディーに、華麗に、かっこよく」という方向に進みがちだと思いますが、「汗臭く、泥臭く、重く、痛く」という方向にもまだまだ開拓の余地はあると見せつけてくれました。
稲船氏は口だけ野郎じゃなかったんだ……。鬼武者はつまらんかったけど。
ただ、隠密パートは平凡というか並以下だと思います。これを無くしてマップを走破していくタイプのステージを作ってほしかった。
「サルボリスト」というサルボを収集する要素があるんですが、技を決めた後じゃないと条件がわからないため自力で全部集めるのは至難の業です。これは最初から公開してあったほうがおもしろかったんじゃないだろうか。
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これはおすすめです。埋もれるにはあまりにも惜しい作品でした。
開発元 | カプコン |
発売日 | 2004年2月8日(アメリカ) 2005年3月10日(日本) |
プレイ記録 | |
クリアタイム | 27:11:18 |
コンティニュー | 48 |
総移動距離 | 67995 |
倒した敵の数 | 409 |
合計サルボ点数 | 839794 |
最大サルボ点数 | 45283 |
最大チェーン数 | 39 |