重厚なストーリーのダークファンタジーです。
美麗グラフィックで表現されたマップを走り回り、たまに地形パズルを解いたりするアクションアドベンチャーになっています。
「ケイン・ザ・ヴァンパイア」という作品の三作目になります。ちなみにソウルリーバー1は日本では発売されていません。
ゲーム内容は正直言ってあまりおもしろくありません……。延々と走り回ったあげく、クドクドした語り口のデモを長時間見せつけられる感じです。
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●システム
□で弱攻撃、△で強攻撃、○で魂吸収、×でジャンプ・滑空、L2でしゃがみ、R2で主観、L1でガード、R1でロックオンとなっています。
主観モード中に□で魔力をためて射撃できます。が、一部の仕掛け解除用といった位置づけです。遠方から敵を狙撃して倒すことも可能ですがこのゲームの場合戦闘自体にほとんど意味がありません。
ジャンプ中にもう一度×を押すと滑空できます。遠い足場にいくときに使います。使い勝手はいまいちで、滑空の気持ちよさもありません。
敵を倒した後○ボタンを押し続けると魂を吸収し体力回復します。吸収に時間がかかるので戦闘中にはほとんど使えません。それなのに魂は一定時間で消えてしまう……。
○を二回押すと「ソウルリーバー」という強力な武器を装備します。しかしこれで敵を倒すと魂の吸収ができません。
このソウルリーバーは所有者の体力も奪ってしまうため、ゲーム中は常に体力が減っていきます。減少速度はかなり遅く、体力がなくなっても精神界(後述)に行くためさほどの問題にはなりません。
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セレクトボタンで表示されるメニューから、物質界・精神界の行き来ができます。
物質界から精神界はいつでも転移可能ですが、精神界から物質界へ行くには体力が満タンの状態で特定の移動ポイントを使う必要があります。
また、物質界で死ぬと強制的に精神界に移動します。
精神界では鉄格子をすり抜けられたりマップ構造が変わったりします。これを利用して地形パズルをクリアしていく場面が多く見られます。
精神界の敵は基本的に弱いので普通にプレイする限りではなかなかゲームオーバーになりません。が、一部強制戦闘の敵は精神世界まで追いかけてきます。これがまた強敵で気合を入れて戦わないと死にまくります。
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セーブポイントが非常に少ないため長時間のプレイが必要になります。謎解きに悩むと三時間くらいセーブできないこともある。
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●グラフィック
発売時期を考えるとかなり綺麗です。フレームレートも高く滑らかに動きます。
キャラのデザインもかなり個性的でかっこいい。
映像面だけ見ると大作の貫禄を漂わせている。
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●ストーリー
過去と未来を行き来する壮大なファンタジーです。設定も凝っています。
しかし語り方がひどい。かったるくてしょうがない。
会話シーンでは、装飾過多・大仰かつまわりくどい言いまわしで、延々と設定を朗読されます。
RPGのラスボス戦前みたいな問答がデモのたびに五分くらい続くわけです。その会話もいまいち噛み合っておらず、相手の言葉の一部を受けて自分の主義主張を演説するような感じ。中二病的というか黒歴史的というか、そんな感じの問答が毎回毎回繰り広げられます。
しかも旧作のストーリーを理解してること前提で話が進むからさっぱりわけがわからない。
しかも音量が小さく、主人公のセリフは特に聴き取れない。
しかもリアルタイムデモなのにキャラの動きがほとんどない。突っ立ってる二人が会話するだけ。カット切り替えで場を持たせようとしてはいるものの、会話自体がつまらないからどうしようもない。
吹き替えの声優はがんばってるだけに、素材のダメさが際立ってます。
主人公は「ヘッ! もうおまえには騙されないぜ! どうせおまえは○○で××なんだろ!?」みたいに偉そうな口調で言ったりするんですが、最初から最後までいろんな人の操り人形状態です。
敵に重要な装置の操作をまかせ、結局騙されて悲惨なことになったりします。どこまでバカなんだこいつは。
ある男を殺すのが主人公の目的なのに、とどめをさせそうな場面で敵が「さあ殺せ!」と言うと、「うぅっ! 俺にはできないッ!」みたいなことを言い出してわけがわかりません
あまりにもかったるいのでデモを飛ばそうにも、キャンセル不可能となっています。
この朗読デモは、累計で一時間くらいはあると思います。
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ローカライズスタッフももわかりにくさを自覚しているのか、一度見たデモはスタートメニューから台本を読める仕様になっています。
さらに前作のオープニングデモやダイジェスト、設定解説をタイトルメニューから見ることができます。
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文句ばかりいいましたが話の筋自体はわるくないです。もっとまともな構成で見たかった。無駄が多すぎるせいで衝撃の事実のインパクトも薄くなってます。
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●感想
ゴッドオブウォーやプリンスオブペルシャを、よりかったるくよりつまらなくした感じでしょうか。
綺麗だけど面白味のない一本道マップを延々と進み、イベントをこなしたら来た道を延々と戻り、さらにイベントをこなしまたさっきのところまで進む、という往復作業を最後まで繰り返します。お使いどころの騒ぎじゃねえぞ……。
途中に敵が出ますが強制戦闘以外全部無視していいです。
探索要素も皆無なため、マップ移動の作業感を強めています。
このマラソン大会のおかげでクリアにかなり時間がかかります。内容は薄めなのにマップ移動でプレイ時間を引き伸ばしてる感じ。
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その時点では役に立たないヒントが表示される場面があります。バグってるのかアイテム取り忘れてるのか悩みました。
全体的に仕掛けの判別がつきにくくそれを発見することがパズルの大部分を占めるという感じです。個人的にはこういう注意力を試される謎解きは好きです。
物質界・精神界の移動を利用した地形パズルはけっこうおもしろいです。
ただ、複数の仕掛けを作動させる場面では、別の仕掛けに行くまでに何もない通路を20~30秒走って移動しなければいけなかったりします。仕掛けの仕組みがわかるまではそれこそ何往復もする必要がある。
ちょっとした手順違いでやり直しになることも多くイライラしました。
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戦闘の出来がいまいちです。回避して攻撃というのが基本戦略っぽいんですが、遠めの間合いで強攻撃出すのが一番手っ取り早いような気がします。
攻撃のヒット音がありません。正確にはあるんですがほとんど聞こえません。これはアクションゲームとして致命的だと思いました。そのくせ武器を振りおろす音はよく聞こえるもんだから、ますますヒット感がなくなってる。
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ジャンプ攻撃ができない、魂の吸収が遅い、主観視点での見回し角度が限られている、滑空が使いにくい、水面でパッドの下方向を押すとものすごい勢いで深く潜ってしまうなど、アクション面でも細かなストレスが溜まりました。
ラストバトルで無敵状態というのも斬新だった。物語的にも盛り上がるところなのに。
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一部おもしろい謎解きもあるし話のあらすじ自体はいいんだけど、気の長い人にしか薦められないという作品でした。
開発元 | アイドス・インタラクティブ |
発売日 | 2002/02/14(日本) |
プレイ記録 | 普通にクリア |