敵から逃げることを主体としたホラーアクションです。
監督:深作欣二、シナリオ:杉村升、キャラクターデザイン:雨宮慶太といった豪華な顔ぶれで作られています。
説明書も、いきなり六ページ使ってスタッフ紹介です。監督に至ってはインタビューつき。
スタッフ紹介の後も、ストーリーやキャラ紹介の合間に関係者のメッセージ等が大量に差し込まれ、操作方法やシステムの説明が出てくるのは実に十六ページ以降。
どんな芸術的超大作なんだ……と期待が高まります。
はっきり言ってしまうと、どうしようもない怪作でした……。
ホラーというよりお笑い路線の珍ゲーでした……。
いや珍ゲーとわかっていればそこそこ楽しめるんだけど。
.
●システム
マップ探索中に主人公が驚くとパニックゲージが上がっていきます。これが満タンになるとうまく操作ができなくなります。
パニック中に敵に捕まるとゲームオーバーです。
各ステージのラストにはボス戦があり、ここでは変身魔法少女のノリでボスと戦います。なんなんだこのゲームは……。
.
●グラフィック
かなりの奇ゲーですがグラフィックはすばらしいです。
説明書の冒頭でデカデカと紹介されてる人たちはろくな仕事をしていないのに、名前の出ないスタッフはかなりがんばったことが窺える悲しい作品です。
キャラのモデリングも悪くはないんですが、主人公は白人のはずなのにどう見ても髪染めてるアジア人です。
ファッションモデル・女優の美波という人をモデルにしてるらしい。フランスと日本のハーフだそうです。
スタッフがしっかり仕事をしすぎたせいで、奇ゲー化がいっそう進んでしまったのか。
しかしモーションキャプチャー・声の出演をやったのは別の人らしい……。藤村知可という人。どうせならこの人をモデルにしてあげればよかったのに。説明書にはスタッフの能書きが山ほどあるのに、この人については名前さえも触れられてなくてかわいそうです。
.
●ストーリー
話自体は悪くないのかもしれないけど、ゲーム的な演出がことごとくおかしな方向にいってるせいで「何コレ?」という感じになってます。
もうちょっとうまくやればサイレントヒル的な雰囲気になったのかもしれない。
キャラの動作が舞台演劇みたいに大仰なのですごく変です。
やはりゲーム用の演技の監修には、映画監督でなくゲームの世界の人間を使わないと駄目なんだな……。しかし昨今のアクション系映画ではモーションキャプチャーを使ったCGも当然のごとく使われてるはずなので、人選が悪かっただけなのかもしれない。
「ゲームなんて子供向けの娯楽」みたいなノリで、特撮ドラマを撮るような感じで作ったんだろうか。
.
●感想
冷静に考えると、場面場面ではちゃんとホラーゲームとして成り立っています。雰囲気も話も悪くない。
しかし、変な演技や特撮ドラマの怪人のような敵、魔法少女ノリのボス戦などが全てをぶちこわしています。
監督が何か勘違いしていたとしか思えない。そして深作監督はこの珍作が遺作となってしまったのでした……。
ボス戦前の「殺傷人数**人!」「懲役換算年数……**年!!」というデモも、アクションものとしてはすごくかっこいいんだけどホラーでやられると「なんだこりゃ?」と思ってしまう。
.
ラストはけっこう意表を突く珍展開なので、奇ゲーマニアはプレイしておくのもよいでしょう。
開発元 | カプコン、フラグシップ、サンソフト |
発売日 | 2002/12/12 |