初代PSからシリーズが続くステルス忍者ゲームです。
版権問題により開発会社が変わっているようです。
ゲームとしては、ステージ走破型アクションゲームにステルス要素を加えたような構成になっています。
それなりにおもしろいけど、他のステルスゲーム・忍者ゲームを経験してしまうと細かいところで不満が出てくるという感じでした。
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●システム
基本的に一本道型のマップです。
場面によっては2~3通りのルートが用意されており、箱庭ゲーム的な自由度の高いエリアもあります。
ステルス状態で敵を倒すと九字ゲージがあがっていき九文字ぶん溜まると奥義を会得できます。各ステージで一つずつおぼえられます。
しかしいまいち役に立たない奥義ばかりだったり……。使えるのはふっとばし攻撃と視点のズームくらいでしょうか。
右スティックで視点移動できます。しかし上下移動はできません。
視点には自動的に補正がかかり、カメラの追従が遅めなので、角を曲がってすばやく暗殺という行動が取りにくいです。ある程度勘に頼るしかない。
R1が「隠密ボタン」になっています。
とはいってもしゃがみと壁張り付きにしか使いません。
「隠密ボタン」と名乗るくらいならもう少し凝った隠密要素がほしかったところ。
しゃがみ(隠密)中は四方向移動になり操作しづらいです。
ほとんど全部のボタンを使います。しかしどうも練りこみが足りないというか洗練されていないというか、快適操作とは言いがたいです。
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回復や武器などの忍具をステージ開始時に選択し持ち込むことができます。
忍具はゲーム中に取得したものを持ち帰ることで増えていきます。
また、クリア時の評価によっても忍具の支給があります。
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選択できるキャラは二人で、ストーリーや面構成も違います。
キャラの性能差はほとんどありません。
面構成はいちおう異なってはいるものの、同じステージを使いまわし配置もほぼ同じなので、水増し感が強いです。
各キャラごとに三種類の敵配置があり、六周は楽しめるらしいです。
そして条件によって三人目のキャラが使えるようになるそうです。
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気配アイコンで敵の状態をある程度把握できます。
アイコンが「気」のときは敵との距離が数値で表示されます。
敵の視界に入ると「視」になります。この状態では正体に気付かれていないのですぐに隠れればやりすごせます。
敵が主人公を意識しているときは青色の「殺」になります。この状態でも姿を見られていなければ発覚になりません。
姿を見られると赤い「殺」になります。
気配アイコンシステムはなかなかよくできていておもしろいです。
発覚後の敵の動きが非常にいやらしいです。ランダムでくるくる振り返ったりするので動きが読めません。
ただ、発見直後しばらく無防備な状態があるので正面からステルスキルすることも可能です。素早く殺せば発覚になりません。
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ゲーム中に途中復活のチェックポイントがなく死んだらステージ最初からです。ボス戦がある場合も最初からです。
普通にプレイすると1ステージ三十分くらいかかるため、かなり厳しいです。
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●グラフィック
直方体のオブジェクトが多く床も真っ平らでいかにも国産ゲームだなぁという印象です。でも雰囲気はなかなかいいです。
敵やザコキャラのモデリングにまんが的デフォルメが施されており、デザイン自体はおもしろいものの雰囲気にあってないと感じました。
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●ストーリー
リアルな忍者ものではなく勧善懲悪のヒーロー活劇という感じです。物の怪やカラクリがでてきたりもします。
前作と話が繋がっておりキャラの説明もほとんどされないため、いきなり本作からプレイすると話がサッパリわかりません。盛り上がってるっぽい場面でも置いてけぼりに……。
ヒロインの声がおばさんっぽくて萎えます。かなり萎えます。庶民的というか厚かましいおばさん的というか……。ターミネイター2のサラ・コナーの吹き替えをした人だそうです。
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●感想
それなりにおもしろいんだけど、ステルスゲームとしてもアクションゲームとしてもいまいちという感じでした。
箱庭ステルス路線なら忍道戒、アクション路線なら紅忍・血河の舞のほうがよくできてると思います。
本作だけやるならおもしろいんだけど、これらの二作を先にやってしまうと本作はやる必要がないというか……。
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開く扉と開かない扉の区別がつきません。
マップを見れば開く扉の位置もわかるものの、このマップが小さくて非常に見にくいです。
また、扉の前に行くと勝手に開けてしまうためいきなり敵と遭遇ということもあります。
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マップが立体的になっていてルート探しアクションとしてのおもしろさがある一方、視点の上下移動ができないのが不便です。
いちいち主観で探索せねばならずテンポが悪くなっています。
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全体的に、移動系の作りが甘く感じました。
走るのが遅いです。動きの速いゲームがいいというわけではありませんが、忍者ゲームでこの足の遅さはどうなんだろうと思いました。
二段ジャンプができるものの高く飛べるわけではないので全然役に立ちません。忍者のくせに屋根にも上がれないなんて。高いところに移動するには鉤縄を使う必要があります。
着地後の硬直もあります。ジャンプを絡めたちょっとした移動でもいちいち引っかかる感じで、だいぶテンポを悪くしてると思います。
壁の縁にぶら下がって移動する場合、九十度以上の角では曲がれません。
この手のゲームの基本である死体運びもできません。死体はその場に放置です。
基本的に地面を歩いて敵に近寄り殺すことしかできません。天井裏から様子を見てワイヤーで吊り上げて殺すとか、もうちょっと忍者っぽい技がほしかったです。
いちおう空中からの落下攻撃で暗殺できるものの、判定が狭くいまいち使えません。普通に降りてから殺したほうが安全確実です。
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ゲームのメニューからリトライできません。
ノーアラートクリアを目指そうと思いましたがリトライがめんどうなのでやめました。
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ゲームオーバー時に最初に戻されるのがきついです。せめてボス戦で区切ってほしかった。
このせいか、ボス戦の出来も中途半端なものになっています。
忍具を使ってうまくはめれば簡単に倒せてしまう。しかしコツがわからなかったりミスをしたりするとあっという間にはめ殺される。
六面道中もものすごい難度でした。道中というか序盤の強制戦闘のシーン。思わず投げ出しそうになりました。
奈落に落下死する場面も多いです。それ自体はけっこう好きなトラップなんですが、終盤でミスして最初からやり直すとかなりゲンナリします。視点の上下移動ができないのがつらい。
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力丸篇をクリアし彩女篇にとりかかったものの、結局途中でやめてしまいました。
ゲーム自体はよくできてるんですが、後発の模倣作品のほうがおもしろいため、無理に本作をやる必要はないという印象です。
ストーリーが完全に過去作の続きになっているため、PS時代の作品をやってない人にはなおさら薦められない。
製作会社が変わったのが大きいのかもしれません。一から作り直すことの弊害が出てしまった感じです。材料自体は問題ないけど、組み上げるときに部品の微調整を怠って、あちこちズレてしまったような。
惜しい作品でした。
開発元 | K2 |
発売日 | 2003/04/24 |
プレイ記録 | |
力丸 難易度「並」クリア |