横スクロールのシューティングゲームです。
 いろいろと話題になった作品で、下手なこと言うとすごいファンの人たちに大変な目に合わされそうなので触れるのはやめていたのですが、まぁ発売からだいぶ日も経ち落ち着いてきただろうから感想を書いてみることにします。
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 ものすごい珍作怪作を想像しおっかなびっくりプレイしたところ、あまりにも普通すぎて驚きました。
 名作とは言えないものの、七十点くらいの出来じゃないかと思います。同人STGを買い漁ってる層なら充分楽しめるくらい。
 ちなみに名作と名高い5はプレイしたことがありません。いつかは購入してプレイするつもりなので動画等も見ていないです。
 シリーズでプレイしたのは2、3、4で、クリアしたのは4だけです。
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●システム
 5種類の武器を使い分けて進んでいく横STGです。スピードはいつでも4段階に変更可能です。
 旧作ではアイテムを取得して武器を増やし、ミスしたときには使っていた武器が没収されましたが、今作では最初から全武器が使えミスしても残ります。これは非常に遊びやすいです。
 実は僕はこの武器没収がいやで旧作は好きではありませんでした。5をスルーしていたのもこのためです。
「死んでおぼえる」というより「一度でおぼえろ!」という感じだし、武器の特徴を活かした面構成にしづらいシステムだったと思います。
 OverWeaponというボムに相当する攻撃があります。これは使用中の武器によって効果が違います。
 どの武器のOWでも敵の通常弾を消すことができます。しかし無敵ではないため敵の体当たりを受けるとミスになります。使用中は移動速度も落ちるため、ボス戦で使うときは注意が必要です。
 緊急回避というより、撃つ場所を決めて攻撃用に使うといった感じです。
 三発まで重ね撃ちできるため、うまく使えば一瞬でボスを倒すことができます。
 しかしヒット感が全くないので効いてるのかどうかわからない。
 難易度自体はそれなりに高いものの、その場復活+9機設定+コンティニューのせいでものすごくあっさりとクリアできてしまいます。ステージ道中が短く面数も6面しかないので、ほんとにあっというまに終わってしまいます。
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●グラフィック
 正直言ってかなりガッカリです。2008年のソフトでこれはない……。
 PS世代の3DSTGを高解像度にしたような感じでしょうか。
 演出もしょぼくてやる気がほとんど感じられない。
 ダメなりに努力のあとが窺えるのは、スペースコロニーの面と大気圏突入の面くらいでした。
 キャラのデザインも微妙なものが多いです。でも、むしろこれがサンダーフォースなのかなと思ったりもします。
 全編に漂うギラギラした原色感もサンダーフォースっぽい。
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●感想
 とにかくボリュームが薄い上にゴリ押しで簡単にクリアできるのが残念でした。
 グラフィックや演出的にも見るべきところがないので、大半のユーザーはゴリ押しクリアして「なんじゃこりゃ?」と思うのでは。
 五機設定+ステージ最初からのコンティニューくらいがちょうどいいんじゃないかと思いました。
 現状では、Maniacクリアが普通のSTGのNormalクリア相当の難易度でしょうか。
 さすがにManiacは歯ごたえがあり、僕も最初は無理っぽいと思いましたが、武器チェンジのポイントやOWの使いどころなど攻略を練っていくと、さほどSTGが上手くなくてもなんとかクリアできるようになっています。
 狙ったのか偶然なのか、なかなか見事なバランスです。
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 前述の通り、過去作ではミス時の武器没収システムが好きではなく、あまり熱心にプレイしませんでした。
 この6になって「ようやく僕でも遊べるサンダーフォースが出たか!」と思いました。グラVのオプション固定と同じく、システムをより活かす改変だったと思います。
 ただ、せっかくいつでも好きな武器に変えられるようになったのに、ボリュームも内容も薄すぎるせいで活用する場面が少ないのは残念でした。
 あからさまに「この武器を使え!」という感じの凝った仕掛けも作ってほしかった。
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 世間で言われてるような世紀の大駄作ではないと思います。シリーズ作としての良し悪しは別にして、ゲーム部分はさほど悪くはない。これがゲームとしても駄目だというなら世のほとんどのSTGは駄目になってしまう。
 しかしこれをフルプライスで買えと言われたらちょっとキツイです。
 タイトルを「サンダーフォース外伝」にしてシンプル2000シリーズで売っていれば、内容はこのままでも「シンプルシリーズを代表する良作」くらいにはなったのではないでしょうか。
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 このゲームに関する一連の騒動を見て思ったこと。
 今はSTG専門メーカーでもない限りSTGの企画を通すことすら困難で、なんとか過去のシリーズ作を引っ張ってきて企画が通ったとしても、演出と音楽が後世にまで語り継がれる作品を作らなければならないんだろうなぁと思いました。平凡な作品じゃダメなんだ……。
 作品数が減っているからこそ、そしてシリーズ作の続編だからこそ、ものすごい傑作を求めてしまうのでしょう。
 プレイヤーは面白いゲームを遊びたいのであって、製作側の事情なんて関係ないし。グラVやR-TYPE FINALのようなクォリティを求めてしまうのは当然ともいえる。
 自分で同人STG作ってる人は、「ゲーム的にも駄目だ」と言ってる人に自分のゲームをプレイされたらどれだけ酷評されるのだろうかと恐ろしかったのではないでしょうか。
 他ジャンルのゲームと違いSTGというのは製作の様子がおぼろげながら想像できるので、「もし自分が製作を任されたとして、全体的なクォリティであれを上回れるだろうか」と僕は考えてしまいます。
 この作品はステージ構成にしてもグラフィックにしても、「凡人ががんばった!」という雰囲気が透けて見えるあたりがつらい。
 シリーズとしての体裁以外の批判は、自分の作品にも当てはまりそうなのです。
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 まぁこのゲームも、グラフィックのしょぼさが曖昧になる(時代感が薄れる)十数年後くらいには再評価されるんじゃないでしょうか。
 発売当時はガッカリ作品だったグラ4や沙羅曼蛇2も、今見てみればそれほど悪くないような感じで。
 ゲーム的にはそこそこ遊べます。
 定価で買うのは暴挙ですが二千円以下なら妥当なところなので、STGファンでまだプレイしていない人は遊んでみるのもいいですよ。
| 開発元 | セガ | 
| 発売日 | 2008/10/30 | 
| プレイ記録 | 全機体MANIAC(9機設定) ノーコンティニュークリア  | 
























