PS2でRTSをやりたいと思い探してみたところ、これが見つかりました。
サイドビュー型のRTSです。
RPG要素があると思ったんですが、ステージが進むごとに使えるユニットが増えたりするだけで蓄積される成長要素はありません。
限られた条件でやりくりする正統派のRTSということになるのでしょうか。
PS2にはRTSはほとんど出てないようで、貴重な一作です。
ユニットと魔法陣の関係がややこしかったり呼び出せるユニットの上限が厳しかったりします。NORMALモードでも終盤はかなりキツかった。
このジャンルをまったくやったことない人や、あちこちで起こるトラブルに忙しく対処するのが苦手な人には厳しいかも、と思いました。
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●システム
ザコユニットにマナを集めさせて魔力を溜め、魔法陣を作りそこからユニットを生産して敵を撃破していきます。
ザコユニットの目的地をマップに点在するクリスタルに設定すると、自動的にマナ収集を始めます。ユニットと同属性の魔法陣にマナを持ち帰ったときにマナが増えるため、クリスタルのそばに魔法陣を設置したり足の速いユニットに集めさせたりするのがコツです。
魔法陣は四属性各三種で、それぞれ呼び出せるユニットがちがいます。属性にはじゃんけん型の相性があり、ユニット同士にも得手不得手があります。
また、実体型のユニットと霊体型のユニットがあり、実体型は霊体型にダメージを与えられなかったりするので注意が必要です。
属性の相性よりもユニット同士の相性のほうが影響が大きく、最強のユニットがザコユニットに瞬殺されたりもします。
このあたりかなりややこしいのでプレイしながらおぼえていくしかないでしょう。最初のうちは「こんなんおぼえられるわけないだろ!」という感じでした。
初心者向けRTSと紹介されてたりするんですが、これが初心者向けなら本格派のRTSはどれだけややこしいのだろう……。
さらに、各ユニットには召喚コスト(種類ごとに設定された強さのようなもの)あり、ステージごとに設定してある最大コストを越えて召喚することはできません。
魔法陣をレベルアップさせることによりユニットのパワーアップができます。レベルアップさせないかぎり召喚できないユニットもあります。
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操作関連もけっこう工夫されていて、アナログスティックでユニットを選択する以外に、方向キー左右でユニット切り替え・方向キー上で画面内の同種のユニットを全選択、ということができます。
目的地を別のユニットに設定できるので、大型ユニットのお供に回復係を連れて行くこともできます。
RTSというと忙しさがポイントのひとつでもあります。このゲームの場合方向キーの左右を押してユニット選択モードにすれば時間が止まるので、ゆっくり作戦を練ることもできます。
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●グラフィック
2Dイラストを多関節+変形で動かしています。これがかなり凝っていて、2Dアニメーションとしてはすばらしい完成度になっています。
重厚な塗りのキャライラストもいい感じです。
体型には強めのデフォルメが施されており、セクシーキャラはかなり色っぽい。
しかしイケメン系の男性キャラは、キャラ的にも絵的にもインパクトが薄くて物足りないような。
画面レイアウト等もかなり凝っていて綺麗です。そこらのアクションゲームや洋ゲーとは、絵を見せることに対する力の入れ方がちがう。
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マップのグラフィックは正直物足りません。絵自体はいいんですが、全ステージほぼ同じなのでおもしろみがない。
しかもマップ構造がわかりにくいです。
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●ストーリー
魔法学園に入学した少女が入学直後に大事件に巻き込まれ、謎の力で何度も時間ループしながら「事件を起こさないように」駆けずり回るというものです。
一つの原因を取り除くとまた別の問題が発生し……という展開で、ループを繰り返すたびに他のキャラの秘密が暴かれていき問題の核心に迫っていきます。
主人公はゲーム開始時は魔法の初心者なんですが、ループをしても記憶は失われず魔法の知識が増えていくためどんどん優等生化していきます。最終的にはものすごい魔法の達人になります。
主人公の主観からすると一ヶ月ほどの出来事なので、優等生化するというよりもともと超人だったのではあるまいか。
各キャラが個性的でストーリーも謎めいているため、人によってはゲーム本編よりも楽しめるかもしれません。
僕も「こんな萌えオタ向きのキャラがワイワイするようなストーリーなんか、飛ばし読みで充分だろ」みたいに思ってたんですが、気付いたら夢中になって物語を追っていました。
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登場キャラの中ではおそらくアドヴォカート先生が一番人気でしょう。男キャラではいちばん輝いています。というより美形少年二人が空気過ぎる……。
女性キャラではアマレットが人気高そうです。無感情キャラです。エロっぽい、というかレズっぽいところがオタクの股間にくる。
僕はオパールネラ先生が気に入りました。才色兼備の完璧超人だけど、嫉妬深くストーカー気質のキャラです。性格のきつい年増キャラはたまらん。
主人公のリレも可愛らしいんですが、服装にガッカリです。僕はあの太腿のところでしばるパンツ(かぼちゃパンツ?)が嫌いなのです。
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●感想
召喚ユニット数が限られていたり、ステージごとに手に入るマナが限られてたりしていて、かなり窮屈なプレイ感です。
マナの上限は無くてもよさそうだと思いました。
限られたリソースをやりくりして攻略するのは確かにおもしろいんですが、このゲームみたいにまずキャラの魅力で客を引くようなゲームの場合、下手な人は物量作戦でチマチマ進められるほうがいいんじゃないかと思います。
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キメラやドラゴンがホムンクルスに瞬殺されたときは泣きそうになりました。おそらくほとんどのプレイヤーが通る道でしょう。しかしこの極端なまでのユニットの相性も魅力の一つです。グリマルキン・ホムンクルスの活用がこのゲームのキモといっても過言ではないかもしれない。
僕の好きな戦法は、実体・霊体両方にそこそこ対処できるファントムを大量生産し基本戦力とし、キメラ+ホムンクルス(クレヤボヤンスで霊体にも攻撃できるようにする)で敵を壊滅させていくというスタイルです。ホムンクルスはほんと極悪キャラですよ……。
キメラは移動速度が速いので、電撃のように攻め入って死にそうになったら素早く離脱し回復するという戦法が使えます。
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とてもおもしろく夢中になってストーリーモードをクリアしたんですが、フリートライモードはほとんどやりませんでした。
前述のように最大ユニット数やマナの総量などステージごとに縛りが厳しいため、相当気合を入れてとりかからないといけないのです。
経過時間によって敵の猛攻がはじまったりするため、三十分近く地道に戦っても最後の二分であっという間に壊滅ということもあり、これが度々起こると心が折れます。
また、フリートライモードでは使える魔法陣にも縛りがあったりします。
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いいゲームなんだけどもうちょっとぬるい調整だったらなぁと思いました。
キャラとストーリーが魅力的なゲームなんだから、ぬるいプレイヤーにもうちょっと配慮してくれれば、人気も上がったんじゃないかと思います。
でも一番簡単なモードならなんとかなるのかな。攻撃力1.5倍、防御力2.0倍、マナの総量約二倍だそうです。しかしこれでも終盤のドラゴン・キメラの猛攻に耐えられるかどうか……。
ユニットの性能や魔法陣との関係も複雑すぎて、初心者にはつらそうです。
おすすめしたいんだけどおすすめしにくいゲームでした。
開発元 | ヴァニラウェア |
発売日 | 2007/04/12 |
プレイ記録 | |
難易度 | Normal |
クリアタイム | 27:58 |