「カニが強い」とか「隠れた名作」とかいう評判が気になって購入してみました。
原生動物を進化させて強くするというところにも惹かれる。
売り文句の「ニューテクノロジーSOM人工生命」も胡散臭くて気になってしまう。
実際にプレイしてみたところ……時代を感じさせるというか、初代ファミコンのゲームをチープな3D表示にしたという感じでした……。
装備を集めたりパラメータをちまちま強化したりというのが好きな人ならそれなりに楽しめそうですが、それ以外の人にはおすすめできません。
「SOM人工生命」が乱数に毛が生えたようなものだというのも悲しかったです。
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●システム
3Dマップを移動し、敵と出会うとターン型戦闘がはじまります。
敵を倒して捕食すると各種の体成分が増え、体成分を消費して別の形態に進化できます。
頭、体、手、足を個別に進化させることができます。
スタート地点の石碑で進化パーツを入手できます。
戦闘で得たEVPを使いDNAシートにデザイン入力を行うと、入力したデザインによってパーツを入手できます。
この部分にSOM人工生命という技術が使われています。
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●グラフィック
しょぼいです。
デザインもかなりダサいです。
動きもひどい。
前世代機の初期レベル。
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●ストーリー
ゲーム中にはほとんど語られませんが、ラストで怒涛の展開があります。
ラストでまとめて語られる設定自体はおもしろいので、もうちょっとゲーム中に見せてほしかったです。
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●感想
「ニューロテクノロジーSOM[人工生命]と、脅威のグラフィック能力が生み出した新世代シミュレーションRPG、創世」
「DreamCastだから実現できた驚愕のグラフィックス表現!」
「DreamCastだから導入できたニューロテクノロジー!」
帯やジャケ裏にこんな言葉が載ってますよ。誇大広告もいいところだ。
時代的なものを考えても、この出来はプロとして恥ずかしいレベルではないだろうか。
移動・動作関係のプログラムなどは本当に素人が作ったとしか思えない。特にラストで仲間?になるキャラの挙動がひどく、冗談のような怪動作を見せてくれます。
また、3D作品では回転や移動に若干の慣性をつけるのが普通だと思うんですが、このゲームでは移動量が常に一定になっています。3Dのテストプログラムのようです。
敵が複数出たときの処理落ちもすさまじい。
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ゲーム自体はつまらなくはないものの、「当時としてもこれはないんじゃないの?」という感じでした。
自分より弱い敵をひたすら倒し、少しずつ強化しつつ新たな場所を探索するというのが全てのゲームです。
謎解きとかイベントはほぼ皆無です。延々と戦うだけ……。
しかもその戦闘も、殴るか回復か攻撃魔法といった単純なものです。
ファミコンやMSXのARPGを思いださせてくれる。
いやまぁ僕はこういうの好きなので楽しめたんですが、これが1998年のフルプライスコンシューマソフトだと思うと……。
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いろんなパーツを組み合わせてキャラを作るのはわくわくするものの、生物ならではの面白さがいまいち出ていません。
初期の甲殻生物の段階から、背筋の伸びた直立ポーズになっています。
胴体パーツによって姿勢が変わることはありません。四足歩行の獣型、這いずり回る甲殻型みたいなのは一切なし。
別種パーツを連結したときのポリゴンのつじつま合わせはなく、プラモデルのパーツを差し替えるみたいにそのまま別パーツがくっつきます。
かっこ悪い……。
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極めつけはSOM人工生命のがっかり感ですよ。
仕組みはややこしいのに結果的には乱数に毛が生えたようなものになってます。
10*10のマス目に六色のペンを使って絵を描くと、そのパターンによって新しいパーツが手に入るようになっています。
あるパーツを取得した場合、その絵の一部を変更すると近いレベルのパーツが出てきます。
これは過去の入力パターン等によって変わるそうで、「特定のパーツを取るための絵」というものはありません。
例えばあるパターンを描いてレベル10の腕パーツが出たのなら、1マス書き加えたり消したりして結果を見ます。運がいいと強いパーツが手に入り、運が悪いと同一パーツや低レベルのパーツが手に入ります。
人工生命が謎の法則に従ってパターン分析をしているらしいものの、プレイヤーにはその法則がまったくわかりません。
説明書には人工生命の傾向を掴んで法則を見出し……みたいなことが書いてありますが、そんなことができるのは超能力者くらいだと思います。
しかもこの作業がぜんぜん面白くない……。当たりでも外れでもポイントを消費するあたりが泣ける。
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カニがすさまじく恐ろしいという評判で、どれほど恐ろしいかワクワクしながらプレイしました。
しかしカニの脅威は序盤のほんの少しの間でした。プレイ時間にして十五分くらいかな?
このゲームの最大の特徴みたいに言われてるんですが、全然インパクトなくてガッカリでした。
ネクロマンサーのザコキャラ(次のエリアで最初に出会うやつ)のほうがよっぽど恐ろしいです。
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RPGの定石から外れたものを作ろうという製作者の意気込みは伝わる気がするものの、実際出来たものは気力が空回りした凡作(というか並以下)という感じで、悲しい雰囲気が漂う作品でした。
せめてプログラマはもう少し頑張ってほしかった。
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いろいろ文句を書いたものの、フルプライスの商業作品と考えなければ楽しめます。同人ゲーム的なおもしろさがあるというか。もし同じものが千円の同人ゲームとして出ていれば、僕は褒めまくったかもしれません。
ストーリーも見せ方を工夫すればいい感じになりそうです。
もうちょっとマシなスタッフが集まってれば、そこそこの名作になったかもしれないな……という作品でした。
開発元 | NECホームエレクトロニクス |
発売日 | 1998/12/13 |
プレイ記録 | |
HP | 683 |
EP | 606 |
AT | 788/748 |
INT | 719 |
E-AT | 24 |
HEAL | 349 |
DEF | 711 |
DEX | 523 |
Head | 18/30 |
Arm | 15/30 |
Body | 23/30 |
Leg | 15/30 |