「ゲーム史に残る不朽の名作」というものすごい煽り文句(ベスト版のパッケージ表に書いてある)の、FPS型アクションアドベンチャーゲームです。
六十年代アメリカ的な美術デザインで構成された海底都市を舞台にしています。
都市内には狂人が徘徊しており、ホラーゲームっぽい雰囲気もあります。
銃による戦闘のほか、超能力を使った戦闘もできます。工夫次第でさまざまな戦い方が可能です。
と、すごいゲームではあるんですが、個人的には「普通のすごさ」で落ち着いてしまいました。
煽り文句ほどではないかなぁと。
凝った戦闘ができるのに、ゴリ押しのほうが効率がいいのが残念でした。
だからこそアクションが苦手な人でも楽しめるんですが。
完成度は文句なく高いので、未プレイの人はぜひこの狂気の海底都市を体験してみてください。
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●システム
一般的なFPS操作に加え、L2でプラスミド攻撃(超能力)ができます。
プラスミドには属性や特殊効果があり、敵や環境と組み合わせることで戦闘を有利に進めることができます。
ゲージ消費制で、回復には薬が必要です。自動回復はしません。
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成長要素はすべて自動販売機で購入する形になります。
プラスミドのほか、パラメータアップや写真撮影、ハッキング補助など、さまざまなスキルを購入できます。
弾薬等も購入できます。
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敵の写真を撮ることができます。
写真を撮ると、分析によりさまざまなボーナスを獲得できます。
ダメージ増加ボーナスなどもあるので、敵を見かけたらどんどん撮りまくっていきましょう。
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セキュリティ装置や自動販売機にハッキングできます。警報を解除したり値段を下げたりできます。
セキュリティマシンを味方につけることもできます。
ハッキングモードではパネルをはめてパイプを繋げていくミニゲーム(チクダクバンバンみたいな感じ)になります。
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敵は無限沸きします。
復活する敵と復活しない敵がいるらしく、片っ端から倒していけばある程度敵の量が減るようです。
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ヴィタチャンバー(復活ポッド)を見つけておけば、死んでもペナルティ無しで復活できます。
死亡というより復活ポッドに転送される形なので、敵に与えたダメージもそのまま残っています。
このため、アクションゲームが苦手でも根気さえあれば必ずクリアできるようになっています。
強力すぎる機能のためか、オプションでオフにできます。本気でプレイしたい人はオフにするといいでしょう。
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●グラフィック
大変素晴らしいです。
六十年代アメリカの雰囲気とスプラッターホラーの恐ろしさが融合して、唯一無二の世界観を形成しています。
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●ストーリー
グラフィックと相まって、すごい狂気感が漂っています。
あっと驚く展開なども用意してあります。
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●感想
すごい出来のゲームではあるんですが、ゲームバランスに致命的とも言えるちぐはぐ感があるのではと思いました。
ヴィタチャンバーを使ってプレイする限りでは、売りである戦闘の自由度がまったく必要なくなってしまうのです。
技や環境を駆使して戦うのはめんどくさい上にけっこうなテクニックが必要で、それをやるくらいならごり押しで進んだほうが圧倒的に楽です。
ヴィタチャンバーを使わずにプレイすると、今度は難易度がものすごく跳ね上がります。
プラスミドの使用にけっこう多めのイブ(魔力)が必要なため、狙いを外したときのリスクが大きいです。回復薬も九個までしか持てません。
しかも敵が無限沸き(復活)するので、毎回毎回まともに戦うのがめんどくさいのです。ビッグダディまで復活するのはなんかガッカリだよ……。
無限沸き無しなら、一回一回の戦闘で知恵と技術を駆使するのも悪くないと思うんですが……。
アクションが苦手な人用には、普通に被ダメージを減らすとかで対応できそうです。
進むにつれて無人の空間になっていくのを嫌ったのでしょうか。僕はホラーゲームでの「安全地帯を広げていく」感覚が好きなので、無限沸きは残念です。
結果的に、「ヴィタチャンバーなしで楽しめる上級者」と「ゴリ押しで雰囲気だけを楽しむ初級者」は満足できるけど、「FPSやアクションは好きだけどあまり上手くない」層は、モヤモヤしたものを抱えながらごり押しプレイすることになってしまいます。
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アクションRPGと呼ばれることが多いようですが、キャラの成長がゲーム進行によって完全に操作されているので(特定の自販機でスキルを買うようになっているため)、アクション要素のある探索アドベンチャーといったほうがいいと思います。
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ホラーゲーム的な扱いをされていますが、個人的にはあまり怖いとは思いませんでした。
敵が普通の人間(狂ってはいるけど)というのが大きい気がします。また、敵がよくしゃべるため、狂気感はあるけど怖くはないと感じてしまいます。このへんは個人差が大きそうな部分ですが。
僕は「サイコホラー」が全然怖くない人間なのです……。
現実世界では確かに生身の人間や狂人は相当恐ろしいけど、フィクションの世界だと生身の人間の怖さは底が知れているので、怖がれないのでした。
フィクションでは未知のもののほうが怖い。
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ゲーム内すべてのオブジェクトの状態を保存していく方式なので、ゲームを進めるほどセーブデータが肥大化していきます。
あまり大きくなると不具合が起きるのではないかと焦ってしまう。
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探索ゲームとしてはとてもよくできています。
海底都市という閉鎖された環境であっても、さまざまな場面が出てきて飽きません。
収集要素もあり隅々まで見て回りたくなります。
ヴィタチャンバーでいくらでも復活できるので、アクションが苦手な人でも3Dアドベンチャーゲーム感覚で楽しめます。
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敵の復活をなしにしてゲームデザインしてくれれば、僕にとっては文句なく大傑作だったと思います。
名作だとは思うけど、期待したほどじゃなかったなぁという作品でした。
それでも完成度はほんとうに高いので、未体験の人はぜひどうぞ。
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開発元 | 2K Boston/2K Australia |
発売日 | 2007/08/21 Xbox 360版/PC版(米) 2008/12/25 PS3版(日) |
プレイ記録 | |
難易度 | Normalクリア オートエイムオフ |