僕は筋金入りのSFファンと自認しているんですが、実はこの有名作品を二十年以上本棚の奥にしまいこんでいました。
最近発掘されたので、これは読んでおかねば思い読んでみました。
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実はクラークの作品はあまり好きではありませんでした。
工学的すぎるというか、技術やSF概念に偏重しすぎていてキャラクタやドラマ性が薄いのです。
幼年期の終わりはけっこう楽しめたものの、小説というよりは長いあらすじを読んでいるような印象でした。
そしてそれは本作にも言えます。
月や土星への旅が、当時としては最新の情報を使って描写されておりすごいものの、「この月旅行の描写は本当に必要なのか?」と思ってしまったのでした。
しかし、好きな人にはこういうところがたまらないのだろう。
購入時に読んだときは、この月旅行のところがかったるくて挫折してしまったのでした……。
そして今回もかなり苦痛だった。
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あまりSF初心者に勧められるような作品ではないですが、古典としての価値を考えると初心者にこそ読んでほしいという内容でした。
僕ももっと早くに読んでおくべきだったなぁ。
以下、若干のネタバレがあります。
最初のヒトザルの章はかなり楽しめました。
どうも僕は原人とか文明を持っていない時代の生活の描写が好きなようです。
日本の歴史でも縄文時代が一番興味ある。戦国時代とかかなりどうでもいい。なにがおもしろいのかわからない。いやわかるけど楽しめない。
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HALの反乱の章はドキドキしながら楽しめました。
「HAL」というと、思考型コンピュータの代名詞ともいえる存在であり、これが有名なHALなのか~と感慨深かったです。
とはいえ退場しておしまいなのは寂しかった……。あれほど有名なのに原作では使い捨てキャラだったのか……。
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最後のスターチャイルド云々のあたりは、発売当時(もしくはSF読み始め)なら楽しめたかもしれないけど、本作の影響下にある作品を先に読んでしまっていたためいまいち楽しめませんでした……。
他にも、超知性による「なんでもあり」的なオチがあまり好きではないというのもある。神様みたいなのが事件を解決すると、ファンタジーになってしまうわけですね。
SFなんだから、人類の技術で困難を克服してほしい。
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買ったときにがんばって読んでおけば、何倍も楽しめただろうなぁと思います。
本作を未読でSFに興味のある方は、なるべく早く読んでおいたほうが良さそうだぞ。