CDの感想に入る前に今年のメタル界で印象的だった出来事を挙げておきます。
Jackalのブライアン・リッチとHeliconのウヴェ・ヒーペンの訃報は残念でした。
特にウヴェが亡くなったというのはかなり衝撃的でした。
現役を引退しているとはいえ、音楽関係の仕事(スタジオ経営)をしていることもあり、いつかは新作出してくれるかもと期待していたのでした。
他には、ダークムーアの初来日というのがありました。
2000年代前半にメロスピファンの間でかなりの人気を誇ったバンドです。しかし一度も来日していなかったというのは驚きでした。
しかも今回の来日、かなり小さい会場で多数の日本のバンドと対バンだったのです。チケットも3500円というびっくり価格。
名古屋公演は100人いるかいないかくらいの客の入り(それでも満員)でした。
演奏自体は大変すばらしく、もっと大きい会場でたくさんの人に見てもらうべきだよなあと思いました。
プリティメイズの来日公演にも行きました。
このバンドは九十年代半ばから聴いているものの一度もライブを見ておらず、今回ようやく都合がつきました。
とりあえずケンさんの体格にショックを受けました。顎の肉が襟巻き型後付けパーツのようになっていてすごかった。
公演自体は、八十年代の華やかさを残す立派なもので、とても楽しめました。
アップテンポの曲が多めで、それ以外も「知らなくても楽しめる」感じのポップな曲になっており、そこらの若手バンドとは格が違うと思わせてくれました。
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それではCDの感想にいきます。
2013年に買ったCDで印象的だったものを挙げていきます。
2013年は、シンフォニック系の良さに目覚めた年でした。今まではけっこう敬遠してたジャンルなんだよな……。
万人向けのわかりやすいアルバムが多いので、これを参考に何か購入してみてはどうでしょうか!
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●DarkMoor [ Ars Musica ]
来日するというので十年ぶりに買ったダークムーアです。
これはほんとにすばらしくて、大歓喜の悶涙失禁アルバムでした。
世間ではクサくなくなったとか散々な言われようですが、メロディの充実度では初期を遥かに上回る大傑作ですよ。
ミュージカルメタルといった感じの華やかな印象になっています。クワイア合唱ものが好きな人にもおすすめ。
ただ、速い曲はほとんどなくなったので、メロスピのダークムーアを期待してる人はがっかりするでしょう。
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●LMO [ Lingua Mortis Orchestra ]
僕らのRAGEのオーケストラプロジェクトです。
眠くなるインストが連発するのかと思ってたら、ちゃんとしたパワーメタルアルバムになっていて驚きました。
六分以上の曲ばかりですが、あくまでも歌を主役に据えています。女性ヴォーカルやクワイアを多用してドラマティックです。
むしろ、オーケストラ楽器が主役になる場面が少ないのが残念なくらいでした。
RAGE本編ではあまり聴けないバラードも入っていて、これがなかなかの力作ですばらしいです。
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●DGM [ Momentum ]
メロスピ界に燦然と輝く神盤「Misplaced」のあと、バンドの中心人物が脱退してどうなることかと我々を心配させたDGM。
しかし前作に引き続き傑作を完成させ、バンドの未来は安泰だということを見せつけてくれました。
前作よりも若干ハードになったような……という印象です。
凝った楽曲とテクニカルな演奏が売りのマニア受けバンドっぽいんですが、歌メロがものすごくキャッチーなのでボケーと聴くだけでも楽しめます。
むしろメタル初心者向けとも言える。
ジャケットデザインや曲タイトル(英単語一つ)からもオシャレ感が漂っていて、「メタルってダサいし……。戦士とかガイコツが叫んでるジャケットのCD買うの恥ずかしいし、部屋に置いてあるの友達に見られると困るし……」と思ってる人も安心です。
むしろ、音符がやたらと多い曲を「うん、これはいいね」といって聴くのは知的でかっこいい。音符多くてもメロディアスだから、素人にもわかりやすいわけです。
ほんと、楽器もヴォーカルも曲もハイレベルですごいバンドですよ……。
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●IronFire [ Tunderstorm ]
アイアンファイアのデビュー作を今更買いました。
これがものすごい完成度で、九十年代のメロスピやジャーマンメタルに心をときめかせた者なら必携の一枚といった内容になっています。
DiskHeaven風に言うなら「 Helloween + Running Wild !!」ですよ。
若干ケルト色の入った明るくキャッチーなメロディが、ドコドコスコスコ軽快に疾走します。
なぜ日本盤が出なかったのだろう……。
このバンドのアルバムでは、いちばんおすすめです。
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●Helloween [ Straight out of hell ]
デリス期のハロウィンはあまり聴いてなかったのですが、去年あたりから少しずつアルバムを集めるようになりました。
そして新作が登場し、なかなか評判いいではありませんか。
それではということで購入してみたところ、「ハロウィン ベストアルバム」みたいな充実度で大満足でした。
ハロウィンってどんなバンドなの?という人に、最初にお勧めできそうなアルバムです。
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●Kamelot [ Silver thorn ]
キャメロットは大好きというほどではなかったんですが、去年あたりから「あれ? もしかしてすごくいいんじゃないの?」と思い聴きこむようになりました。
KarmaとEpicaは、聴けば聴くほど味の出るアルバムという感じで(いちばんわかりやすいアルバムという気もする)、今更ながらファンになったという感じです。
さて、このキャメロット、ニューアルバム製作前に看板シンガーの脱退という大事件がありました。バンドの人気の三割ほどは、前任ヴォーカリストの力だったのではないでしょうか。
誰もが「一段階レベルダウンだな……」と思ったであろうところに、キャメロットは「これでどうだ!」と言わんばかりに超強力なアルバムを叩きつけたのでした。
正直言うと、僕は過去作よりも気に入ってしまいましたよ……。みんなロイに対する思いいれが強いせいか、感想などを見ても歯切れの悪い褒めかただったりもしますが、時間が経てば大絶賛になるに違いない。
全体的に暗めな印象ながらも歌メロが充実しており、「ぱっとしないのに引きこまれる」アルバムになっていると思います。
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●Gary Moore [ Wild Frontier ]
近所の本屋で、中古300円で売っていたので買いました。
ゲイリー・ムーアやシンリジィというと、いろいろ評判は聞いているものの「いまさら古臭いハードロック聴いてもなぁ……」と、なかなか手が出せませんでした。
しかしまぁ300円。勉強がてら買ってみるのも悪くないだろう。
そしたら名盤すぎてたまげました。中古で買ってごめんなさい。
ケルト(アイリッシュ)風メロディをふんだんに取り入れたハードロックで、フォークメタルやヴァイキングメタルよりも僕には向いてるんじゃないかという感じです。
なんでも、彼の作品の中でも特にハードロック色が濃いそうで、ゴリゴリのメタルファンでも充分楽しめるアルバムだと思います。