ずいぶん前になりますが、両面スキャナのScanSnap ix500を購入しました。
個人による書籍の電子化では、現時点で一番人気の機種でしょう。
今のところ、140冊ほどスキャンが終了しています。
なかなかすばらしい性能で、大量の本に部屋を圧迫されており本の電子化に抵抗がない人には、おすすめの機械です。
本体の紹介と、裁断・スキャンのコツを書いてみます。
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本の電子化は本当に必要なのか
本体の紹介の前に、「本の電子化は本当に必要なのか?」ということを考えておかねばなりません。
ある程度以上本が溜まると「この本は再び読むことがあるのか?」という疑問が出てきます。
二度と読まない本を電子化する必要があるのか。捨ててしまってもかまわないのではないか。そこそこ売れた本なら、古本屋で買い戻すという手もある……。
Scansnap本体が四万円。
現在持っている本をすべて捨ててから、もう一度読みたくなって古本屋の百円コーナーで買い戻すと考えると、四百冊買える値段です。
四百冊読み直すというのはかなり大変ですよ……。
これは、「再読したい本が四百冊以上あるか」と考えてもいいかもしれない。
いや、大事な本200~300冊程度なら手元に残しておいてもさほど邪魔にならないので、「割とどうでもいいけど、いちおう再読したい本」が四百冊以上あるかという問題ではあるまいか。
二度と読まないであろう本は、そのまま捨ててしまったほうがよさそうな気がするぞ……。
それでも悩んでしまうのが「捨てられない男」というものだろう。ホイホイ捨てられるくらいなら、本など溜まらないのである。
こうして僕は、ix500の購入に踏み切ったのでした。
僕の場合は小説のスキャンが目的なのでこういう悩みが出てきましたが、漫画がメインならもう少しコストパフォーマンスが良く感じるのではないでしょうか(読み返す頻度も高そうなので)。
僕は引っ越すときに、惜しいと思いつつ漫画の大半を処分してしまいました。あのときにこういう機械があればよかったのにと心底思いますよ。
あと昔興奮したエロ漫画とかももう一度読んでみたい。若者は今のうちにスキャナを買って、お気に入りのエロ漫画をスキャンしておくとよさそうだぞ……。
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裁断がいちばん面倒くさい
スキャンするには本の裁断が必要です。電子化の手間の大部分がこの裁断作業になります。裁断を制するものが電子化を制するといっても過言ではない。そしてこれがけっこうめんどくさい。
僕はディスクカッターを使っています。回転する円形の刃を押し当てて切っていきます。カッターマットと滑り止めつき金属定規もあると良いでしょう。
一万円以下の裁断機もあります。とはいえ一度に切れる厚みはディスクカッターと大差ないので、一日に何十冊も裁断するのでなければディスクカッターで充分でしょう。
ディスクカッターでの裁断にはコツがあり、最初はなかなかうまく切れませんでした。
マットを床に置き、カッターを逆手に握って体重をかけて切っていくと裁断しやすいようです。
カッターを何往復もさせるやりかただと、切っているうちに微妙にずれ、細い糸のような切りくずが大量に出て大変なことになる場合があります。
手前から奥へと、1cmくらいの幅でギコギコと前後させて押し切っていくといいと思います。最初に6~7割の厚さを、二度目に全部を切る感じです。
裁断が終わったら、片付ける前にディスクカッターに油を引いておきましょう。替え刃もけっこう高いので、できるだけ長持ちさせましょう。
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スキャンは楽だけどトレーに置ける量に制限がある
スキャン自体はほとんど自動的に行われますが、ページがくっついていると送りミスが発生します。
カラーページなどは接着剤がはみ出して前後のページとくっついてることがあるので、あらかじめページをめくって確認しておきましょう。
給紙トレーには、厚みにして1cmくらいしか乗りません。がんばれば1.5cmくらいもいけますが、給紙ミスが発生することがあります。
厚めのノベルズだと複数回にわけねばならず、若干面倒です。まぁ面倒といっても給紙トレーに置くだけなんですが……。
本機の唯一の不満点がこれでした。厚さ5cmくらいは一度に給紙できるようにしてほしかったです。
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読み取り設定はいくつも作ることができます。本体のScanボタン用に設定しておけば、トレーに給紙してボタンを押すだけでスキャンできます。wifiでスマートフォン等と繋がるので、パソコンを起動しなくても使用できます。
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OCR機能もついています。読み取るついでに自動的にテキスト化してくれるため、完成したPDFファイルから文章をコピーできます。
さすがに完璧な識別は無理なので、取り込んだ小説をテキストファイルとして読むのは若干つらいですが、検索用にはじゅうぶん役立ちます。
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バックアップ
裁断後の本は当然捨てることになります。
しかし、PC上のデータはハードウェアのトラブルで消えてしまうかもしれない……。これはかなり恐ろしい問題ですよ。
僕は二台のHDDに保存していますが、両方とも本体内蔵なので、ウィルスや電源トラブルで同時に死ぬ可能性がないとは言えない……。
最近流行のオンラインストレージを使うという手もあるけど、無料スペースだと容量が心許ない。
設定にもよりますが、小説を白黒で取り込んで一冊20MB、漫画をカラーで取り込んで一冊100MBくらいでしょうか。(カラーの自動判別機能を使えば、漫画ももっと小さくなるかもしれません)
このあたりの問題は、結局バックアップを複数作るしか対策しようがないでしょう。こうして僕は、NASの導入を真剣に考え始めたのだった。
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画質を気にする人は注意したほうがいいかも……
読み取り部分に埃がつきやすく、スキャン画像に縦線が入ることがあります。
僕はまったく気にしないんですが、「大事な本を裁断してまで電子化するんだから究極画質でないと許せない!」という人は注意したほうがよいでしょう。
本を閉じている糊がスキャン部のガラス面に付着し、それが元で縦線が入ることもあります。
PDFのマニュアル(オペレーターガイド)に清掃方法の解説が載っています。
また、amazonでの高評価☆1レビューによると、2cm感覚で数ミクロンのライン抜けがあるそうです。
拡大して確認してみたところ、僕の設定ではjpegの劣化のほうが大きくてまったくわからなかった……。
雑誌をスキャンすると元の原稿にインク跡が残るという問題(送りローラーにインクが移るらしい)もあるそうです。
高画質&元原稿の保存を考える場合はフラットヘッド型にしておいたほうがよさそうだぞ。
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読書はほどほどにしておけ……
現在140冊ほどスキャンが終わったので、本体価格40000に換算すると一冊あたり285円ほどということになります。
400冊まではまだまだ遠い……。
そして、スキャンが終わったら読みたくなるというのが人情というもの。
最近は再読熱が高まっており、毎晩読みまくっています。
しかし同じ時間をかけるなら新しい本を読みたいという気持ちもある。
一方「面白かったことは覚えてるけどストーリーはほとんど忘れてる」という本を再び楽しみたいという気持ちもある。
そしてシリーズものの新刊を読む前に一冊目からおさらいしておきたいと思うこともある。
ほんと時間が足りなくて困りますよ。
これを読んでいる未来ある若者に言いたい。
世間では「読書は立派なこと」みたいに言われてたりするけど、あまり熱中しすぎても時間を浪費するだけなので、ほどほどにしておいたほうがいいぞ……。
将来きっと後悔する……。