人類を含めたすべての動物が衰退し、植物が地球を支配している遠未来の物語です。
動物は完全に少数派に追いやられ、進化した植物に捕食される立場になっています。
さらに人間は知能さえも衰退しています。
この熱い設定……。もうこれだけで勝ったも同然ですよ。
遠未来の世界で大自然が猛威をふるうという設定の作品はいろいろとありますが、ほぼ元祖ともいえる本作でここまでやってしまったというのはすごいです。
奇怪な植物が跋扈する異形の世界を舞台に、少年少女が冒険する大傑作です。
オタクなら押さえておいて損はない一冊ですよ!
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「少年少女が冒険する」ということで勇気と友情の物語を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、本作は陰鬱な展開がこれでもかと続きます。応援したいキャラがどんどん死んでしまう。
登場人物は基本的にみんなバカなので(知力が衰退してるから仕方ない)知恵と勇気で危機を切り抜ける展開にはなかなかなりません。
しかも人類の知性には驚くべき秘密があり、「なんだ、やっぱ人間は基本的にバカなのか」という感じです。
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大変すばらしい作品なのですが、世界観が突飛過ぎて情景を思い浮かべられない場面が多々あります。
読むのにけっこう苦労するので、初心者向けとは言えないかも。
なんで映像化されないのかな……。
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結末も、それなりのハッピーエンドの可能性が示されるものの、パンク精神が爆発し「知るかバカ! オレは好きなようにやる!」という感じで、まさにイギリスSFという感じです。
かっこよすぎる。
素人向けではないけど、我こそはオタク!と思う人なら押さえておいて損はない名作です。