Rageの30周年記念作品です。
ボツ曲を再構成したもの、過去アルバム収録作のデモ版、別プロジェクトのデモ版、地域限定のボーナストラックなどで構成されています。
LMOのライブを収録したDVDもついています。
新曲一曲と一部のボーナストラックを除き、サウンドプロダクションがかなりきついことになっています。
10周年記念盤のような、準新作的な完成度は期待しないほうがいいです。
最近Rageを知ったという人にはあまりおすすめできないかも……。
そして輸入版は国内版の半額以下(約1800円)ですよ……。
熱心なファンなら国内版を買ってバンドやレコード会社に「日本は売れるぞ!?」と思わせるべき!と普段は思ってるんですが、さすがにこの価格差には負け輸入版を購入しました。
僕が買ったのはCDトレイ三段のデジパックでした。作りがちょっとしょぼいのが残念。日本盤はどうなんだろうか。
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曲はバラエティに富んでいます。
スラッシュ調からポップな曲まで様々です。
Mystery Trip、Here comes the Night、Darkness Turn to lightなどはメタルというより一般ポップミュージック的で、人によってはなんだこりゃ?と感じるかも。
思えば13やGhostsあたりから非メタル感のある曲が時々出てくるようになりました。ピーヴィって実はボンジョヴィとか好きなのかも……。ミニアルバム「Refuge」でもポップミュージックのカバーをやっていたし、普段はけっこう普通の曲を聴いていそうだぞ……。
ニュークリアブラストオールスターズやマインドオデッセイの曲をピーヴィが歌ったものは、最近のRageっぽさがあります。
Perfect Day、Dirty Wings、In Unionあたりは通常のアルバムに入れても人気曲になりそうです。
この辺の曲と新曲はきちんとミキシング&マスタリングしてほしかった……。
これらだけでもアルバム一枚分くらいの曲数があるので、通常アルバムレベルに仕上げてあればファン以外にも普通におすすめできる作品集になっていたと思います。
Dirty Wingsはかなり気に入ってしまった。トビアス版では平凡な曲だなーと思ってたのに。
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旧作アルバム収録曲のデモ版は、かなり厳しいことになっています。
オーバーダブなしのスタジオライブのアナログ録りが大半で、とにかく音が悪い。
音質が悪いだけなら聴いてるうちに慣れるんですが、歪んでたりするのでヘッドフォンでじっくり聴くと耳がつらいです。
また、アレンジも固まっておりほぼ完成版と同じなので、「製作中のデモ曲」という面白味も薄いです。
とくに2000年以降の曲は、バンドの手堅い演奏力のせいもあって、ただの音質が悪い曲になってます。こうなると存在意義が見当たらない……。
そんな中で、Another Kind of Madnessのデモ版は、アルバム版と大きく違っていておもしろかったです。
ほとんど別曲なのに中途半端に似てる部分があるせいで、パチモン臭くて気持ち悪くて癖になる。
しかもRageの曲とはとても思えない珍妙な曲調です。そりゃNoiseも反対するわ……。
アコースティック版も、本当にRageの曲?という感じでしたが、こっちはさらに変です。デモ曲の中では一番の目玉ではないでしょうか。
他にはEnough is Enoughは基本的には完成版に近いものの、ピーヴィのヴォーカルにギリギリ感が漂っていてマニアなら楽しめるでしょう。
個人的には、Spritual AwakeningとSoundchaserはデモ版のほうが気に入りました。Soundchaserのコーラスはなんで変えちゃったのかな。
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DVDの完成度が高いです。おまけクォリティだと思って期待していなかった……。
Masters of Rock 2013でのLMOがメインとなっていて、単体でも発売できそうな内容になっています(とはいえ時間は1:15ほどで短めです)。
元メタリウムのヘニング・バッセが参加しています。丸々とした体型になっていました……。メタリウムの1stで銀色に塗ってた筋肉はどこにいってしまったんだ。
この人はメタリウム時代よりも歌がうまくなってる気がするので、もっとリードヴォーカルを取ってほしかったです。
最近はゲスト参加ばかりらしいので、また自分のバンドを作って戻ってきてもらいたい。
このDVDで一番印象的だったのは、最後のStraight to Hellでした。
LMOアルバムのボーナストラックのやつは、昔の音源にオーケストラをうっすらと重ねただけでがっかり感がすごかったですが、このライブ版はしっかりアレンジがされており新たな魅力が出ています。
LMO Tour 2013のライブも入っていて、これはモノラル感溢れるなかなかきつい内容になっています。カメラのアングルも固定です。
しかし、「ヘニングバッセがLMOを従えて歌うTurn the Page」というものすごい音源が収録されているので、ここだけでも聴いておかねばなるまい。
この曲は間奏後の疾走パートがかっこよすぎて、いつ聴いても漏らしてしまう。
LMOはこの曲とLove and Fear Uniteを毎回やるべきだな……。
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ブックレットのボリュームが少ないです。30周年記念なんだから、もっとこう、なにかコレクター魂をくすぐるものが欲しかった……。
書かれているのは収録曲に対するコメントと参加者クレジットのみです。
DVDに関しては何の記載もない。
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とにかく音質の悪さが目立つ作品でした。
旧作のデモをCD2のほうにまとめて、そこそこ聴けるCD1をメインとしておけば、もうちょっと印象が違ってたかもなぁと思いました。
あと、アレンジも演奏もしっかりしていて音質だけ悪いデモ曲は、面白味がないので無くてもよかったと思ったのでした。
でもまぁ僕は満足ですよ。
なぜなら信者だから。