FF12のように仲間の行動をあらかじめ設定できるRPGです。
ストーリーもかなり凝っており、会話の選択により展開が変わっていきます。
完成度は非常に高いのですが、ゲームの要でもある仲間の行動設定に若干欠陥があり、いまいち楽しめませんでした。
また、敵の数が有限でありじっくりとキャラを強化できないため、人によって好みが分かれそうです。
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●システム
全体マップから目的地を選び、ほぼ一本道構成のエリアを攻略していくARPGです。
攻略済みのエリアを再度訪れることもできますが、倒した敵は復活しない(規定数しか配置されない)ので寂しいです。
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戦闘中の味方は自動的に戦ってくれます。任意のキャラを操作することも可能です。
必ず一人は自分で操作せねばならず、完全な自動戦闘にはできません。
敵の出現数が限られているため、キャラを成長させたければなるべく多くのクエストに挑戦する必要があります。
よく考えてスキルを取得していかないと終盤がきつくなったりします。
戦闘の難易度はかなり高いです。
しかしあらかじめ罠を仕掛けたり武器に毒を塗ったりと下準備すれば、有利に戦闘を進めることができます。
「敵の出現数が限られている」というのがここで効いてきて、無駄な戦闘が発生しないぶん、ひとつひとつの戦闘をじっくり楽しむことができます。
戦闘関係の操作システムは、時間で回復するMP、Rトリガー+XYBによるショートカットなど、昨今のARPGでよく見る形です。
装備アイテムもハック&スラッシュ型RPGのスタイルです。
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会話や行動の選択結果により味方の好感度が上下します。
好感度が下がりすぎると敵に寝返って戦いを挑んできたりします。こうなるとそのキャラは二度と使えなくなります。戦闘は回避できないので殺すしかありません。
とはいえ贈り物を使って好感度を上げることもできるので、定期的に高感度をチェックしていれば大丈夫です。
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ストーリーの大筋は決まっているものの、選択肢による展開の変化はけっこう大きいです。
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難易度は高めで、Normalでも苦戦します。
レベルを上げて装備を揃えて敵を蹴散らすタイプのRPGではなく、作戦を練りじっくり下準備をし、一つ一つの戦闘を確実に乗り越えていくタイプのゲームです。(Normalならゴリ押しもそれなりに効きます)
SLG好きの人向きかも。
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●ストーリー
ダークファンタジーを謳っているだけあって、単純な勧善懲悪にはなっていません。
設定もかなり凝っていて、テキスト量は尋常じゃありません。よくこんなの翻訳したな……。
その反面、最初のうちは知らない用語が大量に出てきて物語に入り込むのが難しいです。
行けるところがどんどん増えたりたくさんのクエストがあったりするものの、全体としては一本道進行の印象が強いです。
国産RPGと似たプレイ感でした。
大人向けの本格ファンタジーが好きな人には超おすすめです。
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●感想
作りこみのすごさに圧倒される反面、欠点もかなり目に付きました。
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AIの不具合がものすごく残念でした。
近接武器と間接武器の切り替えがうまくいかず、戦闘中にずっと武器変更をし続けてしまうのです。
これを回避する方法もあるんですが、武器変更だけで設定スロットを複数個使用してしまい、せっかくの設定システムが100%活かせません。
なぜテストプレイヤー十人中十人が気になるであろう致命的なミスが放置されているんだろう……。
個人的に、このガッカリ感が強烈だったので、二周目をプレイする気が起きませんでした。
細かく命令を設定できそうに見えて痒いところに手が届かないのもつらいです。
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敵の数が限られているのが残念でした。
ゲームの設計として「ひとつひとつの戦闘の重要度を上げる」という戦略性重視の方向性なのはわかるんですが、やっぱり好きなように冒険しアイテム集めをするという形で遊びたかったです。
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UIの出来はなかなかいいものの、ところどころに欠陥があったりします。
コーデックの未読/既読関係とかなんとかならなかったのかな……。
装備アイテムのステータス変化も、もっと比較し易くしてほしかったです。
あとメッセージスキップするとデモが丸ごと飛ばされることがあるのも困りました。
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戦闘中にアイテムを拾えない、敵を倒してもしばらく待たないとアイテムが出ない、味方がものすごく遠くの敵まで追いかける、行動設定で復活魔法をセットできない、待機や武器変更のあとしばらく動けなくなる、などの点も気になりました。
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会話ではいろいろ選択肢が選べるものの、「自分としてはこっちを選びたいんだけど、ゲーム的にはあきらかに損をする」(アイテムや仲間を入手できなくなる)というものが多くて困りました。他にも、味方の機嫌を窺いながら選択肢を選ぶとか……。
自由度が高そうに見えて特定の答えを強要されているようなところがありうます。
まぁ、ある意味リアルとも言えるのかもしれない。中間管理職の悲哀を味わえる。
選択や行動によってクエストがクリアできなくなったりもするので、そういうのがいやな人は注意が必要かもしれません。
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良くも悪くも「敵の数が有限」というところにゲームの真髄が集約されていると思いました。
有限だからこそ作りこまれた戦闘に魅力が出る一方、有限だからこそ作りこまれた世界を王道RPG的に楽しめません。
ゲームが進むほど冒険の楽しさが薄れてしまいます。マスエフェクトと同じで、一通り用事を済ませるとそのマップは必要なくなってしまい、世界がどんどん寂しくなる。敵が出ないマップを歩くのはほんと寂寥感が強いですよ……。
これが普通のオープンワールド型だったらオブリビオンに負けないくらいの人気になっていたかも。
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個人的には、AI設定がもう少ししっかり作ってあれば、敵の数が有限でも楽しめた気がします。大絶賛してた可能性もある。
高難度モードはかなりおもしろそうなんだけど、やる気が出ませんでした。
一周目でひと通りゲーム概要を把握し、二周目の高難度モードが本番、というゲームなんだと思います。一周しかしてない僕が言うのもなんですが。
完成度は高いものの、人によって好みが分かれそうで勧めるのは難しいかな……という作品です。
とはいえ名作であることは間違いない。
難易度を下げれば適当にプレイしてもなんとかなりそうなので、ひと通りストーリーを楽しんで世界観に浸るのもいいかも。
凝った設定の重厚なファンタジーが好きな人には、かなりおすすめです。
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開発元 | バイオウェア |
発売日 | 2009/11/03(米) 2011/01/27(日) |
プレイ記録 | |
難易度 | Normalクリア |