ステルスアクション第四作です。
基本的には前作カオスセオリーの延長線上にある作品ですが、新しい試みもあります。
が、空回り気味なのでした。
意欲的な追加部分がつまらなくて足を引っ張ってる感じです。
旧世代機版も作られています。製作チームは別で、若干内容が違うようです。
XBOX360、PS3、PC版が同内容です。
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いろいろとがんばっているのは伝わるものの、正直言うと旧作のほうがよかったです。
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●システム
シリーズ恒例の構えてから撃つタイプのTPS操作です。
カメラ移動に変な癖があってプレイしにくいです。
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LBでレーダーを表示できます。
ステルスゲームにレーダーがあるとそちらばかりを見てしまい、2Dゲームみたいなゲーム性になってしまいがちです。しかし本作のレーダーは移動中は更新されないという仕様になっています。
ステルスとレーダーを両立させるアイデアとしては、シンプルながら割と効果的だと思います。
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メニューから3D全体マップを見ることができ、敵やターゲットの位置がわかります。
しかし挙動に難があり、使いづらいです。
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タイトルの通り二重スパイという設定です。
国家安全保障局「NSA」の命を受けてテロ組織「JBA」に潜入します。
ゲーム中には、NSAの利益になる行動とJBAの利益になる行動のどちらかを選択せねばならいことがあり、その結果によって信頼度が増減します。
とはいえステルスに徹してプレイすればどちらの信頼度も高く保つことができます。
副ミッションによって増減することもあります。
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従来のような潜入ステージのほかに、JBA本部でのテロ活動補佐ステージがあります。
ここでは命令をこなしながら組織の秘密を探ったりします。
通常エリアと立ち入り禁止エリアに分かれており、通常エリアでは走る跳ぶなどのアクションができません。
さらにJBAステージには時間制限があります。通常エリアでの移動速度が遅いこともあり、初回プレイでは全部の目標をこなすのは難しいと思います。
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プレイ中の行動によって若干展開が変わるようです。
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セーブは好きな場所でできます。
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●グラフィック
XBOX360初期のゲームであるため、最近のものと比べると見劣りします。
2006年の作品と考えるといいほうなのかな。
暗闇に隠れるのがテーマのシリーズでしたが、本作は明るい場面が多いです。
そのためゴーグルの使用頻度もかなり減っています。
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●ストーリー
トムクランシーもののストーリーは絶望的につまらないというのが僕の印象なんですが、本作は若干マシのような気がします。
敵幹部にキャラ付けをしようという意志を感じる。
そして意外な展開やショッキングなシーンも用意されています。
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●感想
意欲は買いたいものの、正直言っていまいちでした。
通常パートは悪くないんですが、JBAパートがかなり鬱陶しく印象を悪くしてると感じました。
移動速度が遅い上に時間制限があるのはイライラします。
そのうえ暗い。ゴーグルが使えるステージは明るくて使えないステージが暗いというのはどうなんだ……。
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敵の挙動については、警戒や巡回時はなかなかよくできている一方、警戒中に発見されると、その瞬間マップ中の全ての敵が一斉に気付いてものすごい勢いで攻撃してくるのが不自然でした。
基本動作はいいのに発覚時の反応は旧世代という感じです。
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通常ステージは従来作のように遊べます。
完成度は高いと言ってよいでしょう。
いろんな場面があって楽しいです。
やっぱりステルスゲームは舞台設定が重要だと思いました。
本作では暗闇が少ないので、「スプリンターセル!」というより普通のステルスものという感じでした。
そして超音波銃を使って任意の場所で物音を立てることができるため、ステルスものとしてもちょっとずるい気がしないでもないです。
便利アイテムも多数出ますが僕はひとつも使わずにクリアしました。
各エリアはそこそこ広く割と好きなように攻略できます。
エリアの繋がりはほぼ線形で、カオスセオリーほどの自由度はありません。
場面によってはルート探しパズルになり、妙なところを移動することになります。このあたりは同チームが製作したパンドラトゥモローっぽい。さんさんと太陽の光が降りそそぐ中、黒づくめの男が豪華客船の外壁にへばりついて移動するなど、たまにこういう変なシーンがあるのはおもしろいです。
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とにかく動きがとろくてイライラします。
向きを変えるとき一瞬止まるとか、ジャンプするときの溜めモーションが長いとか、リアルなモーションを重視しすぎて動きが重くなってます。このあたりまさに海外ゲームと言う感じ。
カメラの挙動も慣性が強く、全体的に重くふにゃふにゃした操作感です。
アイコン出現ポイントや段差の位置調整もけっこうシビアです。重くてふにゃふにゃした動きと合わさって、これもストレスが溜まるポイントでした。段差に上りたいのに真上にぴょんぴょん跳びはねるマヌケさ……。
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二重スパイの設定が全然活かされていません。
というより主人公は普通にNSAのために活動しているので、これは二重スパイとは言わないんじゃないか……? ただのスパイにしか見えません。
二重スパイという設定にするなら、NSAの陰謀を暴くような展開も必要なのでは。真っ当にゲームを進める限りではNSAの不利になる行動を取る理由がほとんどないのです。
また、特に意識せずとも両方の信頼度を高く保ったままにできます。
わざとNSAの不利になる行動を取ればストーリーが大きく変わったりするのかな。エンディングは三種類だそうで、一番良いとされるベストエンドはNSAの味方をしJBAを壊滅させるものとなっています。
僕は特に意識せずプレイしこのエンディングになりました。
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字幕は白で縁取りや影がないため、明るい場面では文字が読めません。
翻訳もおかしな部分がいくつかありました。
ローカライズの出来はかなり悪いと言わねばなるまい……。
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リザルトの得点が変です。
基本的に、敵を気絶させるとステルススコアが減点になるのですが、ステージによっては減点されず100%になったりします。
完璧にプレイしたつもりでも原点されていたり、あきらかにミスしたのに100%になっていたりと、いまいち採点基準がわかりませんでした。
ゲーム進行上マイナス行為を強制される部分は減点対象にはならないのだろうか。
クリア時のトータルリザルトが出ないのも残念でした。
ステージリザルトもクリア時にしか表示されない。
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通常ステージの出来はよくなかなかの良作だとは思うんですが、それ以上にイライラする点が目につきました。
JBAステージがあまりにも鬱陶しいので高難度モードや全ステージ100%クリアに挑戦する気が起きませんでした。
もうちょっとこう、繊細な人が監修していれば3割り増しくらいで良くなった気がします。
いやほんと通常ステージはバラエティに富んでいていいんですよ。
本作の見所であるJBAステージがいまいちというのは惜しいと思いました。
敵の仲間のフリをして秘密工作というコンセプトはおもしろいんですが。
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悪いゲームではないものの初期スプリンターセルを今からプレイするなら、カオスセオリーPC版のほうがいいんじゃないかと思うのでした。
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開発元 | Ubisoft Shanghai |
発売日 | 2006/10/17 |
プレイ記録 | Normalクリア |
ベストエンド | |
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