FPS黎明期の名作です。
これはちょっと半端じゃない名作で、今遊んでもじゅうぶんおもしろいです。
スーパーマリオやテトリスのような、時代を越えて楽しめる作品ではないでしょうか。
FPSの元祖的作品ではあるものの、ゲームとしては探索型全方位シューティングといった印象です。
レトロ2Dアクションゲームが好きで「3DのFPSはちょっと……」という人にこそ遊んで欲しいです。
僕がプレイしたのはSteam版Doom3 BFGに付属しているものです。
現在最も手に入りやすいのがこれだと思います。
様々なMODや有志製作のエンジンがあるため、フリーのエンジン+体験版のデータである程度遊べます。
ブラウザで遊べるFlash版もありますが権利関係がどうなってるのかわからないのでここでは紹介しません。
.
●システム
旧作品はキーボードでプレイする仕様でしたが、Doom3 BFG版は普通のFPSのようにマウス+キーボードで遊べます。
本作には視点の上下移動がないため、キーボードのみでも遊べないことはないです。
WASDで移動、マウスで照準を左右に動かします。
マップに高低差はあるものの敵との判定は2Dです。(マップ上に大きな段差があっても真上から見て敵と自分が隣接していれば攻撃が当たる)
強めのオートエイムがはたらくため、適当に撃っても当たります。
これにより、狙い撃つことよりも位置取りや立ち回りが重要になり、アクションゲーム的なプレイ感になっています。
.
マップを探索し、鍵を集めて出口に向かうというのが基本的な進行になります。
簡単な謎解き要素もあります。スイッチを押すとどこかの扉が開いたり足場ができたりといったものです。
マップ内には「シークレット」という秘密のエリアがあり、これを探すのも楽しみの一つとなっています。
シークレットエリアには回復薬や弾薬が落ちているため、見つけると展開が有利になります。
何もない壁がスイッチだったりと理不尽に感じる部分もあるのですが、全体マップを見ればだいたい推測がつくようになっています。
.
移動速度はものすごく速く、強めの慣性が働きます。酔ってしまう人もいるかも……。
ジャンプはできません。そのかわりダッシュ(高速移動)ができ、段差から飛び降りるときにある程度空中を移動できます。
.
セーブはいつでも可能です。
ゲームの難易度は高いものの、セーブとロードを駆使すればなんとかなります。
.
アーマー+体力制で、アイテムを拾って回復する方式です。
体力上限を超えて1ポイント増やすアイテムもあります。
.
敵同士の攻撃に当たり判定があります。
基本的に同種族間では争いは起きませんが、異種間ではどちらかが死ぬまで戦い続けます。
敵の群れに弾を撃ち込んで怒らせると、盛大なバトルが始まったりしておもしろいです。
また、高難度モードでは同士討ちを誘発しないと弾不足になる場面もあります。
.
アイテム、敵の数共に有限です。とはいえNORMALなら弾や回復薬の残量に悩まされることはないでしょう。
敵は基本的にこっちに突っ込んでくるだけなんですが、マップ構造やアルゴリズムがしっかりしているおかげで戦闘の出来は非常によいです。
うまくおびき出して倒したり同士討ちさせたりといった戦略が楽しめます。
敵の数が有限だからこそ、こういった楽しさを引き立てていると思います。
.
●グラフィック
マップは3Dですがキャラクタは2Dです。まぁ、しょぼい。
とはいえ、プレイ中はそれほど気になりません。
.
●感想
所々に古さを感じる部分はありますが、それでも猛烈におもしろいです。
迷路探索に快感を覚える人なら満足できると思います。
敵やアイテムの数が有限ということもあり、バイオハザードやサイレントヒルといったサバイバルホラーゲームに似たプレイ感もあります。
敵を一体一体工夫して倒し安全地帯を広げていく楽しさがあります。
古いPCゲームでは、ダンジョンマスターが好きだった人にもおすすめできます。
ダンジョンの奥にちらりと強敵が見えたときのどきどき感は、3D探険ゲームならではのものです。
敵のアルゴリズム自体は割と単純なのに、各キャラの性格付け(役割)がはっきりしており、マップの作りもうまいため、非常に奥の深いゲーム性になっています。これはほんとうにすごい。
マップデザインをしたジョン・ロメロという人は、本作が大ヒットして増長してしまいその後惨めに転落していったのですが、それでもDOOMのマップは天才の仕事と言わねばならないでしょう。
.
移動がものすごく速く慣性もすごいので、かなり癖のある操作感です。
3D酔いする人にはきついかもしれません。
.
現在のFPSに繋がる作品としてはウルフェンシュタイン3Dが元祖になると思いますが、そちらはゲーム的にはいまいちな部分が目立ちました。正直言って僕はあまり楽しめず、評価するには「レトロゲーム補正」が必要だと感じました。(3D酔いがひどくてあまり遊べなかったのも大きく影響してるかもしれません)
技術的にはすごいものの、内容的には80年代のゲームを思わせます。エイリアンシンドロームあたりに近いような感じです。
ウルフェンシュタイン3Dの次に作られた本作は、レトロゲームという見方をしなくても素直に楽しめる人が多いのではないでしょうか。
画面やシステムからにじみ出る古臭さは相当なものです。が、工夫を凝らしたマップや様々な戦略を試せるゲームデザインは、今遊んでも充分楽しめます。
.
難易度はけっこう高いものの、いつでもどこでもセーブできるので地道にプレイすればクリアできると思います。
Ultra Violenceは弾切れになりがちなので積極的に相打ちを狙っていく必要があります。速攻クリア狙いでいけば大雑把なプレイでもいけるかも。
.
後半になるとダメージ床が増えます。
時間制限のダメージ回避スーツがあり、スーツを食いつないで進めていくエリアも多々あります。
難易度の上げ方としては若干安易な印象がないでもない。
とはいえスーツがなくなっても体力ゴリ押しでなんとかなるので、クリア目的ならそれほど問題ないでしょう。
100%クリアやタイムアタックはマップを覚えてから挑戦してください、という意向のようです。
.
古いゲームだから仕方ない部分はあるものの、リザルト関連のデータが残らないのは残念でした。
.
アクションゲームの歴史に興味がある人には外せない作品でしょう。
僕ももっとはやくプレイしておくべきでした。
画面やシステムの古さは否めないものの、遊んでいるうちに全然気にならなくなると思います。
これは本当にすごいのでおすすめ。
FPSというより、アクションゲームというカテゴリでの傑作です。
.
開発元 | id Software |
発売日 | 1993/12/10 |
プレイ記録 | Ultra Violenceクリア |