サスペンスノベルゲームの三作目です。
ストーリーは前二作の完全な続編となっており、なんと旧作のメインシナリオを丸ごと収録しています。
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●システム
複数の主人公を切り替えて進める、いわゆる「ザッピングシステム」になっています。
あるキャラでゲームオーバーになるたびに別のキャラのシナリオに選択肢が増えるといった感じで進行していきます。
前作のシナリオ分岐はまったく別の設定の物語に変化するというスタイルでしたが、本作では基本的に同じ事件の別展開といった形になります。
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●ストーリー
前作の完全な続編になっています。
前作のトリックを別の形で使用した大仕掛けがあり、おもしろいです。
一方メインの仕掛けはこじんまりとしています。そのかわり推理パートがしっかりと作られており、小さな部分をねちねちと考察するエラリィ・クィーン的なおもしろさがあります。
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●感想
いろいろと羽目を外した感じのある前作とは打ってかわって、正統派の推理ものっぽい話になりました。
と見せかけて、事件の真相が変なことになっています。(変な部分を全部抜いても話は成り立ちます)
これは賛否両論となりそう。
僕は「これはちょっと……」と思いました。バッドエンドのほうがおもしろい。
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ストーリーのところにも書いたとおりメインの謎解きが地味なので、絵的に派手な仕掛けやあっと驚くトリックを期待するとがっかりするかもしれません。仕掛け自体はものすごく大胆なんですが。
しかもトリックの決行には綱渡り的な危うさがあって苦しい。
しかしまぁ、推理小説ファンからすればこういうのもありでしょう。一般人よりも推理小説ファンのほうが喜びそうな仕掛けです。
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ひとつの館を舞台にしたザッピングシステムであるため、同じ描写を何度も見せられることになります。
これはおもしろい部分ではあるものの、水増し感のあるかったるい部分でもあります。
館ものとザッピングは相性悪いんだろうな……。
ザッピングを仕掛けとして活用しているというほどでもなく、単純に視点人物を変えただけという印象も強いです。
ただバッドエンドはザッピングがあってこそという感じで良かったので、もっとこの方向性を推し進めた作品が見てみたいと思いました。
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一本で三本ぶん楽しめます。お買い得です。
旧作はメインシナリオのみの収録なので、脇道に興味がない人にはちょうどいい。
ただ個人的には2の目玉は底蟲村篇なので、単体で購入して楽しんでもらいたいところ。
一方旧作をやりこんでる人には物足りないかも……。
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全体的に見ると、「これぞ推理ノベル!」という出来になっています。
気になってるシリーズだけど遊んだことはない、という人は、本作を買っておけば間違いないでしょう。
世間的な評判はいまいちではありますが、初代が出たときの衝撃とかを抜きにして考えれば、名作と言っていいと思います。
初代はほんとすごかったので、神格化してしまう人も出るわけですよ。そういう人が2や3を受け入れられないのもわかる。
しかし推理サスペンスゲームとしてみれば2も3もよくできていて、内容的には1にも劣っていません。
おすすめの一作です。
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開発元 | チュンソフト |
発売日 | 2006/07/27 |