本気のひよこ

　連続殺人鬼の半生を追うという形のサイコスリラー作品です。

　幼少時のいじめにはじまり、ドロドロとしたいやな展開が延々続きます。
　登場人物の大半がクズで、クズ対クズのダメ人間バトルロイヤルといった感じです。
　小学校を舞台とした女児同士の権力争いが特に印象的でした。本作ならでは部分だと思います。

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　正直言うと「世の中ここまでひどくはないよなぁ」と思うものの、物事を悪い視点でしか見ない人にとっては実際こんな感じに映るのかもしれないなと思いました。

　ネットを見ていても、子供のころ親にひどい目に合わされたと主張する人は年がら年中そのことを呟き続け、親を恨むことがその人の存在意義みたいになってたりします。そしてそういう人はとにかくなんでも恨む。親に虐げられた自分は世界を呪う権利がある！みたいに。
　そこから離れて楽しいことに目を向けなよと言いたくなるけど、言っても無駄というか今度はこっちに恨みが向けられそうで怖くて言えない。「虐待は連鎖する」の本質はまさにここにあるという感じですよ。
　と、こんなことを考えてしまう作品なのでした。

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　推理小説としては、ある程度読みなれている人にはすぐに仕掛けがわかってしまうものの、その上で細かい伏線が仕掛けてあったりしてなかなか読み応えがあります。

　しかしやはり今や定番となったスタイルの作品とも言えるので、びっくり展開を期待して読むと物足りなさを感じるかも。
　本作は、鬱々とした展開のダメ人間博覧会小説として楽しむのがよいのではないでしょうか。