テロリストと戦うFPSです。
これはすごいです。かなりすごい。
なにがすごいかというとグラフィックがすごい。
遠目にはPS3やXBOX360みたいです。
じっくり見ればポリゴン数が少なくていかにもPS2のグラフィックなんですが、光の使い方が見事で非常にリアルな光景を作りだしています。
効果音もよくできていて、射撃・リロード・爆破の音がとにかく気持ちいです。重厚なグラフィックと合わさって、非常に「手ごたえ」を感じられるゲームになっています。
ゲーム内容もすごいです。めちゃくちゃおもしろい。
初プレイで感じる難度はかなり高いものの、だからこそ初心者向けでもあります。FPSの基本が身に付きます。身についた僕が言うんだから間違いない。
コンシューマFPSの最大の壁は右スティックでの照準合わせだと思います。このゲームの場合、遠くからゆっくり狙撃して進むこともできるので、照準合わせが苦手でもなんとかなります。そしてそのうち動きながらの照準合わせにも慣れてくるというわけです。
狙撃プレイなら反射神経や瞬間的な精密操作をさほど要求されないので、根気さえあればクリアできると思います。
基本的に撃って倒して突き進む一本道のFPSです。しかしレベルデザインがしっかりしているので熱く緊張感のある戦いが楽しめます。
一本道とはいえ、一度クリアした面でも「あの場面をちがう方法でクリアしてみよう」と何度も楽しめます。僕はひとつの面を三回以上クリアしてから次の面に進んでました。
延々とやり続け、プレイ時間は百時間を越えました……。
行動のひとつひとつが快感を呼び起こすので、中毒のようにプレイし続けてします。
今なら新品が2000円で購入できます。
「FPSって気になってはいるものの、なかなか手が出ないなぁ……」という方に超おすすめの一本ですよ!
●グラフィック
前述のとおりグラフィックがすごいです。
HDRレンダリングっぽい光源処理がされた画面は非常に美しいです。PS2最高レベルと断言できます。
建物は廃墟状態の施設ばかりで、廃墟マニアにもおすすめです。
廃墟内で派手な銃撃戦を展開し、壁やら柱やらがボロボロになり、煙と埃が充満する中に敵の死体が並ぶ様は、ものすごい虚無感が漂っています。
画面が綺麗というだけではなく廃墟写真集的な美しさを備えています。
屋外でも荒涼とした風景の中ビュービューと風の音がこだましていてもうたまりません。
icoあたりと同列に語られてもいい映像作品です。
背景だけでなく爆発のエフェクトなどもしっかり作ってあります。これもPS2最高峰ではあるまいか。
破壊可能オブジェクトもかなり多いです。ガラスも片っ端から割ることができます。
激しい銃撃戦を繰り返してるうちに太い柱が削れていき鉄筋状態になったりもします。
弾を撃ち込んだり物が壊れたりしたあとの埃や煙も臨場感を高めています。
壊れないものでも弾を撃ち込めばちゃんと弾痕が残ります。
これだけグラフィックが綺麗なのにほとんどフレーム落ちや処理落ちをしません。
●音楽・効果音
BGMは要所要所に入ります。映画的で盛り上がります。ただ、曲の入るシーンはそれほど多くありません。
しかしこのゲームは曲のないシーンでの効果音がすばらしいです。
グラフィックのところにも書いたように、虚無感のある風の音がすばらしいです。
無音−激しい撃ちあい−無音というのもグッときます。
射撃音やヒット音もいいです。実際に銃を撃ったことがないのでリアルかどうかはわかりません。しかし武器ごとに発射音が設定されており、パッドの振動機能や各種エフェクトも合わさってかなり迫力あります。
ドンパチものの効果音というのは大きくて迫力あればいいという印象ですが、このゲームの場合射撃音は割と押さえ気味で、ヒット音などもちゃんと聞こえるから迫力が増しているように思います。
このゲームは撃つ楽しさを重視したデザインになっているのでしょう。
リロード音なども気持ちいです。とくにショットガンはたまりません。
●ストーリー
暴走気味の特殊部隊員ケラーをあやつりテロ組織を壊滅させよう!というものです。
話が進むと陰謀らしきものがちらついたりサイコサスペンスかと思わせる展開になったりしますが、まぁ、ケラーはめちゃくちゃな奴だ、というあたりに落ち着きます。サイコサスペンスっぽいのは気のせいだった。
●感想など
パッケージの裏には「撃って撃って撃ちまくる、それがBLACKスタイルだ!」みたいなことが書かれていますが、それは半分ウソです。FPS初心者がBLACKスタイルでプレイすると戦闘開始後十数秒で死にます。
なので、最初のうちは遠くからチマチマ狙撃していくのがメインとなります。
いちおう敵に見つからなければ一方的に狙撃をしていけるものの、敵はものすごい視力をもってたりするのでずっとステルス狙撃を続けるのは無理だと思われます。
狙撃する場合、遮蔽物に隠れ素早く身を乗り出し弾を撃ち込んだり、敵からは見えない位置で手足を狙っていきます。敵はこちらの位置を把握していても、確実に目視できない限り撃ってきません。つまりプレイヤーの視界に敵の顔が入っていなければ大丈夫ということです。
もちろん慣れてきたら狙撃なんて鬱陶しいことはやらずにBLACKスタイルで突撃ですよ。
三段階の難易度を選べますが、どれも大差ありません。違いは回復アイテムの出現量くらいです。
僕は初プレイHARDで進めていきました。死にまくりましたがなんとかクリアできました。
ステージ開始時に20秒ほどロードが入るだけで、ゲーム中は基本的にロードがありません。(急いで進んだりすると数秒のロードが入ることがある) 快適に遊べます。
照準の感度調整はできず、移動速度は遅めです。さらに、左右に比べ上下の移動はかなり遅いです。でもプレイしにくいとは感じませんでした。
照準の動きはじめに微妙に慣性が働くようです。いきなりスティックを全開まで倒しても最初のうちは移動量が少なめになっています。微調整が非常にやりやすいです。
敵はものすごく固いです。十発くらい撃ちこんでようやく倒せます。
弾のヒット後に無敵時間があるらしくフルオートで打ち込むと三十発くらい必要になることもあります。
とはいえ、敵は硬いもののその面で主体となる武器の弾は山ほど出るので、残弾数を気にしてチマチマ撃つ必要はありません。
ショットガンを持って突っ込んでくるジェイソンみたいなやつは特に耐久力があり、十発撃ちこんで一度ダウン、起き上がったところにもう十発撃ちこんでようやく倒せます。
RPGやグレネードすら防ぐ盾兵というのもいます。持ってる武器も強力でとてつもなくおそろしいです。
ただ、透明な盾の場合は撃ちまくれば壊せるので、正面から撃破すると壮快です。
ショットガン兵と盾兵以外はヘッドショットなら一発で倒せます。(ショットガン兵はヘルメットが固いのか、最初のヘッドショットでヘルメットが外れ次でようやく倒せます)
しかし乱戦中に狙って一撃で倒すのはなかなか難しい。幸い弾はかなりたくさん出るため、胴体を狙って撃ちこみつつ余裕があったら頭を狙うというやりかたがいいと思います。
非常におもしろくて中毒性のあるゲームです。しかしかなりシンプルな作りになっています。
敵は、装甲違いのマシンガン系数種類、ショットガン兵、盾兵二種類、狙撃兵、RPG兵、となっていて、基本的にマシンガン兵のみ出てきます。他は要所要所に配置されているといった感じです。
この手のゲームにつきものの機銃や乗り物はいっさい登場しません。
武器と敵兵以外の基本要素はステージ1で全て出尽くします。それでもこれだけ楽しめるんだから大したものです。レベルデザインと美麗グラフィックの力です。
NORMALクリア特典として、「シルバーウェポン」があります。全ての武器が銀色になり、弾数が無限になります。RPGを取ろうものならロケット砲台と化します。
これは無敵感があって楽しいんですが、残念なことにシルバーウェポンの解除法がありません。もう一度普通にプレイしたければ最初からやり直すしかありません。
HARDをクリアするとBLACKopsモードが遊べるようになります。これは全ての特殊オブジェクト(爆発物)を破壊しすべての副次任務(アイテム等)を取得してクリアするモードです。グレネードつきの「M16A2」が標準装備となります。
ただ、シルバーウェポンが使えるのであまり難しくはありません。鬼のようにグレネードを振りまきつつアイテムを見落とさずに進んでいくのがメインなので、探索ゲームっぽいノリです。
HARDをクリアして「次はどんなおそろしい攻撃が待っているのだろうワクワク」と期待した人にはちょっと残念かもしれません。僕は残念でした。
最初のうちこそ難度の高さと敵の硬さに閉口しますが、プレイしているうちに絶妙なバランスでできていることに気付きます。
このゲームでは装弾数が実銃の倍近いそうです。アサルトライフル・SMG系は六十発以上撃てます。
リロードせずに撃てる弾の数が多いため、敵の正面に突撃し撃ちながら照準を修正していくことができます。
また、撃たれた敵は行動が止まるので、撃ち続ければ反撃させずに倒すことができます。これにより至近距離での撃ちこみ感が非常に手ごたえあるものになっています。
ザコ兵は自分のそばに弾が飛んできただけで怯みしばらく行動不能になります。そのため、数匹が群れをなしていても弾をばらまきながら突撃していけば一気に制圧できます。このあたりも装弾数の多さのおかげです。
初プレイでは狙撃でチマチマ進むゲームに感じるかもしれませんが、実は敵に突っ込んで大暴れするように作られているのです。
●問題点
中間チェックポイントが極端に少ないです。慣れないうちは一エリア三十分から一時間かかると思います。ちまちまやってると二時間近くかかったりもします。各エリアの最後のシーンで死んだときの悲しさといったら……。
チェックポイントを倍にし、好きな場所からプレイできるようにしてほしかったです。特にこのゲームは「このシーンがやりたい! 何度も何度も何度もやりたい!」という魅力的な場面が多いので、エリアセレクトはつけてほしかったです。
チェックポイントが三倍あれば、誰もが認めるFPS初心者向けソフトになっていただろうに。これまでさんざん初心者向けと言ってましたが、それを信じてプレイしてもチェックポイントの少なさのせいで投げ出す人が八割を越えるような気がします……。
手榴弾・リロードボタンの効きが悪いです。特に手榴弾は困ります。ここぞというときに投げても飛んで行かないことが多いです。頻繁に投げそこないます。不発を見越して二連打しても出ないときがあります。三連打すればかなりの確率ででますが、たまに三発飛んでいきます。
シルバーウェポンの解除ができません。これは残念です。一度HARDをクリアしてしまうと、あらたにプレイデータを作成しないと通常武器で遊べません。
僕はHARD7面クリアした状態でセーブし、以後HARD8面をプレイするときはわざと任務達成をせずにプレイしています。この方法ならクリアしても任務失敗扱いになりシルバーウェポンになりません。
致命的といえる欠点(というほどでもないけど)はこれくらいでしょうか。
初プレイでは敵の硬さが気になるかもしれませんが、慣れてくるとこのゲームの良い部分だと気付くでしょう。
個人的には、六面と七面が少々ボリューム薄かったと感じました。
BLACK
発売日 2006/04/06
開発元 クライテリオンゲームズ
プレイ記録 全難度クリア、達成度100%