C81日記 その1
C81日記 その2
C81日記 その3
コミケ日記最終章である!
「えーっ!? もう四月なのにー!?」と言いたい方もいよう。まあこういう時期外れのコミケ日記があってもいいじゃないか。
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打ち上げの話は「内輪話うぜー!」とか思う人も多そうですが、楽しげな雰囲気に惹かれてゲーム製作を志す人が出てきてくれたりすると嬉しいので、差しさわりのなさそうな範囲で書いてみます。
とはいえ前回も書いたとおり、他人の発言の真意を誤解して記事を書いたりするとまずいので、基本的には僕の発言+補足説明・感想みたいな形になります。
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同人STGサークルの打ち上げはコミケのあとに毎回行われておりまして、ここ最近は僕も参加させてもらってます。
主催者はS3さんという方です。中には「誰それ?」と思う人もいよう。
かつてはRGBシリーズを精力的に作っていましたが、最近は「清純派」という名前でtwitterに気持ち悪い書き込みを行っていることで有名な女子高生(らしい)です。
そして毎回「次のコミケまでに新作を作る」とか「動くものを見せる」とか言ってるんですが、毎回twitterの気持ち悪い書き込みしか見せてくれません。
今年こそ完成品を見せてくれるらしいですよ……。
この打ち上げには毎回そうそうたる顔ぶれ集まっています。シタースケイン、リブランク、えーでるわいす、瞬殺サレ道、ねこみみのかけら等、この道では知らぬもののいない老舗サークルの面々ですよ。
そして今回はクリムゾンクローバーのよつばさんが来るというサプライズ。
ほんとに僕が行っていいのかよ……という豪華さです。ちなみに打ち上げでいちばん図々しく偉そうな態度を取ってるのが僕だったりします。あまりにもでかい顔をしてるので、たぶん初参加の人が見たら同人STG界の重鎮と思うことでしょう。ごめんなさい。全然そんなことないです。
なにしろコミケ新作デビューが2007年の冬という若造サークル。
win第一作のGalshellを出したのは2004年なものの、これを出すまでシューティングがジャンルとして確立(集中的にプレイする人たちがいるという意味で)してるのさえ知らなかったニワカですよ。知人以外が自分のゲームをプレイするという状況が想像できなかった。
この打ち上げではwin同人ゲーム黎明期の話が出たりするのですが、そういう話にはまったくついていけず寂しい思いをすることもしばしば。
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前述の老舗サークルに加え、中堅・新鋭サークルが集い総勢二十数名。
カフェを借り切っての打ち上げでした。
自由に動き回れるのに、あまり話せなかった人がけっこういるのが心残りです。
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今回の会場は飲み屋ではないということで、なんと高校生の参加者までいました。僕の半分の年齢どころか息子と言ってもおかしくない若者です……。信じられない。
学校の仲間と作ったサークルだそうです。高校時代からちゃんとゲームが作れるなんて、ものすごい環境だと思いました。
僕の高校生時代なんて、自分でゲームを作ろうという人は全然いませんでした。パソコン=高価なゲーム機でした。かろうじてポケコンでちょっとしたものを作る人がいたくらい。そして僕も高価なゲーム機を買った一員だったのでした……。X68kを持っていたのに市販ゲームで遊んでばかりでしたよ……。
じるるんさんを交えて高校生の彼らといろいろ話してたんですが、話題を振るつもりが気付けばおっさんの思い出語りばかりになっていて、ほんとおっさんは困ったものだと思いました。突撃部隊のアキタカさんが一生懸命話題を戻してくれていたよ……。
自分が十代二十代のころは、なんでおっさんは昔話ばかりするんだろうと思ってたけど、自分が歳を取るとまさに同じ行動を取ってしまっている。
なぜこうなるかというと、過去の経験からおもしろい話をして盛り上げようと思うんだけど、過去の話をするためには土台となった状況を説明せねばならず、気付けば昔の状況の説明ばかりになってしまい若者はサッパリついていけないという仕組みなのです。
ほんとごめんなさい。話題を過去から引っ張ろうとするからダメなんだろうな……。しかし「今現在すごいもの」を説明するためには過去の事例を引っ張ってきて対比させてしまいがちである。むしろ技術的な話とかサークル運営の話をしたほうがいいのだろう。しかし僕にはそういう話はできないのだった。技術もサークル運営力もないから……。というか会話の能力がないのではあるまいか。親しい人と内輪話しかできないタイプ。まさにオタク……。
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そしてじるるんさんの「コード進行とか実はよくわかってない……」という発言を聞いて腰を抜かしました。
なんとなく理論先行型の作曲スタイルだと思っていたのでこれは衝撃的でした。
以前ギターをやっていたそうで、コードの詳細な知識がなくても曲が作れるそうです。
まぁギター経験があるなら、コード進行の知識があるといってもいいのではないだろうか。
そういえばASTRO PORTのオーダンさんもこのタイプだそうです。最近の作品ではサクさんの曲ばかりですが、かつてはインダストリアルロック風の曲をつけていたのです。
僕なんかは音感ゼロといっていいくらいなので、100%理屈頼りの作曲です。フィーリングで曲を作るというのが信じられない。というより作曲に限らず理屈の裏づけがないと何もできないタイプ。
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リブランクさんから、三月兎というショップが同人STG・ACTに力を入れるのでみんなで協力しようという話を聞きました。
メッセサンオー亡き今、こういうショップはほんとうに貴重です。ありがたいことです。
こういうのは他人事のような気がしてしまうのですが、あの場にいた以上僕も当事者の一人としてマジメに考えなければならないといえよう。
そのショップがうまくいくかどうかはまさに僕たちサークルや同人シューティングを応援する方々にかかっているので、なんとか協力していきたいところです。「やっぱ同人シューティングは商売にならない……」と思われないためにも、よい作品、売れる作品を作らねばならない。
なんといいますか、僕は「オレは好きなように作るからほしいやつだけ買え。オレのおもしろいゲームを買わないやつは人生を損している愚か者」みたいに考えてしまうんですが、やっぱり各サークルがプロモーションをがんばり、全体の熱量を上げていくことがジャンルの盛り上がりに繋がるのでしょう。完成品がホイホイ出てくるジャンルでもないので、新作一本一本の役割は意外と大きいのです。いつまでも他人事じゃダメなんだ……。
同人と商業的要素を結びつけるのを嫌う人もいますが、そういう人だって実は商業的な部分の影響を大きく受けているわけです。ある程度の規模があるからこそ人が集まって良作が生まれる。
新作の完成が見えてきた今、本気度が試される一年になりそうだと思うのでした。今回はめんどくさがらずに販売促進活動も行うよ!! (しかし本音を言えば宣伝とかめんどくさいので、僕はこのままで他のサークルにがんばってほしい)
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今回の打ち上げではよつばさんと話しておかねばならないと思っていたものの、図々しそうにみえて割と人見知りする僕は話しかける機会をなかなかつかめないでいたのでした。
トイレで尿を大放出しつつさあ話しかけるぞと話題をシミュレートしていたところ、トイレを出るなり向こうから話しかけてくれました。すごいタイミングだ。
僕はGalshell2を作るにあたり、「超連射、神威、リフレクスの次の2DSTG決定版にしてやる! (2Dであることを強調した路線で攻めてくるサークルは今後ほとんどいないだろうから、Galshell2でそれなりの地位を築けるはず、フフフ)」みたいな気持ちでした。しかし見事にクリムゾンクローバーに割り込まれて泣きそうな気分だったのです。
しかも僕があたためていたアイデアを僕よりもうまく表現してたりして悔しくてたまりませんでした。こいつオレの心を読みやがった!みたいな感じ。
だからこそ、ここで直接対決して悔しさを表明しておかなければならない。
また、よつばさんはあまり自分の意見を公開しない謎の人でもあるので、その謎に包まれたベールを剥ぎ取ってやると心に誓うのでした。
まぁそんな感じで恐る恐る話したんですが、気難しい人ということもなく普通に会話できたので一安心でした。
最近のSTGは記号的要素を強調したものか豪華な3Dかの二極化が進んでる感じがあります。特に記号的なものは、作りやすいしゲームとしてもわかりやすいので製作側からもプレイヤー側からも好まれるように思います。
僕の中の「ゲーム性を追求」する部分では記号的要素を高めた見やすい画面のSTGもありなんだけど、「ゲームでわくわくしたい」という部分は、視認性やゲーム性を捨ててもいいからすごい画面を見せてほしいと思うのです。
クリムゾンクローバーは、描き込みがしっかりしていてエフェクトも派手なのに、見にくさを感じずにおもしろく遊べるあたりがさすがですよ。視認性やゲーム性を捨てずとも、ちゃんと作れるわけです。
僕はあえて視認性を捨てるんだけどな! 決して派手さと視認性の両立ができないわけじゃないぞ! やればできるやればできるやればできる……。
クリムゾンクローバーで一番歯痒かった部分として、コンティニューの購入数上限がわりと低いという部分がありました。僕はだらだらとプレイしたい気分のときもあるので、コンティニュー制限は緩めが嬉しいのです。
で、なぜ上限をつけたか聞いてみたところ……
「……なんとなく」
えーっ!?
なんとなくー!?
そんなー!
まぁその後いろいろと話を聞いて、他にも理由がありなるほどなーと思いました。
コンティニュー談義になり、その場にはASTRO PORTの二人もおり、彼らもコンティニュー制限派だったので、無限コンティニュー派の僕は旗色が悪かったですよ。
ちなみに僕は無限コンティニュー派の中でも、「難度上げて戻り復活にして無限コンティニュー」派です。これだとどうしてもクリアできない人が出るという大きな欠点がある。
もちろんコンティニュー制限型でもどうしてもクリアできない人は出るので、結局は「このゲームをなんとしてもクリアしたい!」とどうやって思わせるかなのだと思いました。
その意味でも、プレイヤーの心に直接的に訴える「絵」で惹きつけるのは重要なのではあるまいかと、僕は思うのです。
あとは地上キャラ有り2DSTGならではのプログラムの仕組みのことを聞いたり、実はあそこは強引にやってるとかいった話をしました。手間かかってるとは思ってたけど、ほんとに手間かかってるよ……。このあたりの苦労は似たスタイルのゲームを作らないとわからない部分といえよう。
やはり苦労話や工夫話はおもしろい。おもしろいわりにはあまり公に語られない部分なので、こういう話が聞きたい人は自分でもゲームを作って打ち上げ等に参加すると良さそうだぞ!
どうやると打ち上げに参加できるかというと、すごいゲームを作ってコミケに参加し、新作を手土産に他のサークルに挨拶に行ったりすると、誰かが「あの人呼んでみたら?」とS3さんに進言し、そのうち声がかかるというカラクリです。たぶん。
ちなみに僕の場合は、以前からASTRO PORTのオーダンさんと交流があり、ASTRO PORTには尋常じゃないコミュニケーションスキルを持つサクさんがいるため、そのツテで誘ってもらいました。
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えーでるわいすのなるさんが、新作のデモを流しながらじるるんさんに新作についてのアドバイスを求めていました。
僕は「このまま普通に作っていけばいいじゃん……」と思ったのでした。自分で体験版をやってみた感じでも、ボタンは多いけど役割はわかりやすい感じだったのであとは敵配置とか見せ方の問題だと思いました。
しかしゲームを作っていると「これは本当におもしろいのか? この道を進んでいっていいのか?」と思うことがしばしばある。砂漠を放浪してるような気分です。進んでからダメだとわかっても、引き返すのに多大な労力が必要となる。大体の方角があっていたとしても、少しのずれのせいで村にたどり着けないこともあり得ます。100平方kmの砂漠の中では100平方mの村なんて米粒なのですよ! みんなも一度砂漠に行ってみるとゲーム製作の苦労がわかるであろう。
また、製作者心理として「自分の過去作に負けてはいけない」というプレッシャーが存在する。プレイヤー側は「ちょっといまいちだった、好みじゃなかったけど次に期待しよう」と思うかもしれないけど、作者としては過去作に負けてはならないのだ。まあジャンルとかゲーム性が違えばどちらが上だとか簡単には比較できないものの、それでも最新作を最高傑作にしたいわけである。
僕が今作ってる夜光蛾5も、これほんとにおもしろいんだろうか……とものすごく心配なのだった。
でも僕の場合は「やりたいヤツだけやれ」と開き直ってしまうので、あまり深く考えずにそのまま突き進んでしまうのでした。
えーでるわいすの場合は過去作がきちっとした出来なので、余計慎重になってしまうのでしょう。
個人的には、巨大戦艦にまとわりついて戦う3DSTG的な場面や、近接攻撃を活かした超接近戦のシーンなんかが見たいと思いました。演出目的のQTE(ミスさせるためではなく臨場感を出すためのもの)なんかも似合うと思うのですよ。STGファンからは嫌がられそうだけど……。
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そして世は更けていき、二次会に行くのでした。
二次会はだらーっとした感じでゲームの話などをしていました。
夜が明け、一次会二次会あわせて十二時間ほどの打ち上げもお開きになり、帰りのバスで猛烈な勢いで熟睡し、僕は帰宅したのでした。
そして今回のコミケでは待ち時間がほとんどなかったので、暇つぶし用に買ったピクロスはあまり活躍しなかったのでした。
C81日記 完
C81日記 その1
C81日記 その2
C81日記 その3
こんばんは。毎回楽しく拝見しております。
浪人生活を終えてこの春から大学生になり、近々パソコンを買い換えて
プログラムやら音楽やら絵やら色々始めてゆくゆくは弾幕STGを引っさげて
コミケにサークル参加してDL販売もして儲けを(ryなどと考えているのですが、
記事に載っているSTGを見て、なんというか圧倒されてしまいました。
(特にクリムゾンクローバーのあまりにも高い完成度に)
「なんかもう今更俺なんかが弾幕STG製作とか目指さなくてもいいんじゃね?」と
意気消沈している次第でございます。始める前からこの有様です;
とはいえ、もうシューティングゲームプログラミングの本なんかも購入していて
後には退きたくないのもまた事実。長く続けていけば坂葉さんのように独自路線を
開拓することも出来るかもしれないなどと夢を見ておりますが、今この時にも
頭の中で”きみが語った夢”の曲がループしていて嫌なフラグが立っております。怖い怖い。
坂葉さんのSTGはHellbound、Galshell2(C79版)、夜光蛾4の順にプレイしました。
中でもGalshell2は特に雰囲気、音楽(特にボス戦)、ゲームシステムがツボにハマりました。
「どうしてSTGのジャンルにはこうも色気がないんだろう」というのが最近の悩み。
零距離での撃ち込み音も好きです。ズダダダダダダ……(文字にするとあの速さが表現出来ない;)
そうして短い区間ごとの復活に慣れきった後に夜光蛾4をやると
ステージ開始復活でさえ「道中めんどい、ボス直前復活がいいわ」などと、
システムの違いも忘れてゆとり発言をし始めるという罠。慣れって怖いですね。
完成はまだ先になるとのことですが、それまで色々楽しみながらゆっくり待たせていただきます。
長文失礼しました。
P,S:コンティニューは無限がいいと思いますが、そうすると1コインクリア特典要素も
入れて差別化を図りたいな~でもそうすると難しくて敷居が高くなる~でも外せない要素だ云々。
ぬるま湯シューターのジレンマです(笑)
コメント by 油屋 — 2012 年 4 月 5 日 @ 03:54:11
同人シューティングでは他にも、エーテルヴェイパー、リフレクス、アルティネクス2ndあたりが、やる気をゴッソリ奪っていく完成度なのでおすすめです。
僕はルーチンワーク的にゲームを作りかけていたときにリフレクスを見て「同人ゲームはここまでやらないといけないのか」と思い、Galshell2を今の形に作りなおしました。
ゲーム製作の技術というのは、続けていけば必ず上がっていくのでがんばってください。
今は情報や環境が整っているので、2~3年真剣に取り組めばかなりのものができると思いますよ。
コメント by 坂葉 — 2012 年 4 月 8 日 @ 16:43:44