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ヒットマン・サイレントアサシン感想。
非常におもしろかったです。
FPS型操作のため、視点がわかりにくい等の問題がないのがよかった。個人的には、MGSやスプリンターセルよりもはるかに遊びやすかったです。
かくれんぼゲームなら、やはり主観か背後にカメラがないと雰囲気でないと思うのですよ。
逆にアクション面ではできることが少なく地味でした。少ないというより基本的な移動と武器関係以外のアクションはない。これはFPSのエンジンをそのまま流用して作ったからかもしれません。
正直言ってこれは寂しいと思うものの、遊びやすさとか他のゲームとの差別化を考えるといいことなのかも。
いちおう移動にはダッシュと忍び足としゃがみ歩きがあるんですが、忍び足・しゃがみ歩きがほとんど使えないというのが悲しかったです。忍び足があまりにも遅すぎて、動いてる相手に後ろから近づいて絞殺ということができません。これは非常にもったいない。
ただ、裏技っぽいんですが「ダッシュ忍び足」(←僕が勝手に名づけた)という技があります。ダッシュの一歩めは足音が出ないことを利用して、スティックをちょびちょびと倒しダッシュの一歩めのモーションのまま滑るように移動するというものです。
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武器はいろいろありますが、機能がかぶるものが多いです。銃器マニアとかは嬉しいかもしれないけど、ゲーム的にはほとんど意味がないような気がしました。もともと武器の必要性が薄いゲームだし。
武器はマシンガンが使いやすいです。弾もたくさん出ます。
使って楽しい武器は狙撃銃です。
狙撃銃は倍率を上げると照準がかなり上下に揺れます。歩いてる敵をヘッドショットで倒すのはけっこう難しいです。しかしここが面白いところでもある。
どの武器でも、照準が敵に重なると照準マークの色が変わります。これはわかりやすくていいです。また、照準あわせが適当でも弾が当たりやすいです。
FPS的な難易度はかなり低いため、コンシューマ機でのFPS練習にも向いてる感じです。FPS入門用として買っても損はないというか、それを売り文句にしてもいいくらいです。
障害物越しでも照準の色が変わるため、柱に隠れて敵をやりすごす時にも利用できます。
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変装は楽しいものの、あまりにもバレやすいのが残念でした。一般人に勘が鋭すぎるやつがいて困る。敵兵よりも敏感に見抜いてきたりする。一般人に見抜かれると兵士や警官に報告され、警戒が厳しくなります。
せっかくの変装システムなんだから、もっと次々に変装して敵のアジトに潜入していくようなミッションもほしかったです。
また、気絶させた相手を縛り上げることができないため、変装するには相手を殺さねばならないのも残念でした。(クロロホルムで気絶させられるが、わりとすぐに起きてしまう)
街の雑踏の中ですれ違いざまに毒針でブスリとか駅のホームで背中をドンとかいうシチュエーションも期待したけど、そういうのはありませんでした。システム的にみてもそういうのは無理っぽい。
毒殺も、決められたミッションの決められたシチュエーションでしかできない。
死体が見つかると必ず警戒されるのも残念でした。事故とかに偽装できたらよかったのに。ただ、これは後の作品でできるようになったそうです。
ミッションによっては完全隠密が不可能だったりするのも惜しかったです。
銃でしかオブジェクト破壊できないのもまいりました。進行上、銃でガラスを割らねばならないミッションがあります。
なんのために斧とかあるんだろう。
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ミッションのボリュームや難易度や出来にはけっこう波がありました。
このゲームでは敵の巡回路が重なっていることが多く、行動パターンを見極めるのにかなり根気が必要です。
しかもある程度ランダム性があり、プレイするたびにパターンが変わるということもあります。
階層構造のマップでは頻繁に別の階に行ったりするため、行動を把握するのが大変です。
そして最初のミッションからマップは階層構造になっている。しかも複数の人間が複雑に動き回ってる。正直言って、初プレイではすぐに派手な銃撃戦になってしまうでしょう。
ある程度遊んでコツをおぼえてからでもこのミッションはかなりてこずります。完全隠密を目指すと、ゲーム中でもトップクラスの難度のような気がします。
まぁ、最初から隠密に徹するのは製作者の想定していない遊び方なのかもしれない。
郵便配達夫を殺して変装すれば多少は楽なんですが、いきなり一般人を殺すというのも悩んでしまうところです。
そして変装したとしても、いきなり自由度の高いステージに放り出されるため最初は何をどうすればいいか全然わかりません。気付けばマフィアと壮絶な銃撃戦を繰り広げ、屋敷のメイドまで蜂の巣にして死体の山を築いてしまう……。これじゃヒットマンじゃなくてコマンドーですよ。
このあたりもうちょっとチュートリアル的なミッションにしてほしかったです。最初くらいは、スプリンターセルみたいに一人ずつ敵をかわすようなシンプルなステージがよかったと思います。
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クリア後の評価も、一部ないほうがいいんじゃないかと思いました。
僕は殺害・発砲・警戒を最低限にとどめ全ステージサイレントアサシンを取るプレイをしたんですが、あまり隠密にこだわりすぎないほうが楽しめるんじゃないかと思ったのですよ。
ある程度敵兵を倒し、死体を隠して変装して進入していったほうが雰囲気でるような気がします。
しかし数字で評価されるとあっては、できるかぎり満点(オールゼロ)を目指すのが人情というもの。こうして、初回からギスギスの縛りプレイをしてしまうわけです。このゲームの自由度の高さが僕にとっては仇となったような気がします。
また、変装が微妙に役に立たないのも、積極的に敵を倒す気になれないポイントかもしれません。
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バグというか一部思考ルーチンがトロいのにもまいりました。あるミッションで、敵兵がトラックに轢かれ勝手に警戒態勢になってしまうところがありました。これは回避しようがありません。完全に運です。というかある程度時間がたつと確実に轢かれる。
この面では数台のトラックがぐるぐる巡回してるんですが、敵兵が轢かれると全トラックが止まってしまうため、あと少しで華麗にクリアできるという場合でも、バカ兵士のせいですべてが台無しになったりします。
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敵配置がけっこう厳しく、自由度が高く見えて殺害か変装突破のどちらかしかできない場面も多々あります。なんでも超上級者はタキシードのみでクリアとかするらしいけど、警戒なしで全ステージクリアは無理なのではあるまいか。
ステージによって変装をみやぶる能力がすごかったり耳のよさがとんでもなかったりするのもまいりました。
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変な日本が出てきます。
ヤクザが城に住んでて警備が忍者だったりします。城が忍者屋敷みたいになってたりします。忍者に見つかると「キサマ何やってんだよ?!」と変なイントネーションの日本語で叫ばれます。基本的にシリアスで陰鬱なゲームなのに、なんでこんなステージがあるんだろう。
そのヤクザの息子を暗殺するときは料理人に化けてフグ刺しを調理ですよ。
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最後のミッションのみ評価がないです。総合結果もない。
スプリンターセルPTもだったけど、なんでないんだろう。これだけゲームをしっかり作っておいて、なぜラストに手抜きのようなことをするのだろうか。外人の考えることはよくわからんですよ。
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ストーリーは、やはり洋ゲーというか、はっきりいってつまらない。終盤でおもしろくなりそうな要素が出てくるものの、結局おもしろくならない。
題材や設定はいいのにドラマがありません。各キャラの心情とか意地とかが全然表現されておらず、話がちっとも盛り上がらない。
エンディングはけっこういいんですが、キャラが薄っぺらいのでちっとも感情移入できないのですよ。
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いろいろ言いましたが、おもしろいだけに「もっとこうしてほしい!」という部分が目に付いてしまうわけです。
虐殺プレイをすればどのミッションも簡単にクリアできるため、ステルスゲームが苦手な人でも楽々エンディングを見られると思います。
まずは虐殺FPSとしてクリアし、そのあとで隠密プレイをするという手もあります。
慣れればひとつのミッションにかかる時間は15分くらいです。何度もくりかえし遊べます。僕はひとつのミッションを3回以上はクリアしてから次のミッションに進んでましたよ。
ゲームを進めている最中に「あのミッションはああやってこうやって進むとおもしろいかもしれない……」と過去のミッションをやり直すこともしばしば。
評価システムにより、「完全隠密プレイが理想の遊び方」という印象が強いものの、マップを全く見ずにリアル潜入気分で遊ぶのもいいです。
むしろゲームの内容的にはマップを見るのは邪道なわけです。
このゲームがおもしろくなるのは、各ステージの構造と敵配置が頭に入ってからです。やればやるほどおもしろくなる。
逆に言えば「ひととおりクリアしたら終了」みたいな気分でプレイすると、「撃ちまくり殺しまくりですぐに終わるヌルゲー」という印象で終わる可能性が高いです。虐殺すれば初プレイでも数時間でクリアできるんじゃないだろうか。
しかしそれで終わるのはあまりにももったいない。急いで先を見るより1つのミッションごとにじっくりプレイして進んでいったほうがいい。(この意味ではストーリーがつまらないのはいいことなのかもしれない……)
つまりいろいろ考えて遊ばないとおもしろくないわけです。アクションゲームファンよりリアルタイムシミュレーションが好きな人のほうが気に入るかもしれない。
じっくり遊びたい人にはおすすめです。
・おすすめ度 8点 右スティックで視点を動かすFPS・TPS操作のゲームが苦手な人も、練習用として遊べます。いやほんと、静的なゲームなので遊びやすいよ。
・個人的評価 9点 すごくよかったけど、いろいろ可能性を秘めているぶん「もっとこうしてくれたら」というところが目についてしまいました。
その1 その3
参考になったらクリック!!
自分がやったのはPC版で、しかももう6年以上前になるので、記憶があやふやなんですが、
ニンジャが主人公を見つけたときの台詞ってもっと理不尽だった記憶があります。
「ふざけんじゃねえぞこの野郎!なんでそんな事したんだよ!?」
「貴様何様のつもりじゃあ!!」
「なんじゃこりゃあ!?」
「なんじゃらホイ!」
とか叫んでたように記憶しています。
もしかしたら唯一マトモな「キサマ何やってんだよ!」以外のおかしい日本語は日本でコンシューマで発売に当たってカットされたのかも知れないですね。
コメント by オーダン — 2009 年 7 月 5 日 @ 00:26:07
PS2版もたぶん忍者のセリフは同じです。
ぱっと思い出したのが「キサマ何やってんだよ?」で、他のは聞き取れなかったり記憶が曖昧だったりしたので書かないでおきました。
しかし「なんじゃらほい」はひどい。誰が考えたんだろう……。
コメント by 坂葉 — 2009 年 7 月 5 日 @ 20:41:07
あと、ヤクザの息子をフグの毒で殺すシーンの、ヤクザの会合の時の会話もすげえおかしいです。(普通にプレイしてるとすでに脱出してるので見られないらしい)
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm275033
この動画でその一部始終が見られます。
コメント by オーダン — 2009 年 7 月 8 日 @ 23:13:10
これはすごいですね。この面はあまりおもしろいと思わなかったので、一度クリアしたあとはプレイしていませんでした。
PS2版でも会話あるのかな。
今度確かめてみます。
コメント by 坂葉 — 2009 年 7 月 9 日 @ 00:22:24