書物が禁じられた世界を舞台にした物語です。第二次大戦あたりから分岐したパラレルワールドものです。
犯罪に関する書物は特に厳しく取り締まられていて殺人という概念さえも忘れられかけている世界で、主人公の少年クリスは失われた「ミステリ」を求めて旅をしています。
ジュブナイル幻想小説的な雰囲気です。
ライトノベルとか読んでる層にも受けるのではないでしょうか。
毎度おなじみの無茶すぎるトリックも炸裂します。
しかし仕掛けの肝はやはり世界設定でしょう。まず世界設定があり、そこから無茶なトリックを導き出したという印象です。そのせいかバカバカしさがかなり薄れ幻想的な世界観がより強調されています。
排他的な町での物語なのに関わる人たちが皆主人公に好意的で、ちょっと緊張感のないのが残念です。しかも主人公は禁制の知識を求めて旅しているので、もう少し孤独感があったほうがいいんじゃないかと思いました。
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前半はさほど盛り上がらず地味な印象でしたが、中盤で少年検閲官と共に「ガジェット」が登場したあたりからグッとおもしろくなりました。
この「ガジェット」はおもしろいです。まんがやゲーム的なアイデアで、ぜひとも続編を読んでみたいです。しかしこの人はキャラや設定を何の未練もなく使い捨てる人だから望みは薄い……。
主人公も少年検閲官も女の子受けする美少年なので漫画化すれば人気でそうです。
問題がひとつあります。犯人の持ってる○○関係ないじゃん! ミスディレクションにもほどがある。