以前さんざんな評価をしたAREA-51ですが、ある程度FPSに慣れてからプレイしたらなかなかの良作だとわかりました。
ごり押しがききすぎるためFPS初心者はちゃんと楽しめないという意見は今でも変わりませんが、ある程度照準操作になれている人ならおすすめです。
PS2版のNORMAL、PC版のNORMAL・HARDをクリアしました。
せっかくなのでもう一度感想を書いておきます。
PC版はなんと無料公開されています。海外のPCゲーム体験版配布サイトで入手できます。
無料ですが起動時にネット認証があります。
AREA-51はコンシューマ向けとして開発されましたが、もともとPCで作っていたためいっそのことPC版も出してしまえと30ドルほどで販売されたそうです。そして製作会社の破産騒動のときにフリー化されたようです。
製作したMIDWAY社は2002年ごろからピンチの連続だったものののらりくらりと生き延び続け、2009年にようやく倒産しワーナーブロスに買われたとのこと。
ちなみにモータルコンバット作った会社だとか。
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2010 年 8 月 30 日
PS2 AREA-51 その2
2010 年 7 月 26 日
三津田信三「凶鳥の如き忌むもの」
ホラー推理小説シリーズの第二弾です。今回は孤島で行われる謎の儀式を題材にしています。
因習に囚われたひなびた漁村が舞台となっていますが、この手の設定にしては珍しく村人達はかなり好意的です。怪しい言い伝えが村を支配しているものの、前作のようなおどろおどろしさはさほど感じません。しかし中盤から舞台が孤島に移り、儀式を執り行う巫女の失踪を皮切りに一人また一人と消えていくことになります。
今作はホラー要素が非常に薄くなっています。暗闇の中を進んでいく場面もあるものの、冒険もののような雰囲気なのでビクビクどころかワクワクしてしまいます。
事件のメインとなる巫女の失踪は密室状況で起こります。舞台となる怪しげな拝殿は凝った作りなんですが、描写が甘くどういう構造なのかさっぱりわかりません。拝殿の壮観な眺めも見せ場っぽいのに、それがイメージできないのは痛いです。
そして主人公が密室講義を行い皆でいろいろと検討するものの、建物の構造がわからないからちっともおもしろくない。図面を一枚載せるだけでかなり作品の印象が変わっただろうと思います。
事件の真相はかなり壮絶で意表を突かれます。儀式の秘密も巫女失踪の仕掛けもすごい。
しかし扱い方がちょっと惜しいというか「それ調べた人なら一発でわかるだろ!」という感じがあります。あの状況で現場を調査しても気付かないのはボンクラすぎる。このあたりもうちょっと屁理屈こねてごまかすか手がかりの品を見せない工夫があるといいと思いました。
過去の事件の真相もかなり衝撃的ではあるものの、割とあっさりと解説されておしまいなので、もっと詳しく説明してほしいと思いました。あの部分にこそ事件の核となるドロドロとした狂気がこめられてると思います。
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拝殿の構造がわからないことが全編に渡って気になる作品でした。
これを除けば、各キャラクターは個性的で事件の真相もかなり衝撃があり楽しめました。
2010 年 7 月 20 日
北山猛邦「踊るジョーカー」
奇想天外な物理トリックでおなじみの作者の初短編集です。
幻想的で浮世離れした世界観が特徴的な作家ですが、今作は普通の現代社会を舞台にし登場人物も割と常識的な行動を取ります。
シリーズものの短編集ということで、これまでの作品よりもキャラクタ描写が格段に濃くなっています。
そこそこ人当たりのいい性格の主人公が助手役となり、気が弱くてひきこもりの探偵をサポートしていきます。この二人に、こわもての岩飛警部を加えた三人がレギュラー登場人物となります。岩飛警部の物騒な言葉づかいがおもしろいです。
安楽椅子探偵形式ではなく、探偵と助手が現場に出向いて直接捜査する展開になっています。探偵活動のおもしろさだけでなく、引きこもりの探偵を無理矢理外に連れ出すことによる騒動も狙っているのでしょう。
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どの話もトリックが無茶すぎて推理小説としては疑問が残るものの、キャラの掛け合いに重点が置かれているため楽しく読めます。
無茶なトリックとはいえ、表題作の「踊るジョーカー」などは使い方を工夫すればけっこう説得力が出そうです。ただ作者自身が「この光景は変すぎるだろう」というのを狙ってあえて無茶な状況を作っているようにも見えます。
最後に収録された「ゆきだるまが殺しにやってくる」は、大雪に閉ざされた豪邸で婿選びのためのゆきだるまコンテストをやるというもので、従来の作品のような雰囲気を味わうことができます。
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過去作に比べ世界観がだいぶ現実的なため、トリックのおかしさが余計に目だっています。
キャラ重視の短編集ということで何も知らない人も手に取りやすいだけに、奇天烈なトリックの数々にとまどう人も多そうです。
2010 年 7 月 18 日
草上仁「数学的帰納の殺人」
日本を代表する短編SFの名手……と思うんですが、いまひとつ知名度の上がらない作家の推理長編です。
無人島に理想郷を築こうとして失敗したカルト宗教が、20年の潜伏ののち再活動の気配を見せ、それに合わせて信者達が謎の死を遂げていくという話です。
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タイトルを見るとガチガチのロジック推理ものに思いますが、実際はところどころに論理パズル的な説明が出てくるだけで、それほど気合を入れなくても読めます。むしろハラハラドキドキの娯楽作品といった雰囲気です。
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もともと短編がメインの作家なのでとにかく展開が速いです。「えー! ここでそれを明かしちゃっていいの!?」という感じでどんどん真相が暴かれていきます。このペースで最後までもつんだろうかと読みながら心配になりました。もっともこの人の長編はみんなこんな感じなんですが。
夢中になって読めるのはいいものの、さすがに謎と真相を大放出しすぎなため結末の衝撃が薄くなっています。ラストで明かすべき驚愕の事実を中盤でポンポン出されても困る。
また、暗く重々しい展開に向いた題材を扱い、各種アイデアも強烈なものが揃っているのに、ギリギリのところで踏みとどまりネガティブな方向に進んでいかないのも残念です。
もうちょっと真相を出し惜しみして大仰に演出すれば麻耶雄嵩的な衝撃作になりそうです。もったいない。
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とてもおもしろいんだけど、「もっとおもしろくできるだろ!」と文句を言いたくなる作品でした。
短編作家としての能力の高さが本作の潜在能力を潰してしまったという印象です。
2010 年 7 月 17 日
石持浅海「心臓と左手」
「月の扉」で活躍した座間味くんと大迫警視を主役にした短編集です。
大迫警視が座間味くんを食事に誘い、酒を飲みつまみをつつきつつ警視がポロリと洩らした捜査情報をもとに、座間味くんが推理を披露するというものになっています。安楽椅子探偵の形式です。
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大迫警視が語る事件の大部分は捜査が終了したり決着がついたものが多いのですが、座間味くんは些細な矛盾点から関係者の心理を考察し意外な真相を導き出していきます。
大迫警視はテロリストや過激派などを対象にした部署にいることから、普通の本格推理ものではあまり扱われないような事件が出てきます。
しかし、相手が狂信的な思想を持っていたり常人とは違う価値観だったりするからこそ、その心理を分析することで予想外の論理が導き出されるわけです。ホワイダニットに重点が置かれた短編集ともいえます。
どの話にも奇妙な論理が隠されていてよくできています。
ただ、最後に収録された「月の扉」の後日譚は、せっかくの続編なのにいまいちな感じでした。
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安定感のある短編集です。本編「月の扉」もおもしろいので一緒にどうぞ。
2010 年 7 月 8 日
北山猛邦「少年検閲官」
書物が禁じられた世界を舞台にした物語です。第二次大戦あたりから分岐したパラレルワールドものです。
犯罪に関する書物は特に厳しく取り締まられていて殺人という概念さえも忘れられかけている世界で、主人公の少年クリスは失われた「ミステリ」を求めて旅をしています。
ジュブナイル幻想小説的な雰囲気です。
ライトノベルとか読んでる層にも受けるのではないでしょうか。
毎度おなじみの無茶すぎるトリックも炸裂します。
しかし仕掛けの肝はやはり世界設定でしょう。まず世界設定があり、そこから無茶なトリックを導き出したという印象です。そのせいかバカバカしさがかなり薄れ幻想的な世界観がより強調されています。
排他的な町での物語なのに関わる人たちが皆主人公に好意的で、ちょっと緊張感のないのが残念です。しかも主人公は禁制の知識を求めて旅しているので、もう少し孤独感があったほうがいいんじゃないかと思いました。
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前半はさほど盛り上がらず地味な印象でしたが、中盤で少年検閲官と共に「ガジェット」が登場したあたりからグッとおもしろくなりました。
この「ガジェット」はおもしろいです。まんがやゲーム的なアイデアで、ぜひとも続編を読んでみたいです。しかしこの人はキャラや設定を何の未練もなく使い捨てる人だから望みは薄い……。
主人公も少年検閲官も女の子受けする美少年なので漫画化すれば人気でそうです。
問題がひとつあります。犯人の持ってる○○関係ないじゃん! ミスディレクションにもほどがある。
2010 年 7 月 7 日
オレの言うことを真にうけるな!
加算合成は使いすぎるなとか、派手すぎるエフェクトはやめたほうがいいとか、自機弾を半透明にするのはダメだとかツイッターでいろいろ書いたけど、ここで少し補足しておきます。
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2010 年 7 月 5 日
三津田信三「厭魅の如き憑くもの」
独自の神様を奉り奇怪な因習にとらわれた山村を舞台にした推理ものです。
神隠しだとか憑きものが題材になっています。
「ホラーとミステリの融合」を謳い文句にしています。ホラー要素は雰囲気作りがメインとなっており、普通の和風推理小説としてまとまっています。
この作品でのホラー要素はオカルトスプラッタ超常現象ではなく、論理的な説明が「可能/不可能」の境目あたりを扱っています。
暗い山道をビクビクしながら歩いていく場面が事細かに描写されており、肝試し的な和風ホラーが好きな人は楽しめるんじゃないでしょうか。
僕は文章では恐怖を感じられないタイプなので正直かったるかったです。この感性の無さをなんとかしたいところです。
人間関係が非常にややこしいです。サギリという名前の登場人物が六人も出てきます。登場人物表とにらめっこして人間関係を把握しながら読み進めるのも旧家ものの醍醐味なんですが、もうちょっとなんとかしてほしかったです。
時代設定の関係か文章が硬かったり普通使わない漢字を使っていたりもするので、読むにはけっこう気合がいります。
とはいえ、章ごとの視点変更もあり話の展開はテンポがいいので、ある程度読み進めば独特の作品世界に没頭できるでしょう。
ラストのどんでんがえしは強力です。
実はラスト直前までは「まぁ普通の和風推理小説だな。雰囲気はなかなかよかったかな」と舐めてました。
手堅い展開で進み手堅い結末に落ち着いたな……と思ったところであっと驚かせてくれます。