「フェルマーの最終定理」が解かれるまでの経緯を追う物語です。
数学をテーマとしていますが、数学の知識は全く必要ありません。
フェルマーの最終定理という魔王に対し、数学界の英雄達が必殺証明を武器に戦うといった感じです。
最終的にボスを倒したのはアンドリュー・ワイルズという人で、とどめを刺すための聖剣を作ったのは日本人だったというあたりも興奮します。
「フェルマーの最終定理」が解かれるまでの経緯を追う物語です。
数学をテーマとしていますが、数学の知識は全く必要ありません。
フェルマーの最終定理という魔王に対し、数学界の英雄達が必殺証明を武器に戦うといった感じです。
最終的にボスを倒したのはアンドリュー・ワイルズという人で、とどめを刺すための聖剣を作ったのは日本人だったというあたりも興奮します。
僕は筋金入りのSFファンと自認しているんですが、実はこの有名作品を二十年以上本棚の奥にしまいこんでいました。
購入したのも、前回の「2001年~」と同時期だったような。
娯楽小説としてはかなり上級者向けという感じで、初心者にはまったく勧められません。
しかし、スケールの大きな戦記ものなど、個人よりも世界全体を主人公にした作品が好きな人は気に入るかも。
国と国、文化と文化の衝突で歴史が動いていくという物語です。
以下、若干のネタバレを含んでいます。
僕は筋金入りのSFファンと自認しているんですが、実はこの有名作品を二十年以上本棚の奥にしまいこんでいました。
最近発掘されたので、これは読んでおかねば思い読んでみました。
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実はクラークの作品はあまり好きではありませんでした。
工学的すぎるというか、技術やSF概念に偏重しすぎていてキャラクタやドラマ性が薄いのです。
幼年期の終わりはけっこう楽しめたものの、小説というよりは長いあらすじを読んでいるような印象でした。
そしてそれは本作にも言えます。
月や土星への旅が、当時としては最新の情報を使って描写されておりすごいものの、「この月旅行の描写は本当に必要なのか?」と思ってしまったのでした。
しかし、好きな人にはこういうところがたまらないのだろう。
購入時に読んだときは、この月旅行のところがかったるくて挫折してしまったのでした……。
そして今回もかなり苦痛だった。
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あまりSF初心者に勧められるような作品ではないですが、古典としての価値を考えると初心者にこそ読んでほしいという内容でした。
僕ももっと早くに読んでおくべきだったなぁ。
以下、若干のネタバレがあります。
今邑彩という作家は、僕の中では「誰もが知っているような大傑作には恵まれなかったけど、誰が読んでも並以上に楽しめる良作を書く人」という位置づけです。
読みやすく、娯楽小説的にも楽しめ、ラストにはしっかりとびっくりさせてくれるという作風です。
本作もその例にもれず、誰が読んでも楽しめるサスペンス小説になっています。
僕の中ではかなり評価の高い作家なんですが、残念なことに今年(2013/02)亡くなってしまいました。
毎回毎回妙な仕掛けで楽しませてくれる作家の、近未来SF的物語です。
科学番組の美少女レポーターが冷凍睡眠の研究所に取材に行ったところ、アクシデントが起こり気付いたら三十年後の世界だった、という話です。
ミス・マープルものの長編です。
田舎町で、マープルが噂話に興じつつ事件を解決していくというものです。
再読です。
かなり前に読んだんですが、これといって印象に残る場面がなく、ラスト以外はほとんど忘れてました。
読み直したところ、あーこりゃ忘れるわ……という内容でした。
しかし終盤はなかなか強烈で、あーこりゃラストだけ忘れられないわ……という感じです。
(more…)
再読です。
はじめて読んだときは「すごい仕掛けでビックリする」作品との評判を聞いて期待していたので、読後の感想は「なんだこんなものか」と若干がっかりしました。
読み進めるときも仕掛けばかり気にしていたのでストーリーの妙を楽しめませんでした。
推理小説読むときに仕掛けとか謎解きばかり気にして、ほんとイヤな読者だよ……。
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今回の再読ではサスペンス小説として読んでいったので、充分楽しむことができました。
ネットでの紹介では「衝撃のラスト!」が強調されがちですが、途中のサスペンス部分の魅力を強調したほうがいいんじゃないかと思います。
女を襲う猟奇殺人鬼、それを追う元刑事、殺人鬼の家族の視点が交互に切り替わり話が進んでいきます。
殺人鬼視点は他の視点より過去になっており、物語の結末ですべての時間軸と舞台が一つになるという構成です。
殺人鬼の猟奇・変態描写がしっかりしており楽しいです。しかしグロテスクなのが苦手な人にはきついかもしれない。
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トリック重視の推理ものはアレンジした作品が次々と生まれるため、アレンジ作を先に読んだ人にはオリジナルで驚けなることもあります。実際僕も仕掛けの面では期待はずれでした。
しかし本作は小説としての出来もいいので、仕掛けが色あせたとしても名作として語り継がれるでしょう。
そして笠井潔の解説の「現代日本の家庭の荒廃云々……」というのは難しく考えすぎだと思います。
全三百ページとボリュームもほどほどで、推理小説の代表作としてもちょくちょく話題に上がったりする作品なので、推理小説に興味のある方はぜひどうぞ。
ホラー推理小説シリーズの第二弾です。今回は孤島で行われる謎の儀式を題材にしています。
因習に囚われたひなびた漁村が舞台となっていますが、この手の設定にしては珍しく村人達はかなり好意的です。怪しい言い伝えが村を支配しているものの、前作のようなおどろおどろしさはさほど感じません。しかし中盤から舞台が孤島に移り、儀式を執り行う巫女の失踪を皮切りに一人また一人と消えていくことになります。
今作はホラー要素が非常に薄くなっています。暗闇の中を進んでいく場面もあるものの、冒険もののような雰囲気なのでビクビクどころかワクワクしてしまいます。
事件のメインとなる巫女の失踪は密室状況で起こります。舞台となる怪しげな拝殿は凝った作りなんですが、描写が甘くどういう構造なのかさっぱりわかりません。拝殿の壮観な眺めも見せ場っぽいのに、それがイメージできないのは痛いです。
そして主人公が密室講義を行い皆でいろいろと検討するものの、建物の構造がわからないからちっともおもしろくない。図面を一枚載せるだけでかなり作品の印象が変わっただろうと思います。
事件の真相はかなり壮絶で意表を突かれます。儀式の秘密も巫女失踪の仕掛けもすごい。
しかし扱い方がちょっと惜しいというか「それ調べた人なら一発でわかるだろ!」という感じがあります。あの状況で現場を調査しても気付かないのはボンクラすぎる。このあたりもうちょっと屁理屈こねてごまかすか手がかりの品を見せない工夫があるといいと思いました。
過去の事件の真相もかなり衝撃的ではあるものの、割とあっさりと解説されておしまいなので、もっと詳しく説明してほしいと思いました。あの部分にこそ事件の核となるドロドロとした狂気がこめられてると思います。
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拝殿の構造がわからないことが全編に渡って気になる作品でした。
これを除けば、各キャラクターは個性的で事件の真相もかなり衝撃があり楽しめました。
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