H.G.ウェルズ「タイムマシン」の公式続編という触れ込みで登場したハードSFです。
※誤解してる人が多いので一応書いておくと、「ハードSF」というのは重厚な設定のSFとかミリタリー感のあるSFという意味ではなく、現実の科学をベースにした(重視した)SFのことです。
例えば、軌道エレベータの出てくる作品は普通のSFで、軌道エレベータを作る作品はハードSFという感じ。
バクスターの世界観とタイムマシンの世界観はまさにぴったりという感じなので、これは期待の持てる作品です。
もともとバクスターはものすごいウェルズファンだそうで、彼の作風と合うのは当然ともいえる。
主人公はタイムマシンに出てきた「時間旅行者」で、物語はタイムマシンのラストからそのまま続きます。
バクスターの作品というと、特異な世界設定に難解な物理学用語が乱舞し、何千年何万年が一ページで過ぎ去ったりと全く初心者向けではないんですが、本作はハードSF的な難解さは控えめで、わりと普通の冒険小説っぽく読めます。
バクスター入門用に最適ではないでしょうか。
まぁ終盤は例によってめちゃくちゃになるんですが。